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お可愛いΩ お可哀想なα
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しおりを挟む「たった一人で助けに行ったんでしょ?」
「怖そうーっ」
「怖いか怖くないかって言ったら、怖かったけど、でも……アルファだったら守らなきゃって思うしって」
「かっこいいっそんな台詞言ってみたーいっ」
囲まれて、そうやってもてはやされて……
「すごいよねーっ!銀花くんっ!」
ふん?
ふーん?
ふんっ!?
今、なんて言われたのかな!?
「六華くんも何があったか知らないけど、飛び出すなんてしちゃ駄目だよ?」
「えっ と?オレ、飛び出したりとかしてない……」
「銀花くんが追いかけてくれてホント良かったねぇ」
よくない!全然よくない!
「ちがっ ええー⁉︎」
何がどうなってそんなことになっているのかわからなくて声を上げたオレの肩を、トントンと手が叩く。
「おはよ!六華くん!」
「お おは……シュ……シュン……あの、なんか、話が…………」
思わず涙目になってしまっていたのか、シュンが気まずそうにオレを見て頭を掻いた。
「ちゃんと話したんだけどさぁ、六華くんがアルファって言っても誰も信じてくれなくて」
「なんでぇ」
「んで、噂が巡り巡って、六華くんじゃなくてアルファの銀花くんが助けてくれたことになっちゃった みたいな?」
へへへ と可愛らしく笑ってくれるから許す……ってわけじゃなくて、がっくりと肩を落として崩れ落ちるしかない。
「しかも、銀花くんが助けたんなら僕じゃなくて六華くんを助けたんだろうってことで、六華くんが飛び出したことになってたり とか、しちゃっててね」
なーんーでぇー……
きっとここで大声で「違う」って叫んだところで、生温く微笑まれてお終いなんだろうなって思うと……もう涙も出ないよっ!
めちゃくちゃ頑張ったよ?
そりゃ、一人で全部できたわけじゃないし、トドメをさしたのは銀花だけど……
銀花なんだけど……銀花なんだけどもぁさ!美味しいトコだけ持って行きすぎじゃない?
「えええええええええ……」
思わずぷぅって膨らませた頬を、シュンが面白そうに突くからプシュって空気が抜けて、オレはますます泣きたくなった。
END.
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