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トーレムグレイグは今日も活気づく

LV84 決闘開始

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突如始まった、トーレムグレイグとゴータスフール王の
勇者パーティー同士の決闘。

3m程の高い壁で囲まれた楕円《だえん》状の闘技場に
勇者達の戦いを見てみたいとトーレムグレイグ周辺から
3000人もの観衆が集まる。

東西の扉が開かれ、トーレムグレイグとゴータスフールの
勇者達が登場すると一斉に歓声が沸き上がった。

トーレムグレイグ側のメンバーは6人の勇者パーティーに加え
フミヤ・ヤマダ・メロ、そして 何故かジンが参加。

ヴィオラが疑問を抱き、フミヤに聞く。
「なんでジンさんが参加なの?」

「いやー、本当はサイトウにお願いしてたんだけど
今日も休みもらうために 事情を説明したら
俺も出させろって聞かなくって・・・。
急遽店を休みにして 勝手について来たんだよ。」

「ジンさん、こういうの好きそうだもんね。」
納得するヴィオラ。

ゴーン、ゴーン。
鐘がなり 王2人が高台の来賓席より現れる。
会場の一同が王の登場により 頭を下げるなか、
闘技場を取り仕切る男【ウンサー】が ※魔拡器《まかくき》を使い
話し出す。

「皆様、お待たせしました。これよりルールを説明致します。」

「勝負は前半戦と後半戦に分け、勝敗を決《けっ》します。
まずは 前半戦、5番勝負は技能対決。5つの競技で対決してもらいます。」
「そして 後半戦の5番勝負は もちろん1対1による格闘対決です。」
「先に6勝した方が勝ちとなります。」

再び湧き上がる歓声のなか、ウンサーが手を挙げる。
「前半戦5番勝負!」

ゴーンとひとつ鐘がなると それに合わせ、東西から出て来た召使い達が、
闘技場の中心にテーブルと椅子を2つずつ置く。

「勇者たるもの、いかなる時も体力が必要。
体力を蓄えるには やはり【食】という事で、1回戦は大食い対決!」

「そうなれば私《わたくし》の出番ですな。」
ゴータスフール側からは 小太りな男、ザカリが席に着く。

ヴィオラ「どうする?私達。」
フミヤ「ヤマダ行って来い。」
ヤマダ「えっ 俺っスか?無理ですよ。だって・・・。」
フミヤ「大丈夫だって 行って来い。」
フミヤに急《せ》かされ、ヤマダが席に着く。

「先に食べれなくなった方が、敗北です。」
2つのテーブルにずらっと並ぶ料理を持つ召使《めしつか》い達。

「それでは 一回戦開始です!」

ザカリが、勢いよくテーブルに並べられた料理を食べ始める。
レイモンド「さすが、ゴータスフール一番の大食いザカリだ。」

*ヤマダは動かない。
「おい、ヤマダしっかりしろ。どうした?」
フミヤに促され、フォークで肉を一口食べるヤマダ。
「うっ・・・。」
ヤマダは気持ち悪そうに口を覆《おお》う。
「どうしたヤマダ?普段お前、めちゃめちゃ食べるだろ。」

「だって さっき城の人に好きなだけ食べていいって言われて
 腹一杯、食べたとこですもん。」

「早く言えよ!」

「だからさっき言おうとしたのに フミヤさんが聞いてくれないから・・・。」

「・・・。」
*フミヤは沈黙している。

トーレムグレイグチーム、一敗。

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※魔拡器 魔法力を込めた魔石が埋められた拡声器
声を大きくする事ができる。(いわゆるマイク)
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