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団長 × アミル
流されたのではなく ★
しおりを挟む連れてこられたのは団長の私室だった。
かちゃりと降りた鍵の音に喜びを覚えて団長を見上げる。
「アミル、本当にいいんだな?」
僕の腕を掴みながら問う団長の目には揺らぎながらも確かな欲望が兆していた。
アミルは望んで連れ込まれた。
「団長こそ……」
本当にいいのかと聞きたいのはアミルの方だ。
カイルと関係を持っていたようなアミルに手を伸ばすのは何故か。
未だ瞳が揺らぐのは迷いからなのか。
空気を壊す言葉を避けて誘う瞳を向けた。
「そういう意味でいいんですよね?」
問いを装った誘いを口にするアミルに、瞳に宿っていた揺らぎが消え、はっきりとした欲望に変わる。
無言で伸ばされた手に顎を掴まれ唇を塞がれた。
「……んぅっ!」
熱い。口内で感じる熱以上に心や思考が焼き切れそうになる。
カイルとはしたことのない行為にどうしようもなく胸が熱くなった。
「んうっ! ぅん……、んっ」
団長の厚みのある舌に口内を蹂躙される。
カイルのことを思い浮かべていたことを悟られたのか口内を嬲る舌の動きが激しくて息が苦しくなってしまう。
「ん……、はあっ、だんちょっ……!」
離してと胸を押すのに団長の動きは更に激しくなる。
涙の滲む目で団長を見つめると、焼け付くような嫉妬の炎が見えた。
あまりに強い視線にびくりと震えるとようやく団長の唇が離れる。
「だ、んちょ……」
切れ切れになる息の合間に団長を呼ぶ。
「悪い……、怖かったか?」
視線に怯えたのかと不安気に眉を寄せる団長へ違うと首を振る。
怖かったんじゃない。
どうしようもなく……。
視線に興奮してしまっただけ。
「違うんです、団長の、さっきの目が……」
怖がらせたよなと心配する団長とは裏腹にアミルは身体を高ぶらせていた。
「さっきの目が、格好良くて……。
それで……っ、僕……」
視線を下げるアミルにつられて視線を落とした団長の目が軽く見開かれ、次いで口元を吊り上げる。
「感じたのか?」
「……はい」
あの夜と同じように布を押し上げる昂りを認める。
素直に認めると団長が嬉しそうに顔を綻ばせる。だから、隠せない。
後、と視線を伏せる。
「キス、初めてなので……、苦しかったです」
団長の目がこれまでにないほど見開かれ、驚きを一杯に表す。
「カイルとは……」
「カイルとはそういうことは……。
そんな関係じゃないですし……」
身体の奥深くを繋げるような行為はしたけれど、恋しいとか愛しいとか触れ合いたいとか、そういう感情が湧いたことはない。
カイルも、そういう触れ合いを求めることはなかった。
「野暮なことを聞いたな」
悪い、と囁いた団長がまた僕の唇を塞ぐ。
「んぅっ……」
反射的に押し出そうとした舌を絡め取られて強く吸われてしまう。
舌を吸われ気持ち良さに力が抜ける。なんの抵抗もできないまま舌を嬲られ弄ばれた。
「はぁっ……!」
ようやく離された唇に大きく息を吐く。
息ができなくて苦しかった。
キスだけで力が抜けてしまったアミルは団長の腕に支えられている状態だった。
「アミル……、キスだけでこんなになったのか」
耳元で興奮の混じった囁きを聞かされてぞくりと震える。
団長の手が伸びて股間に触れる。それだけで前が更に硬く張り詰めるのがわかってしまう。
「ええ……、淫乱でしょう?」
触られただけじゃない。熱っぽい視線で見つめられただけで興奮していた。
「そんな言い方をするな」
キスだけで達しそうなほど硬くなっている場所を掴まれてびくりと身体が跳ねた。
「あ、ダメっっ」
強めの拒否に思わず手を止めた団長を熱い息を吐いて見上げる。
「……触られただけでイっちゃいそうなんです」
知ってるでしょう?と囁くと視線に籠る熱が強まったのを感じる。
自分からベッドに向かうのは抵抗があったけれど、団長に視線を送ってベッドに足を向ける。
とさりと倒れ込んで自分から服を脱いでいく。
本当に団長の手が触れるだけですぐにも達してしまいそうだった。
先ほどのキスや愛撫ともいえない接触だけですっかり立ち上がったペニスに団長の視線が釘付けになっている。
「あんまり見ないでください……」
団長も脱いでと言うと背を向けて豪快に服を脱いでいく。
誤魔化せたことに安堵する。見ないでと言ったのは恥じらいもあったけれど、一番の理由は団長に見られているだけで高ぶり一人で達してしまいそうだったからだ。それは恥ずかしすぎる。
「アミル、触っていいか……?」
「嫌ですって言ったら、止めてくれるんですか?」
僕の問いに一瞬詰まった団長が、首を振る。
その欲望に満ちた表情に深い喜びを感じた。
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