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爛れた関係 ★

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 耳のふちをなぞる舌に上がりそうになる悲鳴を噛み殺す。
 薬品室の近くの物置部屋に連れ込まれカイルに身体を弄ばれる。
 最初の夜から何度も繰り返され快楽を覚えた身体は抵抗も覚束ない。

「ほら、アミルのここも早く入れてほしいと言ってる」

 わざと卑猥な音を立てて指を出し入れする。
 目を閉じても入ってくる音がされている行為の淫靡さを伝えてきた。

「そろそろ言う気になった?」

 彼の言葉に首を振って抵抗する。

「ふぅん」

「あっ! あっ、ああっ!
 いやだっ! やめっ、くあぁっ……!」

 奥の部分を撫でられてあられもない嬌声が上がる。
 耳をふさぎたくとも戒められた手は動かない。
 片手だけの拘束なのに抜け出せないのは腕力というより巧みな愛撫によるものが大きい。
 後ろから手を壁に押さえつけられはだけられた胸を刺激され、それだけで立ち上がったペニスが時折壁に擦れて堪らない心地になる。
 そのまま壁に擦りつけてしまいたいとすら思う淫靡な思考を止めるのは後穴に埋め込まれた指の感触。
 長い指に撫でられるだけでこれまで与えられた快楽を思い出してしまう。
 目を瞑り首を振って違うと快感を否定する。

「入れてイかせてくださいってお願いできるまで続けるから」

 非情な宣告に抗いきれないと頭のどこかで理解していても。
 まだ、淫らに快楽を受け入れる自分を認められなかった。







 中々懇願のセリフを言わない僕にカイルは手法を変えた。
 強い刺激を与えるのを止めて柔らかく刺激を与えてくる。
 首を甘噛みされ舌先で舐められてゆっくりと、でも着実に腰に熱は溜まってくる。

「ん、んぅっ」

 埋め込まれたままの指が内壁をゆるく撫で、その刺激に腰が揺れる。
 どこが感じる場所かもう知っている身体は淫らに快楽を欲しがってしまう。

「俺の指を使って気持ち良くなってもいいんだよ?」

「……!!」

 快楽に意思が負けそうになっているところを見計らい吹き込まれる悪魔の囁きにぶんぶんと首を振る。

「そう? ……残念」

 残念さの欠片もない楽しそうな声で笑う。
 くっと曲げられた指に身体が跳ねた。

「……んああっ!!」

 ずっと避けていた感じる場所を刺激されびくんっと跳ねたことでまた良いところに当たる。

「あうっ、ああっ」

 焦らされ炙られるようにじっくりと高められた身体は突然の刺激に立っていられなかった。
 ずるずると壁を伝うように崩れ落ちる僕をカイルの手が抱きとめる。

「今のでイけたらよかったのにね」

 か細い息を漏らすしかできない僕はカイルに言葉を返す気力も残ってなかった。





 硬い壁に背を付けられて足を開かされる。
 見せられた格好じゃないのに力の入らない身体はカイルにされるがままで。
 腿を押さえる手の感触だけで吐息を漏らすほど快感に敏感になっていた。
 カイルの腕の動きに、指を飲み込んでいるのが自分の身体なのだと認識させられる。
 長い指を後穴に咥えさせられながらも萎えることなく震えながら欲望を吐き出す時を待っているペニスが目に入る。
 とろりと零れた雫がつたうさまが酷く淫らだった。

「カイル、も……、ぅ」

「ん?」

 するりとペニスを撫でられて悲鳴を上げる。

「ああああっ!
 ちが、……っう」

 そこじゃない、やめてと弱々しく首を振る。
 長時間嬲られ続けた身体は些細な動きでも敏感に快感を拾い上げるのに、決定的な快楽を得られない。

「じゃあこっち?」

 散々いじられ赤くなった乳首を突かれ肩が跳ねる。
 その度に咥え込んだ指を締め付けてしまい声を上げてしまう。

「アミルの中、すごい欲しがってるね」

 もう否定もできない。
 中に欲しい。指でもいいイかせてほしい……。
 口に出してしまいそうな欲望に唇を噛む。
 陥落が近いことを見越したカイルが埋め込んだ指を中で広げる。

「~~~~~~っっ」

 声にならない声を上げ震える僕へカイルが囁く。

「欲しい?」

 中を広げたまま一本の指がぐるりと壁を撫でる。
 びくびくっと身を震わせ与えられる刺激に悶える。

「ね、どっち?」

 耳に吹き込まれる囁きに抗うことはもうできなかった。




 欲しい、入れてと望む答えを得たカイルに貫かれ嬌声を上げる。
 やっと与えられた熱に喜ぶ身体に堪えていた涙が零れた。
 気持ち良い、苦しい、気持ちいい、悔しい、悲しい、気持ちイイ。
 揺さぶられながら浮かぶ思考は身体が受ける感覚に占められて散逸していく。
 上げる声はもう意味をなさない。
 ただ快楽を訴えるだけだった。


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