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9 living hell
9-9
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二、フロランスの帰化申請が通り、彼女が竹野京香を名乗るようになったのは、安蒜昂輝と決別した後だったのではないのか?
だから安蒜と豊川は、知るはずもない竹野の姓には反応を示さなかったのでは。
それならば、この不気味な沈黙も納得する。
(そうなると……最初に探偵から上がってきた報告書には、やはり致命的なミスがあったという事だな。フロランスが安蒜と同棲していたのは帰化後か帰化前か、そこの時間のズレが訂正されないまま記載されていたようだ。だからオレは、全員が竹野仁に纏わる出生の事を知っているのだと思い込んでいたんだ)
最初に、時系列のボタンの掛け違いが起こっていたらしい。
ジンが本当に竹野仁の出生の秘密を知らないのであれば、一刻も早く教えるべきだろう。そうでなければ、この先ジンの身が危険にさらされる可能性もある。
だが、二人の居る部屋の内部には、至る所にカメラが設置してあるのが一見して判る。
さて、この状況でどうやって伝えるか――
「ジン」
聖は誘うように微笑むと、部屋の中央で、腕を組んで立っていたジンへと自然な仕草で撓られかかった。
「こっちに来て、そこのソファーで……抱き締めてくれ」
「?」
「なぁ、オレだって不安で怖いんだよ――」
セリフのままに、心細げに瞼を震わせて身を摺り寄せる。
清純な、儚い乙女のように振舞う聖の様子に『何か裏があるのか』と思いながらも、ジンは頭に霞が掛かったように陶然となり、誘われるままソファーへと座り込んだ。
「あんた、いったい――」
「聖って呼んでくれ」
「な、なんだよ急に……おい、カメラが……」
『あるぞ』と言い掛けたジンの唇を、聖の濡れた唇が塞いだ。
「うぅ……」
そのままソファーへ重なり合ったところで、聖はジンの胸を指でなぞった。
だから安蒜と豊川は、知るはずもない竹野の姓には反応を示さなかったのでは。
それならば、この不気味な沈黙も納得する。
(そうなると……最初に探偵から上がってきた報告書には、やはり致命的なミスがあったという事だな。フロランスが安蒜と同棲していたのは帰化後か帰化前か、そこの時間のズレが訂正されないまま記載されていたようだ。だからオレは、全員が竹野仁に纏わる出生の事を知っているのだと思い込んでいたんだ)
最初に、時系列のボタンの掛け違いが起こっていたらしい。
ジンが本当に竹野仁の出生の秘密を知らないのであれば、一刻も早く教えるべきだろう。そうでなければ、この先ジンの身が危険にさらされる可能性もある。
だが、二人の居る部屋の内部には、至る所にカメラが設置してあるのが一見して判る。
さて、この状況でどうやって伝えるか――
「ジン」
聖は誘うように微笑むと、部屋の中央で、腕を組んで立っていたジンへと自然な仕草で撓られかかった。
「こっちに来て、そこのソファーで……抱き締めてくれ」
「?」
「なぁ、オレだって不安で怖いんだよ――」
セリフのままに、心細げに瞼を震わせて身を摺り寄せる。
清純な、儚い乙女のように振舞う聖の様子に『何か裏があるのか』と思いながらも、ジンは頭に霞が掛かったように陶然となり、誘われるままソファーへと座り込んだ。
「あんた、いったい――」
「聖って呼んでくれ」
「な、なんだよ急に……おい、カメラが……」
『あるぞ』と言い掛けたジンの唇を、聖の濡れた唇が塞いだ。
「うぅ……」
そのままソファーへ重なり合ったところで、聖はジンの胸を指でなぞった。
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