箱庭の魔王様は最強無敵でバトル好きだけど配下の力で破滅の勇者を倒したい!

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
31 / 69

31・アイテムの鑑定

しおりを挟む
広場での会議が終わって皆が解散すると、俺はキングとアンドレアを連れて墓城の霊安室に戻ってきていた。

おまけのゴブロンもついて来ている。

「エリク様、わっちらを呼び出してなんのようでありんすか?」

俺は実験で並べた武器の前に立つとゴブリンシャーマンのアンドレアに言う。

「なあ、アンドレア。このアイテムを見てどう思う?」

俺の前には九本の武器が並んでいる。

ダガーが三本、ショートソードが三本、ロングソードが三本だ。

「アイテムでありんすか?」

アンドレアは細い首を傾げていた。

俺は背後のキルルを親指で指しながら説明してやる。

「キルルはオーラを見極めて、他者のクラスがカラーとして見えるんだ」

「職業鑑定でありんすね」

俺の言葉にキルルがニコリと微笑んだ。

それとは対照的にアンドレアは眉をしかめている。

「キルルの見立てだと、アンドレアのカラーはアイテム鑑定士だそうなんだわ」

「わっちが、アイテム鑑定士?」

「そうだ。そして、俺の鮮血を浴びた武具はマジックアイテムに進化するんじゃあないかと実験しているんだよ。まあ、少なくとも強化には繋がることは分かってきている。だから、アイテム鑑定士のお前に、これらのアイテムを鑑定してもらいたくってな。能力が知りたいのだ」

「は、はあ……。それが、わっちの呼ばれた理由なのでありんすね」

俺は床に並べられた武器の前にアンドレアを導いた。

「まあ、これらの武器を見てもらえないか」

アンドレアは言われるがままに並べられた武器を眺めて回る。

「どうだ、アンドレア?」

アンドレアは床の上の武器を凝視しながら言った。

「確かにこれらの武器からは魔力を微量ながら感じるでありんす。でも、まだマジックアイテムと呼べるほどの代物でもありませんでありんすね」

やはりだ。

ほんの数時間前である。

武器に俺の鮮血を垂らしたのは会議の前だ。

そして、会議から帰ってきた短時間で効果が現れ始めている。

「それじゃあ、こっちの物はどうだ?」

今度は石棺の上に並べられた物を見せた。

砂の山、雑草の束、木の枝、小石、それに陶器のワイングラスだ。

アンドレアは順々に観察した後に答える。

陶器のワイングラスを指しながら言った。

「このワイングラスだけは、凄い魔力を感じますが、その他の物からは微塵も魔力を感じないでありんす」

「そうか……」

陶器のワイングラスは何度も鮮血の儀式に使ってるから一番魔力を感じられるのだろうか?

まだ、その辺はなんとも言えないな。

更にアンドレアがアイテム鑑定の続きを語る。

「しかもこのワイングラスにはヒーリング効果がありんすね」

「ヒーリング効果?」

どうやらアンドレアにはマジックアイテムの効果が見えているらしい。

期待した通りである。

「このグラスに注がれた液体にヒーリングポーションの効果を与えるって力でありんす」

「おおっ!」

やはりそうだ。

俺の鮮血を浴びた道具はマジックアイテムに変化するんだ。

このグラスで鮮血の儀式を行えば、魔物の進化だけでなく、回復効果も追加されるってことなのかな?

いやいや、それどころか、このカップで鮮血の儀式を繰り返せば、更に更にと追加効果がカップに増えていくってことだろうか?

これって、まさに聖杯だな!

アンドレアが言う。

「ですが、その他の物には魔力の片鱗すら見えぬでありんす」

砂の山、雑草の束、木の枝、小石のことかな。

「これらはマジックアイテムに変化しないってことなのか?」

「さあ、それはわっちには分からないでありんす」

何が聖杯と違うのだ?

まあ、その辺は追々考えてみよう。

次だ。

「キング、ゴブロン。お前らの武器を見せてくれ」

「畏まりました、エリク様」

「はいでやんす」

キングとゴブロンが武器を鞘から抜いた。

光るシミターとダガーだ。

「アンドレア、この二本をどう見る?」

アンドレアは一目で答えた。

「立派なマジックアイテムでありんす」

やはりだ。

キングの光るシミターは前々からマジックアイテムだったんだろうが、ゴブロンのダガーは俺の鮮血を浴びてマジックアイテム化したのだろう。

「どんな能力だ?」

まずは光るシミターについてアンドレアが答えた。

「コンティニュアルライトと敏捷度強化魔法が施されたマジックアイテムでありんす」

キングが声に出して驚いた。

「まことですか、アンドレア殿。以前のこのシミターは、敏捷度強化の魔法なんて掛かっておりませんでしたぞ!!」

俺は驚いているキングにドヤ顔で言ってやった。

「だから、俺の鮮血を受けて強化されたんだ」

「まことですか!!」

「じゃあじゃあ、あっしのダガーも強化されているでやんすか!?」

ゴブロンがはしゃぎながらダガーを前に出す。

「このダガーだって、何度かエリク様を攻撃して鮮血を吸っていやすからね!」

「イラッ!!」

俺はゴブロンからダガーを取り上げると顔面をぶん殴ってやった。

俺の拳が深く顔面にめり込むと、ゴブロンが飛んで行って壁に激突して倒れた。

おそらく死んだだろう。

ざまー!!

俺はダガーで体を刺されたことを思い出してムカついたのだ。

キングにも何度か殺されたが、それ以上にゴブロンにも殺されたと思うとなんだかムカつくのである。

「ちっ、死んだか」

そしてゴブロンが死んでいる間に俺は取り上げたダガーをアンドレアに見せる。

アンドレアはダガーを手に取ると即座に答えた。

「このダガーもマジックアイテムでありんす」

「やはり変化しているのか。それで能力は?」

「ダガーで影を刺すと本体の動きを束縛する能力でありんす」

『影縛りのダガーですね!』

キルルが嬉しそうに言った。

影縛りって言うネーミングをつけられて嬉しいのだろう。

まさに設定厨だな。

「なるほど、影縛りか」

すると復活したゴブロンがぼやきながら歩み寄ってきた。

「エリク様、酷いでやんすよ。いきなり殺すなんてさ~」

俺は問答無用でゴブロンの影にダガーを突き立てた。

「ぎぐっ!?」

ダガーがゴブロンの影ごと床石を貫く。

すると、ゴブロンが硬直しながら固まった。

麻痺魔法でも掛けられたかのように顔を引きつらせている。

動けないようだ。

声も出せない様子である。

「おお、固まった」

『固まりましたね』

「これ、なかなか使えるマジックアイテムだな」

こうしてアンドレアの鑑定が終わった。

おそらく実験中の武器がマジックアイテムとして覚醒するのには時間が掛かるのであろう。

まあ、ハートジャックの偵察が終わって帰ってくるまで三日もあるのだ。

まだまだゆっくり様子見して行こうと思う。

焦ることはないのだから。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...