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4.宿という名のお屋敷
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え?宿ってここが?
目の前には、街中の高級宿なんかでもなく、しっかりした門が構えてある洋館だ。
「あの、こちらが宿・・ですか?」
『宿というか、各国訪問のために宿泊地を点在させてるんだよ。私の配下以外いないから安心して。』
そして変わらずお姫様抱っこで、従者を先頭に門を潜った。
すると、門から屋敷までの両脇に20名以上はいるだろう使用人達が腰を下げて出迎えている。
え・・帝国以外の国なのにこの規模の別荘ってあり得るの・・?スケールが違いすぎて目眩が・・
屋敷の大きな両開き扉につくと、執事長と思われる品のあるおじさまが迎えてくれる。
「旦那様、ご状況はうかがっております。本当におめでとうございます。ミシェル様も道中お疲れさまでした。」
と目を潤ませ感極まった声音だ。
『おい。誰がミシェルと呼んでいいと言った。』
今までとは別人の無表情にも驚きだが
え!そこ?!
他に逆に何と呼ぶというのか・・
『妃殿下と』
え!まだ婚約もしてませんよね!
「へ・・陛下、まだ私たちはなにも・・・」
すると陛下が眉を寄せこの世の終わりのような表情に。
『ミシェル・・私の全て。妃が重荷なのかな?君が私の妃になってくれぬなら、この肩書きも全て不要なものだよ。』
と絵師も正確に書けないほどの、アンニュイな美しすぎる表情を向けられ・・・
こんなみんなに見られてる中で恥ずかしすぎるよっ!
「うー//// 2人できちんと話したいです・・・ 」
『ああ。もちろんだよ。ミシェルは早く2人になりたいんだね。まずはゆっくり旅の疲れを洗い流して2人で食事をしよう。』
と満面の笑みで屋敷に入る。
私は気づかなかった。
執事長の「え、誰これ」というつぶやきや、呆然とその場から動けない使用人の方々を。
----------------------------
(執事長であるシュワルツ目線)
私は代々帝国王に使える家系だ。
私が使える主は、ビクトール・アラン様。
一般市民は半数が魔法が使えず半数は使えると言った割合だが、王家は基本皆魔力を持って生まれる。古の先祖に竜の血が混じっているからだと言われている。
一般市民の魔力とは言っても、日常生活に使えるくらいのものだが、王家の魔力は強い。戦では雷を起こしたり、水ぜめにしたりと帝国を維持大きくする上では必須の存在。そして数百年ぶりに、先祖返りとして強力な魔力を持ったアラン様が産まれた。
それはそれは国中が喜び、私もそんな方に使えるのを心より光栄に思った。
王家の証のロイヤルブルーの瞳に、輝くシルバーの髪。大変見目麗しく幼い頃から周囲から羨望の眼差しを受けていた。
ただアラン様の瞳にはいつも力がないと感じていた。魔力コントロールも頭脳も天性の才能で、本当に何でも教えずともできるレベル。望まずとも何でも手に入る立場。
10才になる時には、3カ国は戦により手中に納め誰もが認める帝国の王子だった。
だがご本人は感情も出さず、なにも興味を示さない。貴族としてのマナーでの表情はできるが、感情は感じられない。
だからなのか無慈悲な判断も平気でできる。戦で人を殺める行為はもちろんだが、大きな不正が発覚した臣下達がいたが12歳の御身で、家族もろとも処刑を命じた。適正な判断だが、まだ少年の身で・・・と全臣下達は震えた。あまりの実力に、20歳にして国王となられた。
冷酷王、残虐王、氷刃の王 と 影での呼び名は様々。実力は国民も臣下もあまねく尊敬しているが、その性格や実績から畏怖される存在だ。
先祖返りは大きな魔力を有する代わりに、その心や精神も竜に近づく。
情は薄く戦いは厭わない。だが唯一、番に対しては別だ。この世で唯一の存在である、番。誰でも出会えるわけではなく、番以外を伴侶にすることもあるが、竜の血が濃いほどうまくいかない。番は同じ世に生まれないこともあり、出会えないこともあるが、出会ってしまえば本能で求めずにはいられない。
アラン様は女性に興味を示されることなく27歳を迎えられた。魔性の美しさは変わらずなので年齢不詳だが。
後継の心配もあり、そろそろさすがに番でなくとも伴侶をと周りが動き出した時、ミシェル様に出会った。
色々問題がある方だと有名だし・・・これまでも同じパーティに出席されたこともあるのではと思うところはあるが・・
主人の唯一が見つかったのは喜ばしい・・
そして、あれ誰?!女性とのダンスもエスコートも必要最低限のあの陛下が、お姫様抱っこで現れたことにまず腰を抜かしそうになったが、あの表情だ!
別人のように甘い笑顔・・・
これからあのアラン様に慣れるかが心配です。。
目の前には、街中の高級宿なんかでもなく、しっかりした門が構えてある洋館だ。
「あの、こちらが宿・・ですか?」
『宿というか、各国訪問のために宿泊地を点在させてるんだよ。私の配下以外いないから安心して。』
そして変わらずお姫様抱っこで、従者を先頭に門を潜った。
すると、門から屋敷までの両脇に20名以上はいるだろう使用人達が腰を下げて出迎えている。
え・・帝国以外の国なのにこの規模の別荘ってあり得るの・・?スケールが違いすぎて目眩が・・
屋敷の大きな両開き扉につくと、執事長と思われる品のあるおじさまが迎えてくれる。
「旦那様、ご状況はうかがっております。本当におめでとうございます。ミシェル様も道中お疲れさまでした。」
と目を潤ませ感極まった声音だ。
『おい。誰がミシェルと呼んでいいと言った。』
今までとは別人の無表情にも驚きだが
え!そこ?!
他に逆に何と呼ぶというのか・・
『妃殿下と』
え!まだ婚約もしてませんよね!
「へ・・陛下、まだ私たちはなにも・・・」
すると陛下が眉を寄せこの世の終わりのような表情に。
『ミシェル・・私の全て。妃が重荷なのかな?君が私の妃になってくれぬなら、この肩書きも全て不要なものだよ。』
と絵師も正確に書けないほどの、アンニュイな美しすぎる表情を向けられ・・・
こんなみんなに見られてる中で恥ずかしすぎるよっ!
「うー//// 2人できちんと話したいです・・・ 」
『ああ。もちろんだよ。ミシェルは早く2人になりたいんだね。まずはゆっくり旅の疲れを洗い流して2人で食事をしよう。』
と満面の笑みで屋敷に入る。
私は気づかなかった。
執事長の「え、誰これ」というつぶやきや、呆然とその場から動けない使用人の方々を。
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(執事長であるシュワルツ目線)
私は代々帝国王に使える家系だ。
私が使える主は、ビクトール・アラン様。
一般市民は半数が魔法が使えず半数は使えると言った割合だが、王家は基本皆魔力を持って生まれる。古の先祖に竜の血が混じっているからだと言われている。
一般市民の魔力とは言っても、日常生活に使えるくらいのものだが、王家の魔力は強い。戦では雷を起こしたり、水ぜめにしたりと帝国を維持大きくする上では必須の存在。そして数百年ぶりに、先祖返りとして強力な魔力を持ったアラン様が産まれた。
それはそれは国中が喜び、私もそんな方に使えるのを心より光栄に思った。
王家の証のロイヤルブルーの瞳に、輝くシルバーの髪。大変見目麗しく幼い頃から周囲から羨望の眼差しを受けていた。
ただアラン様の瞳にはいつも力がないと感じていた。魔力コントロールも頭脳も天性の才能で、本当に何でも教えずともできるレベル。望まずとも何でも手に入る立場。
10才になる時には、3カ国は戦により手中に納め誰もが認める帝国の王子だった。
だがご本人は感情も出さず、なにも興味を示さない。貴族としてのマナーでの表情はできるが、感情は感じられない。
だからなのか無慈悲な判断も平気でできる。戦で人を殺める行為はもちろんだが、大きな不正が発覚した臣下達がいたが12歳の御身で、家族もろとも処刑を命じた。適正な判断だが、まだ少年の身で・・・と全臣下達は震えた。あまりの実力に、20歳にして国王となられた。
冷酷王、残虐王、氷刃の王 と 影での呼び名は様々。実力は国民も臣下もあまねく尊敬しているが、その性格や実績から畏怖される存在だ。
先祖返りは大きな魔力を有する代わりに、その心や精神も竜に近づく。
情は薄く戦いは厭わない。だが唯一、番に対しては別だ。この世で唯一の存在である、番。誰でも出会えるわけではなく、番以外を伴侶にすることもあるが、竜の血が濃いほどうまくいかない。番は同じ世に生まれないこともあり、出会えないこともあるが、出会ってしまえば本能で求めずにはいられない。
アラン様は女性に興味を示されることなく27歳を迎えられた。魔性の美しさは変わらずなので年齢不詳だが。
後継の心配もあり、そろそろさすがに番でなくとも伴侶をと周りが動き出した時、ミシェル様に出会った。
色々問題がある方だと有名だし・・・これまでも同じパーティに出席されたこともあるのではと思うところはあるが・・
主人の唯一が見つかったのは喜ばしい・・
そして、あれ誰?!女性とのダンスもエスコートも必要最低限のあの陛下が、お姫様抱っこで現れたことにまず腰を抜かしそうになったが、あの表情だ!
別人のように甘い笑顔・・・
これからあのアラン様に慣れるかが心配です。。
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