最強勇者の夫～陰であなたを支えます。

トーレムグレイグは今日も活気づく

LV83 一触即発

「おまえがトーレムグレイグの勇者、ヴィオラか。」
レイモンドが、ヴィオラに歩み寄る。
「どうも　初めまして。」

突然、レイモンドが剣を抜き　ヴィオラの首元に剣を突きつける。
「何してんのよ、アンタ！」
イルイルが立ち上がり、レイモンドに罵声を浴びせた。

レイモンドはヴィオラに剣を突きつけたまま
ヴィオラに不快感を示した。
「おまえみたいな半端者と　同じ勇者と数えられるのは
本当に不愉快だ。」
「はぁ？アンタふざけんじゃないよ。」
イルイルの怒りは止まらない。

「お前らの失態のせいで　勇者の称号が安く見られるんだ。
いっそ、勇者をやめたらどうだ？」
沈黙したままのヴィオラ。
「アンタなんか　ウチの勇者の足元にも及ばないんだよ。」
イルイルが、黙っているヴィオラに変わり　反論するが、
ヴィオラはそれを制止した。
「いいよ、イルイル。本当の事だから・・・。」

「よくないね。」
フミヤは話に割って入った。

「誰だお前？」

「ん？料理人だよ！」

一触即発の雰囲気に辺りが騒然となるなか、
ゴータスフール王が、立ち上がる。
「ならば　決闘じゃ。」

「おいおい、ゴータスフールの。」
トーレムグレイグ王が、待ったをかけるが・・・。

「いいではないか、ワシも勇者達の実力を見たいし
良い機会だ。腕試しようではないか？」

トーレムグレイグ王の言葉も聞かず、ゴータスフール王が
勝手に話を進めていく。
「しかし　こちらの勇者達は10人。
どうする？ヴィオラ達よ。」

「私達は6人で十分よ。何人でも相手になって・・・。」
「はい、お主は黙っていなさい、ややこしくなる。」
いきり立つイルイルの口を　ラオ老がふさぐ。

「10対10だ。」
今度はフミヤが勝手に言いだす。
「ほう、お前もやると言うのか？
トーレムグレイグは人員不足も問題のようだ。」

「はぁ？」
＊イルイルのイライラは止まらない。

「フン。」
＊フミヤはレイモンドを無視した。

「ちょっと　フミヤ。」
ヴィオラが、心配してフミヤを窺《うかが》うが、
フミヤも怒っているようで、話しかけづらい様子だった。

「ならば、日を改め3日後、この城の闘技場にて
決闘を行うとする。」
今度は勝手にトーレムグレイグ王が、話を進める。
どうやら　フミヤの実力を見てみたいようだ。

「決定だな、では3日後と言う事で。」
そう言うと　レイモンドは皆を連れ、その場を後にする。

「大丈夫なの、フミヤ？相手は　勇者だよ。
しかも　10人集めないといけないし。」
「うん、それは大丈夫だと思うよ。」
能天気なフミヤが、ちょっと不安なヴィオラだった。

そして　やってきた決戦当日。