彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

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9 living hell

9-10

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 そうして「キケン。タケノハクチニダスナ」と指で書くが……

(くそっ!)

 ジンは、そもそもボディースーツを纏っているのだ。

 これでは、いくら指文字を書いても伝わらない!

 それならばと、直接耳打ちして危機を伝えようかと思ったが、コツコツと部屋に近付いてくる足音を感知し諦めるしかなかった。

(ここまでか)

 舌打ちをしながら身を起こした聖に、ジンは当惑する。

「おい、あんた……」

「もういい。ただ、しばらくは大人しくしていろ」

――――多分、本当の危機に陥る前に、ここから脱出する手立て・・・・・・・は訪れると確信している聖だ。

 それなりに根拠はある。

 だからそれまで、出来る事ならジンには無茶はしないでほしい。

 恋人の復讐の為に、彼が全てを賭けてここまで来た事は察しているが。

……しかし聖の本音を言えば、もう復讐など諦めてほしい。

 そんな事をしたとして、得るものなど何も無いのは分かり切っているからだ。

(悪いなジン。お前の復讐は、邪魔をさせてもらうぞ)

 ただその代わりに、安蒜と豊川には必ず制裁を下すことを約束しよう。

 そう心の中で誓うと、聖は重ねて念を押した。

「いいな? まだ行動は起こすなよ」

「――ああ」

 ジンとしては、ここまで耐えにたえてようやく喰らい付いた千載一遇のチャンスだ。

 急いては事を仕損じる。

 この隠し持った・・・・・武器の威力を行使する為には、ギリギリまで安蒜に近付かなければならない。

 ましてや、ここには豊川も現れる可能性が高いのだ。

 どうせなら、二人纏めて復讐を実行したい。
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