【完結】18年間外の世界を知らなかった僕は魔法大国の王子様に連れ出され愛を知る

にゃーつ

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56 レオside

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獣人は16歳で成人となる。そのため、半分の8歳の誕生日には成人まであと半分だという祈りを込めお祝いをするのが我が国の慣わしだ。

王族の場合には父と剣の手合わせを皆の前で行い、その後は父と母と共に国民に向け演説を行うというものであった。

ミケは本当に大きく強く成長した。彼女の優しさもしっかりとミケに遺伝していて将来王になるのに相応しい子になった。私自身彼女と会う前には結婚も子供も自分には縁のないものだとそう思い込んでいた。自分の子供の成人の半分を祝う行事を見ることができることに感激した。

さらにその夜には花火をあげる。ミケが自分でデザインした花火を上げ国民にミケの大人への一歩を踏み出したことを示すのだ。

「花火が上がるぞ。」

「っえぇ、、」

「まだ泣くには早い。あの子がデザインした花火だ。あとでうんと褒めてやろう。」

2人で花火を見て、その後子供たちとの時間を過ごそうと思っていた。

---パァン、パン、パァン

綺麗な花火が上がる。

「綺麗ですね。」

「あぁ、そうだな。カラフルなだけでなく単色のものも上がっている。センスがあるな。そういえば、最後の一発は母上をイメージしましたって言っていたぞ。」

年の数だけ上がる花火。

8発目に上がったのはピンク一色の綺麗な可愛い花火だった。

小さい頃から母上にはピンクのお花が似合う!!

そう言ってプレゼントをよくしていたからな。

よかったなと声をかけようとすると、

「どうした!?」

「あたま、、がっ、、、、ぅ、、」

頭を抑え呼吸も乱れている。そのまま彼女は意識を失った。

ここに来た時と同じように三日三晩彼女が目覚めることはなかった。

目が覚めた時、大粒の涙を流した。

そしてこう言ったのだ。

「レオ、、全て思い出しました。私、あの方を迎えに行かなければ。」

彼女は生まれも育ちもルーチェであった。ただ母は幼い頃に病で倒れ、父も国が飢餓の被害が出た際に餓死してしまったと。

「あの日、なぜあそこに倒れていたのかは覚えているか?」

「えぇ、あの日は町まで誕生日プレゼントの本を買いに行っていたんです。10冊ほど買ってから馬車に乗り込み帰ろうとしました。すると、その馬車が国の騎士に襲われました。」

「なぜ国の騎士がお前を襲う?」

「私を消したかったそうです。必死に馬車で逃げるうちにあの山に入り込みました。このままどう逃げようか、そんなことばかり考えていました。すると銃声が聞こえました。前も後ろも囲まれてしまっていました。何発も銃が放たれました。馬車の御者が撃ち殺され、馬も殺されました。そして馬車の車輪に何発か当たり馬車のバランスが崩れ私は馬車ごと山道から落ちました。」

「ルーチェ国王の命令なのか。」

「えぇ、国王の命でお前を殺すとそう言っていましたから。」

「今すぐにルーチェを潰す。」

ルーチェという国に怒りが湧いた。

私の愛しい妻をそんな目に合わせていたとは。許せぬ。

「レオ、お願いがあるんです。聞いてくれますか。」

「なんだ、お前の願いならなんでも聞くぞ。」

「私の愛し子をルーチェから連れ出して欲しいのです。私があの国で唯一大切に思っている方です。きっとまだ生きている。あの方は私が愛情を注がないと、誰からもっ、、お願いします。」

「顔を上げろ。お前の愛し子であるのなら、その子は私の愛し子でもある。この国に迎え入れ、私たちの子として愛をたっぷり注いでやろう。」

「えぇ、ありがとうございますっ。」

「そうと決まればすぐに攻め入るわけにも行かないな。情報を集めなければ。その愛し子はどこにいるのだ?」

「城の中に監禁されています。自由も与えられずに理不尽な理由で酷い言葉を投げつけられて日々を過ごしています。」

城の中ということは王族がそのようなことをしているのか。腐っておるな。

「その子の名は?」

「ルイ様です。ルイ・レスト。私が8年間ずっとそばでお使えしていた私の大切な王子様です。」

「ルイだな。私の全てをかけてルイをルーチェの城から出し我が国に迎えると誓おう。」

「10年もの間私は忘れてしまっていた。きっとあの方は1人で苦しんでいる。お願いします、どうかルイ様をっ」

「どんな手を使っても。必ず。約束だ、私は約束を破らないだろう?




アンナ。」





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