【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
58 / 105

57

しおりを挟む

「アン、、ナ、、、?」

ラフマの王から離された話。
王妃の名前はアンナ?

「あぁ、我が愛しい妻の名はアンナだ。アンナが後悔していることなのだ。ルーチェという国では初子が男であると災いが起きるという意味のわからない宗教を信じきった王族が初子であるルイを城に幽閉し、さらには暴言も吐いているという。アンナも初めはその宗教の教えを信じていたがルイを育てるうちにそんなの間違っていると思い何度も王に抗議していたそうだ。おそらくそれで消されかけた。」

ラフマの王が語るのはルーチェの話。

「だから我々は一刻も早くルイを救い出さなければならない。アンナがそばにいない10年間あの国でルイがどうなっているか分からない。それに私はアンナをあれほどまでにボロボロにしたあの国を許すことができない。だから、そなたたちに邪魔されたくないのだ。分かってくれ。」

「ラフマ国王っ、、アンナに、、会わせてもらえませんかっ。」

「そなた、リユベ語が出来るからと調子に乗るでない。我が愛しき妻をそう簡単に他人に合わせるわけがなかろう。それに、何故呼び捨てにする。許されると思うのか。」

殺気の籠った目線に何も言えなくなる。怖い、足がガクガク震え今すぐここから逃げ出したくなる。

「ラフマ国王、私はこのルイの婚約者で王太子のセドリックと申します。私から一つお話しさせていただきたいことがございます。」

「なんだ、」

セド、、、?

「お2人の馴れ初めを聞きましたので私たちのもと思いまして。今から10ヶ月ほど前のことです。私はある国の王女の誕生日パーティーに参加した際、このルイに一目惚れしました。しかしルイはその国では生まれてないことにされており両親からもひどい言葉を投げつけられ実の妹弟からも暴力を受け、アレルギーがあるのにも関わらずそれを食べさせられ命の危険に陥りました。そんなルイを2ヶ月ほど前、その国から救い出しました。ルイは男だから。そんな理由で酷い目にあっていたんです。ルイが初子であり、男であるから国に不幸が訪れるのだと自分たちの無能を全てルイのせいにしていました。」

ラフマ国王の目が見開かれる。

僕を、ルイを凝視する。

「ルイの名は今はルイ・アスバルです。あの国に戸籍がなかったのでこの国で作りました。ですがルイには、実の親から名乗るなと言われたもう一つの名前があります。」

「そなたの名は、、っ、、

ルイ・レストか?」

「はいっ、アンナはっ、、僕にとってっ、、ぅ、、、」

「アンナをここへ連れてくる。待っておれ。」

さすがは獣人、声を出す前にもういない。人間の20倍の身体能力、か。

人間が獣人に使う言葉ではないと思うけど、早く、早く来て。もっと早く。

アンナは本当にあのアンナなの?

死んでしまったと僕には伝えられていた。でも生きていたの?僕の大事なアンナ。

「ルイ、ドアの近くで待っていよう?」

急に知らされた事実に頭が混乱しているままだったがセドがそうして少しでもあんなと早く会えるようにドアの近くまで連れて行ってくれた。

なのでドタドタと走る音が聞こえてくる。1人のものではなく大勢のもの。

「レオ!なんなんですか急に!!みんな気になってついてきてしまいましたよ?いいんですか?」

「いいんだ!!アンナをどうしてもここに連れてこなきゃいけなくてっ!!」

そんな会話が聞こえた直後、綺麗な女の人を腕に抱いたラフマ国王がドアを勢いよく開けた。

---バンッ

「・・・・・・」

誰も何も言わない。

アンナに一歩近づくと僕の顔を見たアンナが目を大きく見開き涙を浮かべる。

それを見たラフマ国王がアンナを下ろし、背中をトンと押した。

僕の背中もセドに押された。

それが合図だったかのように僕とアンナは抱きしめ合った。

「っ、、ルイ様?」

「ぅん、、っ、、アンナぁ、、っぅぁ、」

「ルイ様っ、、ぅ、、ごめんなさぃ、、っあなたを置いて行ってっ、ごめんなさいっ、、ぅ、、」

ここに来てからも何度も涙は流したけれどもこんなに声を出して泣いたのはいつぶりだろう。

「ルイ様、大きくなられましたね。アンナにお顔をしっかり見せてください。」

「アンナ、あのね、僕ね、18になったよ!あのね!セドがね!助けてくれたの!!」

これまでのことを話したいのになかなか言葉がうまくつながらない。この、アンナの温もりが心地よくてアンナに抱きしめられたまま泣いて話してを繰り返した。

しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

優しく暖かなその声は(幽閉王子は最強皇子に包まれる・番外編)

皇洵璃音
BL
「幽閉王子は最強皇子に包まれる」の番外編。レイナード皇子視点。ある日病気で倒れたレイナードは、愛しいアレクセイに優しくされながら傍にいてほしいとお願いしてみると……?

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜

ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。 そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。 幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。 もう二度と同じ轍は踏まない。 そう決心したアリスの戦いが始まる。

処理中です...