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しおりを挟むルーチェの首都まで進軍してきたがここまで一切敵が出てこない。
なんだ、何を仕掛けてくる?
ラフマの進軍にも問題が起きていないと報告がされている。
ラフマもサベルクも進軍する時は王族も同行する国だ。最前線にはいないが城でゆったり待ってるなんてことはしない。国のために血を流してくれる騎士たちがいるのだから我々が同行しないという選択肢はない。
ルイは知らないがこの国の民にはルイの身に起きたこと全てではないが、なぜルーチェに進軍するのかは伝達を出している。今ではどの地方にもルーチェから逃れてきた人々がいて、その者たちからもルーチェの現状を聞いていた国民は今回の進撃を応援してくれた。
その国民のためにも僕たちは勝利を収めなければならない。
ここまでに何も仕掛けられていないということは城の近くで何か仕掛けてくるんだろう。一度、ルイを助けに行った時に城の中の構図は頭に入れた。それはラフマにも伝えてある。
今回1番危険視すべきはスカナの操影術だ。スカナは影の中に潜み自身の影を使い攻撃する操影術の使い手がいる。
スカナが前々からルーチェを狙っていることは知っていた。
だからこそ何年もの間スカナを危険視してきた。悪いことが起こらなければいいが。
「ん?門の前に誰かいます!!」
城が見えてくるとそんな声が前方から聞こえた。
「ご報告します!!ルーチェの国王が門の前に!!」
「私が行こう。」
父上が進むのについていくとルーチェ国王がお妃と共に待っていた。
なんのつもりだ、、、?
「お久しぶりですね、ルーチェの国王様、お妃様」
「えぇ、あなたたちが我が城から親族の子を連れ去って以来ですな。」
「はて、、?誰のことですかな?」
「誰って!!!ルイという名の者を攫って行っただろう!!!今すぐ返せ!!」
「ルイという名前の者ならたくさんいるでしょう?そちらの国の方ならば戸籍を確認させてくださいな。」
「なっ!?!!!」
そう、こうなった時のためにルイのサベルクでの戸籍取得を急いだんだ。ルーチェにルイの戸籍がないことは確認ができていたから。
「お前たちの城に匿ってるルイだ!!城にいるのは知ってるんだぞ!!」
「我が城にいるのは、ルイ・アスバルというアスバル公爵家の次男。王太子セドリックの婚約者だ。」
「なにを!!婚約者だと!!!セドリック殿の婚約者はニアがなるのだ!!」
はぁ、親子揃ってなんでそうなるんだよ。僕がいつ結婚するなんて言った?僕が愛してるのはお前じゃない。
「息子のセドリックをそちらの王女と結婚はさせない。セドリックには既に婚約者がいるのだから。」
「だから!!そのルイが我が国のものなのだから私に許可を得ていないではないか!!」
「先ほどから何を言っているんですか。ルイはアスバル公爵家の次男だと言ったでしょう?アスバル家の戸籍に入っていますよ。」
「なっ!!!こちらの許可もなくっ!!!勝手なことをするな!!」
「勝手なことをするなだと!!お前たちがあの子に何をしてきた!!!この国に戸籍がない!国民として認めていなかったのに今更なんなのだ!!ルイはサベルクの国民だ!!」
父がこんなに声を荒げているのを聞いたのは初めてかもしれない。
「っ、、、あの子が悪いのだっ!!初子が男など、、しかもっ、、、くそっ!」
国王は先ほどから言ってることが無茶苦茶だ。お妃はこちらを睨みつけるばかりで何も言わない。
ルイの部屋に通っていた時、このお妃からもルイを罵るような言葉を聞いた。
自分がお腹痛めて産んだ自分の子供だろう?
「とにかく、城にいるルイは我が国の国民です。」
「くそっ、!!」
僕は先ほどからずっと違和感を覚えている。意図が見えない。これになんの意味がある?
交渉がしたいなら、文を出した時点ですればいい。なのになぜここで軍を止め交渉をする?もうすぐラフマも到着する。
こんな、時間稼ぎみたいなこ、、と、、
時間稼ぎ?
狙いは、、もしかして、ルイか?
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