僕のおじさんは☓☓でした

林 業

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ソウスケは電子タバコを手に入れた。

と考えながら早速吸う。
(若いやつって、このネタわかんのか?)
などと考えていれば、入り口からの視線を感じ、冷や汗が流れる。
恐る恐る振り返れば、そこにいるは、キョウヘイ。
「すんませんでした」
土下座してつげればキョウヘイが呆れながら入ってくる。
「禁煙外来行け」
「俺の職場半分以上吸ってんだぞ」
「電子タバコにしてるだけましか」
とりあえず体を起こして足を崩す。
「んで、キョウヘイ、人見知り、まだ収まらないのか?レンは子供だぞ?」
「まだ無理」
キョウヘイが前に座り、しょんぼりと落ち込む。
「お前言葉をもうちょっとつけような」
「これでも頑張ってる」
ソウスケは左様かと頷く。
「ちなみに畑入らせなかったのか?」
「んっ。一部、農薬撒いた。口に入れられたら困る」
「赤ん坊じゃないんだからよ」
「中学生男子だからこそ怖い」
そうか?と首を捻り、自分の中学時代を思い出して、掌を返してキョウヘイに賛同する。
「レンは風呂か」
「風呂。久々にヤる?」
「やめとく。もうちと我慢する。せめて中学入学までは」
「ふぅん。我慢できるんだ」
視線に、必死に電子タバコをいじってから頭を下げる。
「やっぱ、やりたい。けどせめてレンが寝たらしよう」
「じゃあ、綺麗にしとく」
「おう」

「おじさん。お風呂いただきました」
レンがいい湯だったと来る。
「お、じゃあ、ソウスケ入ってこいよ」
「んっ」
頷いて風呂場へと向かう。


「あ、服は持っていけよ」
ソウスケは不服そうにしながらも立ち去っていく。
レンの濡れた髪の毛に気づいて呼び寄せて肩にかけていたタオルで頭を拭う。
「ねぇねぇ。おじさん」
「んー?」
「お母さんってどういう人だった?」
唐突に聞かれ、レンはよく知っているだろうにと考えて、別のことを口にする。
「俺、あいつとは、あいつが中学校までの付き合いだぞ」
「それでもいいから。お父さんのことは、知らないよね」
「俺、誰と結婚したかも知らないんだよな」
「そっかぁ」
「お父さんの爺さん婆さんは?今度電話してやれ」
「あ。そっか。うん!」
嬉しそうに頷く。
「中学校の時のあいつなぁ。なんか、地味だったなぁ。あいつが高校のときに一回あったときはギャル化してたけど」
「ぎゃ、何それ」
不思議そうなレンに、どう話そうか考える。
「あー。あー。高校生でおしゃれに目覚めたらしくて化粧を立派にしてた」
「なんで会ったの?」
「優しくしてくれてたじいさん。あー。お前のひーじいちゃんの葬式だな」
「ふぅん」
俯くレンの髪の毛をひたすら拭う。
「ともかく中学までは、すっごい地味な子で、大人しくて。でもまぁ、言うことは言って、俺追い出された」
「なんで?おじさん。いい人じゃん」
「んー。あー。んー。お前が高校か大学に行ったときに話す。でいいかな?」
「大人の事情ってやつ?」
「どちらかというと大人になってから聞いて判断してほしい話」
「子供の時のほうが柔軟って母さん言ってたよ」
「あのな。レン。聞くけどさ。今聞いてお前にとって嫌悪を抱く内容だったとしよう。それでこれから最低でも三年から六年。一緒に暮らすことになるんだぞ。気まずいだろ。何よりお前の母さんとお前の祖父母でやらかしたんだ。ちょっと話す時期は考えさせてくれるか?」
「んー。わかった」
自分が嫌なことは何だろうと考えて叔父が害虫であった。とかだったら嫌だなぁと眺める。
返信ヒーロみたいな昆虫関係であれば喜べるが。
「別にレンが嫌いではなさないとかじゃないぞ。レンがいい環境で育つようにしたいだけだからな」
「んっ」
笑顔を返せば、安堵している。
「お母さんたちに話したのはなんで?」
「お前の母さんに暴かれた。理解がなかった。とだけ言っとく」
できたと乾いた髪の毛を見てから頷く。
「そういえば、おじさんってどこで働いているの?」
「俺?あぁ。言ってなかったっけ。これだな」
クローゼットの中の背広から名刺を取り出して、渡してくる。
ホテルの名前と、「霧島 草平」いう名前。
そしてホテルの住所が書かれてる。
「バスで三十分ほど揺られたところにあるホテルだ。そこの一般社員として働いてる」
「へぇ」
嬉しそうに名刺を見る。
「名刺はやるから仕事中、困ったことあったら連絡してこい。夏にはプールやるから夏休みとかは連れて行ってやるよ」
「ほんと。約束だよ」
「おう」
抱き締めて、嬉しそうに笑う。

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