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脱走
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続いて、歌劇のリハーサルとなった。秀一はオーケストラと歌曲の練習はしていたが、歌劇と合わせて本番さながらのリハーサルを行うのは初めてだった。
楽器構成にはピアノがない為、秀一はオルガンを演奏する。秀一がピアノ以外の楽器を公演にて演奏したことは今までになく、これもこけら落しの目玉のひとつとなっていた。
通常、歌劇では、舞台の上の演技が良く見えることと、歌手の声の響きがオーケストラの大音量に分断されてしまわないよう、いちだん低くなった場所にオーケストラを置く。これをオーケストラ・ピットと呼び、オペラ上演になくてはならない劇場の機能だ。
オーケストラの演奏会では指揮者の様子が主役のように目に入るが、こうしてピットに入ってしまうと、客席からはよく見えない。こうして、できるだけ演技と歌唱に集中してもらうよう配慮しているのだ。
だが、秀一がオーケストラ・ピットに入って演奏してしまうと客席からは彼の姿が見えなくなってしまう。これでは客寄せの為に彼を特別ゲストして招待した意味がなくなってしまう。
そこで、劇場側はオーケストラ・ピットにカメラを2台設置した。全体を映す為のカメラと、オルガン演奏する秀一のみに焦点を当てたカメラだ。
この劇場には左右上方に大きなスクリーンが2台置かれており、観客席が遠く舞台の演劇がよく見えない観客の為に演劇の様子をリアルタイムで映し出してくれる。VIP席には各席に小さなモニターが設置され、そこでも見ることが出来る。
秀一が出演するこの日は、アリアが始まるとスクリーン画面がオーケストラ・ピットに切り替わり、彼のオルガン演奏している姿が映し出される手筈となっている。
どうしてもこけら落しを成功させたいという劇場側の執念のようなものすら感じる。そして、それに大きくかかっているのが秀一の存在なのだと思うと、改めて美姫はピアニストとしての彼を尊敬しつつも、遠くに感じて寂しさを覚えずにはいられなかった。
劇が進み、第1幕のカラフ王子の従者であるリューの「お聞き下さい、王子様」のアリアが流れる。すると、スクリーンが舞台の映像からオーケストラ・ピットへと切り替わった。
歌劇を今までに何度か観てきたが、いつも上から覗く形でしか見ることが出来なかったオーケストラ・ピットの様子がスクリーンを通じて見られる試みは、美姫にとって非常に新鮮に感じた。
オーケストラ・ピットは非常に狭い空間のため、カメラマンを入れることは出来ず、固定カメラからの映像を切り替えて映し出していた。全体の映像よりも、秀一のオルガン演奏の映像の方が圧倒的に時間は長かった。
歌劇というだけあり、劇中にはさまざまなアリアが登場し、オーケストラはその度にアリアに合わせて演奏する。
秀一はピアニストとして若くから成功し、CDを出したり単独でリサイタルを行うほどなので、歌劇でオーケストラ演奏するのはピアノ演奏含めて恐らく初めてだろうと美姫は思った。
この歌劇に合わせて練習はしてきているだろうが、多忙なスケジュールの合間を縫って練習する時間など、美姫が知る限りでは殆どなかった。
だが、スクリーンに映し出される秀一は自信に満ち溢れ、不安など微塵も感じられなかった。
これが、プロのピアニストとしての秀一さんなんだ......
楽器構成にはピアノがない為、秀一はオルガンを演奏する。秀一がピアノ以外の楽器を公演にて演奏したことは今までになく、これもこけら落しの目玉のひとつとなっていた。
通常、歌劇では、舞台の上の演技が良く見えることと、歌手の声の響きがオーケストラの大音量に分断されてしまわないよう、いちだん低くなった場所にオーケストラを置く。これをオーケストラ・ピットと呼び、オペラ上演になくてはならない劇場の機能だ。
オーケストラの演奏会では指揮者の様子が主役のように目に入るが、こうしてピットに入ってしまうと、客席からはよく見えない。こうして、できるだけ演技と歌唱に集中してもらうよう配慮しているのだ。
だが、秀一がオーケストラ・ピットに入って演奏してしまうと客席からは彼の姿が見えなくなってしまう。これでは客寄せの為に彼を特別ゲストして招待した意味がなくなってしまう。
そこで、劇場側はオーケストラ・ピットにカメラを2台設置した。全体を映す為のカメラと、オルガン演奏する秀一のみに焦点を当てたカメラだ。
この劇場には左右上方に大きなスクリーンが2台置かれており、観客席が遠く舞台の演劇がよく見えない観客の為に演劇の様子をリアルタイムで映し出してくれる。VIP席には各席に小さなモニターが設置され、そこでも見ることが出来る。
秀一が出演するこの日は、アリアが始まるとスクリーン画面がオーケストラ・ピットに切り替わり、彼のオルガン演奏している姿が映し出される手筈となっている。
どうしてもこけら落しを成功させたいという劇場側の執念のようなものすら感じる。そして、それに大きくかかっているのが秀一の存在なのだと思うと、改めて美姫はピアニストとしての彼を尊敬しつつも、遠くに感じて寂しさを覚えずにはいられなかった。
劇が進み、第1幕のカラフ王子の従者であるリューの「お聞き下さい、王子様」のアリアが流れる。すると、スクリーンが舞台の映像からオーケストラ・ピットへと切り替わった。
歌劇を今までに何度か観てきたが、いつも上から覗く形でしか見ることが出来なかったオーケストラ・ピットの様子がスクリーンを通じて見られる試みは、美姫にとって非常に新鮮に感じた。
オーケストラ・ピットは非常に狭い空間のため、カメラマンを入れることは出来ず、固定カメラからの映像を切り替えて映し出していた。全体の映像よりも、秀一のオルガン演奏の映像の方が圧倒的に時間は長かった。
歌劇というだけあり、劇中にはさまざまなアリアが登場し、オーケストラはその度にアリアに合わせて演奏する。
秀一はピアニストとして若くから成功し、CDを出したり単独でリサイタルを行うほどなので、歌劇でオーケストラ演奏するのはピアノ演奏含めて恐らく初めてだろうと美姫は思った。
この歌劇に合わせて練習はしてきているだろうが、多忙なスケジュールの合間を縫って練習する時間など、美姫が知る限りでは殆どなかった。
だが、スクリーンに映し出される秀一は自信に満ち溢れ、不安など微塵も感じられなかった。
これが、プロのピアニストとしての秀一さんなんだ......
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