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新生活
初報酬
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──はて、いつの間に言語を習得したのだろう。日本語とは違うのに何故だか分かる。ここへ転移した時に何か授かった力か。これも異能力の一つか。
鉄次郎は首を傾げるが、便利なものは歓迎だ。読めることでデメリットも無い。必要事項を書き終え、ギルドマスターに差し出す。
「書けました」
「はい、鉄次郎さんですね。証明証を発行して参りますので、そちらに腰掛けてお待ちください」
手で示された方にいくつかの机と椅子があった。空いているところに腰掛ける。
見渡せば何人かが座って話していたり、クエストの一覧を見ていたり、こちらをちらちら見てくる者もいる。どうやら、冒険者は想像より人気の職種らしい。
「お待たせしました」
マスターが戻ってきて、ギルドの証明証を手渡した。
「こちらがギルドカードになります。ランクはAからEまでで、鉄次郎さんはDランクのクエストを攻略していますので、Dからスタートとなります。昇級したい場合は、昇級試験を受けるか、十回以上同ランクのクエストを行えば一つ上のクエストを請け負うことができるので、それを攻略したら昇級となります」
「なるほど」
「身分証にもなりますので、常に携帯しておくことをおすすめします」
鉄次郎には身分を証明するものが一切無かったため、これは有難い副産物だ。
「何か質問はありますか?」
「クエストはどのように請け負うのでしょう」
マスターが壁に貼ってある紙を指し示した。
「あちらの紙を取って受付に持参してくだされば可能となります」
「そうですか。分かりました、ご丁寧に有難う御座います」
礼を言い、その場を離れる。もらった報酬がどのくらいなのか分からないが、買い物くらいはできるだろう。
店を出る前にクエスト一覧を見遣る。シルアの言っていた通り、簡単なものから難しいものまで様々な種類がある。
モンスターを倒したのは一度きりなので、次も上手くいく保証は無い。まずは簡単なものからこなしていこう。鉄次郎は明日も来ることを伝えて外に出た。
「さて、買い物をしよう」
ギルドの近くに市場があったので、そこへ立ち寄る。他の客がいくら支払うのか観察をしてから買い物を始めた。食材と酒だ。数日分を買い込んでもまだ、金は沢山残っていたのには驚かされた。
「Dランクでも意外ともらえるものだ。あの男は刃物をもっていたから凶悪だと判断されたのかもしれない」
鉄次郎は久々に自ら稼いだ金で酒を買え、ほくほくした表情で我が家に戻っていった。
鉄次郎は首を傾げるが、便利なものは歓迎だ。読めることでデメリットも無い。必要事項を書き終え、ギルドマスターに差し出す。
「書けました」
「はい、鉄次郎さんですね。証明証を発行して参りますので、そちらに腰掛けてお待ちください」
手で示された方にいくつかの机と椅子があった。空いているところに腰掛ける。
見渡せば何人かが座って話していたり、クエストの一覧を見ていたり、こちらをちらちら見てくる者もいる。どうやら、冒険者は想像より人気の職種らしい。
「お待たせしました」
マスターが戻ってきて、ギルドの証明証を手渡した。
「こちらがギルドカードになります。ランクはAからEまでで、鉄次郎さんはDランクのクエストを攻略していますので、Dからスタートとなります。昇級したい場合は、昇級試験を受けるか、十回以上同ランクのクエストを行えば一つ上のクエストを請け負うことができるので、それを攻略したら昇級となります」
「なるほど」
「身分証にもなりますので、常に携帯しておくことをおすすめします」
鉄次郎には身分を証明するものが一切無かったため、これは有難い副産物だ。
「何か質問はありますか?」
「クエストはどのように請け負うのでしょう」
マスターが壁に貼ってある紙を指し示した。
「あちらの紙を取って受付に持参してくだされば可能となります」
「そうですか。分かりました、ご丁寧に有難う御座います」
礼を言い、その場を離れる。もらった報酬がどのくらいなのか分からないが、買い物くらいはできるだろう。
店を出る前にクエスト一覧を見遣る。シルアの言っていた通り、簡単なものから難しいものまで様々な種類がある。
モンスターを倒したのは一度きりなので、次も上手くいく保証は無い。まずは簡単なものからこなしていこう。鉄次郎は明日も来ることを伝えて外に出た。
「さて、買い物をしよう」
ギルドの近くに市場があったので、そこへ立ち寄る。他の客がいくら支払うのか観察をしてから買い物を始めた。食材と酒だ。数日分を買い込んでもまだ、金は沢山残っていたのには驚かされた。
「Dランクでも意外ともらえるものだ。あの男は刃物をもっていたから凶悪だと判断されたのかもしれない」
鉄次郎は久々に自ら稼いだ金で酒を買え、ほくほくした表情で我が家に戻っていった。
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