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第24話
10人のデター
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ジョンの指示の元、マーブル博士はデターを10名人化する為に10名分の培養液を取りに行った。
そしてその間にネルソンも試作版のシステムプログラムの作成を順調に進めていた。
「あとは、デターとドングリを数値化する為に必要なスキャン装置が必要ですね。まずドングリですが、私の銀行ではお客様にあらかじめ1個ずつ数えてもらってその数字を通帳記入しているのですが、これが数えるのがなかなか大変で。数値化する為に他の方法を考えた方が良いかもしれませんね。」
「ジョンさん、ドングリって種類によっては大きさもさまざまですよね?ドングリ1個でもサイズに差があるのに価値が同じなのは変だと思います。」
「アイさん、さすが鋭い視点ですね。確かにサイズが違うのに価値が同じなのは私も違和感を感じていました。」
「それなら、ドングリの重さで価値を数値化するのはどうでしょうか?見た目の大きさと重さは比例するでしょ?」
「なるほど!どうして今まで気付かなかったんだ!通貨の数え方はその数であるという固定概念がありましたが、凄いですねぇ!あっぱれですよアイさん!それでいきましょう!」
「アイ、やるじゃん!めちゃくちゃ褒められてるね。」
「えへへへ。そんなに褒められたら照れます。」
「シンプルに集めたドングリを計量器で計って、そのグラム数がドングリの価値を数値化した事になるのであれば、わざわざ1個ずつ数える手間とそれによる無駄な時間とストレスが無くなりますね。」
「そうですね。ちなみに小数点以下は切り捨てるか、繰り上げるかを決めた方が良いかもしれませんね。」
「そうですね。例えば59.5gだった場合は小数点以下は切り捨てるなら59。繰り上げるなら60。さてどちらが良いでしょうかねぇ。」
「私だったら少しでもお得な方が嬉しいから繰り上げの方が良いですね。」
「わたしも賛成です!ではドングリの数値化方法は計量で、小数点以下は繰り上げにしましょう。」
「次は僕たちデターの数値化方法だね。」
「ジョンさん、これは私に任せて下さい。デタースキャナーを作るには母譲りの私の技術が必要なので。」
「分かりました!ではアイさんのそのデタースキャナーもネルソンくんのシステムと連動出来る様にしましょう。宜しく頼みますよ。」
「はい!任せて下さい!」
アイは親指を立ててウィンクをした。
「こんなにもワクワクする仕事はわたしは今まで経験した事がないですよ。だってゴキブリとドングリを本気で通貨にしようとしてるんですからね。前代未聞だからこそ楽しみです。」
「そう言って頂けると心強いです。」
アイはニコッと笑った。
「よーっし!気合い入れて行こう!」
テンションが上がったメデタはいきなり大きな声で叫んだ。
「いいですねぇ!」
「せーのー!おおおおおおおお!!!!」
3人は拳を天高く突き上げた。
そこへマーブル博士が戻って来た。
「おおー!なんだかみんな気合いがはいっとるのぉ!どれ、わしも仲間に入れてくれぃ!」
「よーっし!マーブル博士も一緒にー!もういっちょー!」
メデタはさらにテンションを上げて大きな声で叫んだ。
「えい!えい!おおおおおおおお!!!!」
4人はジャンプしながら両手を天高く突き上げた。
「プルルルル。プルルルル。」
その時だった。ジョンの胸ポケットから着信音が鳴った。
電話に出たジョンは2回頷くと電話を切った。そしてみんなの顔を見てニコッと笑った。
「皆さん聞いて下さい。メデルマネーのシステムが完成しました!」
「すごーーい!!めちゃくちゃ早くないですか?凄いなぁ!ネルソンさん!」
「彼はわたしの右腕ですからねぇ。腕は確かです。あっそうそう!システムが出来たと言ってもまだ試作段階ですからね。不備は多いと思います。その不備を実際に使いながら改善していきましょう。」
「楽しみだなぁ!」
テンション冷めやまぬメデタはワクワクしている。
「それじゃぁ早速、デターを人化するぞ。メデタくん良いかい?」
「はい!」
メデタはポケットに手を突っ込むと、10匹のデターを取り出し地面にそっと放した。
言葉は分からずとも、この状況を把握している10匹のデターは、当然逃げる事はなく、自ら横一列に並び始めた。
「素晴らしい!素晴らし過ぎる!デターくんたち!やはり賢い昆虫じゃのぉ。」
「博士、そんなに褒められると照れますよぉ。」
メデタはニヤケ顔で言った。
「こんなにもキレイに横一列に並んでくれるとはな!さすがに初めて見たよ。」
「優秀な皆さんに期待していますよ。」
ジョンは膝に手をついて、低い姿勢になると、足元に並んだ10匹のデターたちに小声で話しかけた。
「それじゃぁ、培養液をかけるぞぁ。」
マーブル博士は小瓶に入った培養液を右から順番に1匹に1本ずつかけていった。
すると間もなくして、デターたちに異変が起きてきた。
まず、1番最初に培養液をかけられた右側のデターがぐぐぐぐっとみるみる大きくなっていった。
そして続いて培養液をかけられた順番で同じように1匹ずつ大きくなっていく一同は初めて見る光景に口をポカーンと開けている。
大きくなったその姿は粘度の高い緑色の培養液の膜のような殻に包まれている。
すると突然、ベリベリベリ!っという何かが破けるような音がした。
それと同時に培養液の膜のような殻の中からゆっくりと裸の人間が次々と出てきた。
見事に10人の人化したデターが誕生した。
その姿は男性6名、女性4名。
アイとメデタは、あらかじめ用意していた衣類と白衣を着せた。
「改めてはじめまして!デターくんたち!」
マーブル博士は両手を広げて挨拶をした。
「ア、アァ」
「イ、イィ」
「ウ、ウゥ」
「エ、エェ」
「オ、オォ」
デターの何名かは返事をしているのか、何かを言おうとしているようだが、まだ言葉は話せない。
「マーブル博士、少しお時間を頂けますか?デターの皆さんに言葉を教えたいので。」
「あぁ、もちろん。アイちゃん、宜しく頼むよ。」
アイは、まだ足元もおぼつかない10名の人化したデターたちを近くの木に囲むように座らせると、吊るすタイプのホワイトボードを取り付け、即席の青空教室を始めた。
「なんだか面白そうですねぇ。わたしも授業に参加させていただきましょう。」
「わーしも!」
ジョンとマーブルも一緒にアイの青空教室に加わった。
「僕はアイの補助するよ。何でも言ってね。」
「うん。メデタ、ありがとう。」
こうしてアイは10人の人化したデターに、ある程度会話が出来るくらいまで、教え込んだ。
やはり驚異的なのは、デターの情報吸収力と理解力のスピードだろう。
この能力は間違いなく人間を凌駕するものだろう。
ひとつだけ言える事は、間違いなく敵にはしたくない相手である。
そしてその間にネルソンも試作版のシステムプログラムの作成を順調に進めていた。
「あとは、デターとドングリを数値化する為に必要なスキャン装置が必要ですね。まずドングリですが、私の銀行ではお客様にあらかじめ1個ずつ数えてもらってその数字を通帳記入しているのですが、これが数えるのがなかなか大変で。数値化する為に他の方法を考えた方が良いかもしれませんね。」
「ジョンさん、ドングリって種類によっては大きさもさまざまですよね?ドングリ1個でもサイズに差があるのに価値が同じなのは変だと思います。」
「アイさん、さすが鋭い視点ですね。確かにサイズが違うのに価値が同じなのは私も違和感を感じていました。」
「それなら、ドングリの重さで価値を数値化するのはどうでしょうか?見た目の大きさと重さは比例するでしょ?」
「なるほど!どうして今まで気付かなかったんだ!通貨の数え方はその数であるという固定概念がありましたが、凄いですねぇ!あっぱれですよアイさん!それでいきましょう!」
「アイ、やるじゃん!めちゃくちゃ褒められてるね。」
「えへへへ。そんなに褒められたら照れます。」
「シンプルに集めたドングリを計量器で計って、そのグラム数がドングリの価値を数値化した事になるのであれば、わざわざ1個ずつ数える手間とそれによる無駄な時間とストレスが無くなりますね。」
「そうですね。ちなみに小数点以下は切り捨てるか、繰り上げるかを決めた方が良いかもしれませんね。」
「そうですね。例えば59.5gだった場合は小数点以下は切り捨てるなら59。繰り上げるなら60。さてどちらが良いでしょうかねぇ。」
「私だったら少しでもお得な方が嬉しいから繰り上げの方が良いですね。」
「わたしも賛成です!ではドングリの数値化方法は計量で、小数点以下は繰り上げにしましょう。」
「次は僕たちデターの数値化方法だね。」
「ジョンさん、これは私に任せて下さい。デタースキャナーを作るには母譲りの私の技術が必要なので。」
「分かりました!ではアイさんのそのデタースキャナーもネルソンくんのシステムと連動出来る様にしましょう。宜しく頼みますよ。」
「はい!任せて下さい!」
アイは親指を立ててウィンクをした。
「こんなにもワクワクする仕事はわたしは今まで経験した事がないですよ。だってゴキブリとドングリを本気で通貨にしようとしてるんですからね。前代未聞だからこそ楽しみです。」
「そう言って頂けると心強いです。」
アイはニコッと笑った。
「よーっし!気合い入れて行こう!」
テンションが上がったメデタはいきなり大きな声で叫んだ。
「いいですねぇ!」
「せーのー!おおおおおおおお!!!!」
3人は拳を天高く突き上げた。
そこへマーブル博士が戻って来た。
「おおー!なんだかみんな気合いがはいっとるのぉ!どれ、わしも仲間に入れてくれぃ!」
「よーっし!マーブル博士も一緒にー!もういっちょー!」
メデタはさらにテンションを上げて大きな声で叫んだ。
「えい!えい!おおおおおおおお!!!!」
4人はジャンプしながら両手を天高く突き上げた。
「プルルルル。プルルルル。」
その時だった。ジョンの胸ポケットから着信音が鳴った。
電話に出たジョンは2回頷くと電話を切った。そしてみんなの顔を見てニコッと笑った。
「皆さん聞いて下さい。メデルマネーのシステムが完成しました!」
「すごーーい!!めちゃくちゃ早くないですか?凄いなぁ!ネルソンさん!」
「彼はわたしの右腕ですからねぇ。腕は確かです。あっそうそう!システムが出来たと言ってもまだ試作段階ですからね。不備は多いと思います。その不備を実際に使いながら改善していきましょう。」
「楽しみだなぁ!」
テンション冷めやまぬメデタはワクワクしている。
「それじゃぁ早速、デターを人化するぞ。メデタくん良いかい?」
「はい!」
メデタはポケットに手を突っ込むと、10匹のデターを取り出し地面にそっと放した。
言葉は分からずとも、この状況を把握している10匹のデターは、当然逃げる事はなく、自ら横一列に並び始めた。
「素晴らしい!素晴らし過ぎる!デターくんたち!やはり賢い昆虫じゃのぉ。」
「博士、そんなに褒められると照れますよぉ。」
メデタはニヤケ顔で言った。
「こんなにもキレイに横一列に並んでくれるとはな!さすがに初めて見たよ。」
「優秀な皆さんに期待していますよ。」
ジョンは膝に手をついて、低い姿勢になると、足元に並んだ10匹のデターたちに小声で話しかけた。
「それじゃぁ、培養液をかけるぞぁ。」
マーブル博士は小瓶に入った培養液を右から順番に1匹に1本ずつかけていった。
すると間もなくして、デターたちに異変が起きてきた。
まず、1番最初に培養液をかけられた右側のデターがぐぐぐぐっとみるみる大きくなっていった。
そして続いて培養液をかけられた順番で同じように1匹ずつ大きくなっていく一同は初めて見る光景に口をポカーンと開けている。
大きくなったその姿は粘度の高い緑色の培養液の膜のような殻に包まれている。
すると突然、ベリベリベリ!っという何かが破けるような音がした。
それと同時に培養液の膜のような殻の中からゆっくりと裸の人間が次々と出てきた。
見事に10人の人化したデターが誕生した。
その姿は男性6名、女性4名。
アイとメデタは、あらかじめ用意していた衣類と白衣を着せた。
「改めてはじめまして!デターくんたち!」
マーブル博士は両手を広げて挨拶をした。
「ア、アァ」
「イ、イィ」
「ウ、ウゥ」
「エ、エェ」
「オ、オォ」
デターの何名かは返事をしているのか、何かを言おうとしているようだが、まだ言葉は話せない。
「マーブル博士、少しお時間を頂けますか?デターの皆さんに言葉を教えたいので。」
「あぁ、もちろん。アイちゃん、宜しく頼むよ。」
アイは、まだ足元もおぼつかない10名の人化したデターたちを近くの木に囲むように座らせると、吊るすタイプのホワイトボードを取り付け、即席の青空教室を始めた。
「なんだか面白そうですねぇ。わたしも授業に参加させていただきましょう。」
「わーしも!」
ジョンとマーブルも一緒にアイの青空教室に加わった。
「僕はアイの補助するよ。何でも言ってね。」
「うん。メデタ、ありがとう。」
こうしてアイは10人の人化したデターに、ある程度会話が出来るくらいまで、教え込んだ。
やはり驚異的なのは、デターの情報吸収力と理解力のスピードだろう。
この能力は間違いなく人間を凌駕するものだろう。
ひとつだけ言える事は、間違いなく敵にはしたくない相手である。
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