スノウ2

☆リサーナ☆

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第1章(5)紫夕side

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「っ、そんな事したらゆきちゃんと一緒に暮らせなくなるわよッ!!!!!」

ーー……。

その言葉は、この時の俺を、何よりも冷静にさせた。
振り払おうとしていた腕が、力が、あっという間に緩んで、俺の動きは止まった。マリィが語り続ける。

「……分かる、分かるわ!紫夕しゆうちゃんが許せないのは、怒るのは分かる!
っ……でも、暴力はダメッ!!ゆきちゃんを護りたいなら、ここは我慢しなきゃダメッ!!」

ゆきを、護りたいならーー……。

マリィの言葉が心に浸透して、俺はゆっくり視線をゆきに移した。
すると、ベッドで上半身を起こしたゆきが、ブランケットを抱き締めたまま俺を見ていて、視線が重なって……。俺は右手を下ろすと、胸ぐらを掴んでいた左手の力も緩めた。

もしもこの時相手をボコボコにしていたら、俺は暴力事件を起こした事でゆきを引き取る事が出来なくなっていた事は勿論、隊長職も失っていて……。ゆきを護ってやるどころではなくなっていただろう。
本当にマリィのお陰だ。そしてこの後更に、マリィは最高の起点をきかせてこの場を収めてくれる。

「っ、何なんだよ!!」

それは、俺から解放された男が立ち上がり、後退りしながら文句をつけてきた時の事だ。

「どうせお前だって同じだろっ?そいつ引き取って、自分の好きなようにしたいだけだろっ?!カッコつけんなよッ!!」

まさに負け犬の遠吠え。
悪事が見付かって、体裁ていさいが悪い男が放つ戯言ざれごと
でも、ついさっきまでの事もあり、そんな奴の言葉にでさえ俺は挑発にのってしまいそうで……。必死に必死に、拳を握り締めて堪えていた。けどーー……。

「訴えてやる!
僕が訴えれば例えお前が殴ってなくてもみんな僕の味方にーー……」

「ーーどうぞ、お好きになさい。アンタ達の会話は、全部録音させてもらってたから」

状況を一変に覆す、強い言葉。
男の言葉を遮るようにして、マリィが言った。
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