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第15章(1)紫夕side
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***
よし!
まずは日用品を買って、その後に食材だな。
町に着いた俺は、予め買うと決めておいた物が置いてある店を目指して足早に進んだ。
買い物はなるべく手短に済ませたい。
その理由は、最近以前よりも町に守護神関連の警備員が増えた気がするからだ。おそらく、少し前の雪の事件が関係しているからだろう。
そんな訳で、なるべく人と顔を合わせる事がないよう帽子を深く被って、俺はさっさと町を後にする予定だった。
……しかし。そんな時ほど、事件に絡まれる。
「キャーッ!!
誰か~!そいつを捕まえて~!!」
後方から聞こえてきた女性の悲鳴に思わずハッとして振り返ると、少し離れた先に地面に膝を着いて倒れている女性。そしてその少し前を、女性ものの鞄を胸に抱えて顔に覆面をした、明らかに怪しい人物が走っていた。
おそらく引ったくりだ。
そして、なんとその引ったくりは逃げるようにこちらに向かって走ってくるではないか……。
この野郎ッ……!!
その光景を目にしたら、変に正義感が溢れる俺の悪いクセが発動してしまった。
目立たないように、なんて考えはスパッと頭から抜けて、俺は咄嗟にこちらに向かって来た引ったくりの腕をガッと掴むと地面に倒し、押さえ付けて捕獲した。
ーー……あっ、しまった……。
我に返ったのは、湧き上がる歓声と拍手に包まれた状況の中。
けど、捕まえた犯人を逃す訳にもいかないし、お礼を言いに近付いて来てくれた女性を邪険にする訳にもいかない。
困った俺は、何とか近くにいるちょっと逞しそうな男性に後を託して去ろうと思った。
が、時すでに遅し。
「貴方が捕まえて下さったんですね!
勇気ある行動、ご協力に感謝致します!」
「あ……いや、その……」
騒ぎを聞き付けた警備員が、バタバタとこちらに走ってきて、俺に話しかけて来る。
しまいには、女性が「お礼を!」なんて言うからさらに去りにくい状況に……。
よし!
まずは日用品を買って、その後に食材だな。
町に着いた俺は、予め買うと決めておいた物が置いてある店を目指して足早に進んだ。
買い物はなるべく手短に済ませたい。
その理由は、最近以前よりも町に守護神関連の警備員が増えた気がするからだ。おそらく、少し前の雪の事件が関係しているからだろう。
そんな訳で、なるべく人と顔を合わせる事がないよう帽子を深く被って、俺はさっさと町を後にする予定だった。
……しかし。そんな時ほど、事件に絡まれる。
「キャーッ!!
誰か~!そいつを捕まえて~!!」
後方から聞こえてきた女性の悲鳴に思わずハッとして振り返ると、少し離れた先に地面に膝を着いて倒れている女性。そしてその少し前を、女性ものの鞄を胸に抱えて顔に覆面をした、明らかに怪しい人物が走っていた。
おそらく引ったくりだ。
そして、なんとその引ったくりは逃げるようにこちらに向かって走ってくるではないか……。
この野郎ッ……!!
その光景を目にしたら、変に正義感が溢れる俺の悪いクセが発動してしまった。
目立たないように、なんて考えはスパッと頭から抜けて、俺は咄嗟にこちらに向かって来た引ったくりの腕をガッと掴むと地面に倒し、押さえ付けて捕獲した。
ーー……あっ、しまった……。
我に返ったのは、湧き上がる歓声と拍手に包まれた状況の中。
けど、捕まえた犯人を逃す訳にもいかないし、お礼を言いに近付いて来てくれた女性を邪険にする訳にもいかない。
困った俺は、何とか近くにいるちょっと逞しそうな男性に後を託して去ろうと思った。
が、時すでに遅し。
「貴方が捕まえて下さったんですね!
勇気ある行動、ご協力に感謝致します!」
「あ……いや、その……」
騒ぎを聞き付けた警備員が、バタバタとこちらに走ってきて、俺に話しかけて来る。
しまいには、女性が「お礼を!」なんて言うからさらに去りにくい状況に……。
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