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新生活

ギルド

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「さて、どこへ行ったらいいものか」

 この世界にも警察という職業があるとは思うが、それがどこにあるのか分からない。

 男を見遣る。縄で縛られており諦めて大人しくしているが、親切に交番を教えてくれそうにはない。

「とりあえず、ギルドに向かうとするか」

 というより、ギルドしか道が分からない。鉄次郎は再度地図を確認し、文字を頼りに歩き始めた。

 間もなくして、ギルドらしき建物が現れた。

──西部劇の酒屋のような見た目だ。

 はたしてここが本当にギルドで合っているのか分からないまま、ドアを開けてみる。中にいる数人がこちらに目を向けた。

「いや、どうも」

 軽く会釈をして入る。勝手に入っていいものか悩んだが、誰も何も言わなかった。

 奥に受付らしき場所があったのでそちらに向かう。そこの女性に声をかけられた。

「こんにちは。初めての方でしょうか」

「はい。冒険者の登録をしたくて。あと、この人なのですが、そこで悪事を働いていたので捕まえました。どこに引き渡せばよろしいでしょうか?」

 男を女性に見せると、明らかに女性の顔が強張った。

「こ、この男は……! ギルドマスター! あ、少々お待ちください」
「承知しました」

 どうやら女性は男を知っているらしい。ギルドマスターを待っていると、客と話していた中年の男性がこちらへやってきた。

「なんだい、メイ君」
「この男見てください!」
「えッこの前の強盗野郎じゃないか!」

 ギルドマスターが壁に貼っていた張り紙を剥がして男と見比べる。会話から察するに、男は以前にも強盗をしていたということだ。これ以上被害者が出る前に捕まえられてよかった。

「貴方が捕まえてくださったんですか。有難う御座います」
「いえいえ、ではこの人はこのまま引き渡してしまってよろしいですか」
「はい。こちらDランククエストとなりますので、謝礼をお支払いします」
「謝礼なんてそんな」

 鉄次郎は遠慮するが、ギルドマスターは構わずメイに指示を出した。

「達成した方にはお渡しする決まりですので。どうぞお納めください」
「それでは……有難く頂戴します」

 ギルドに登録して生活費を稼ごうと思ったのに、思いがけず金銭を頂いてしまった。

「ところで、こちらへは登録をされにいらっしゃったとか。是非、こちらからもよろしくお願いいたします」

 マスターが紙を鉄次郎に手渡す。鉄次郎はペンを片手に氏名を書く欄を見つめた。

──本名で登録していいだろうか。ここの人は皆横文字の名前だが……。

 迷った末、本名を書き記す。ここで、この国の文字を書けることに気が付いた。
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