チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

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第十章 同じ空の下

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 キャンプサイトに戻ると、松元先生と赤井先生が火を囲んでビールを飲んでいた。

『先生ぇー』

 みんなで笑顔で手を振っていると、松元先生が立ち上がった。

「あんたたちゃなんね、火を消していかんと! 火事になったらどぉするがよ!」

 思いっきり怒られ、テントに入って静かに寝るように告げられ、私たちはすごすごとテントの中へ入っていった。けれど、もちろんそれで大人しく寝られるはずがない。ランタンを灯し、寝袋を出して広げながら、今日あったキャンプのことで話が盛り上がる。

「今日、なんが一番楽しかったぁ?」

 郁美の質問に、由美子が手を挙げる。

「あたしはピザ作り!」
「ピザぁ、楽しかったねぇ」
「私も!!」
「あーあ、いいなぁ。あたしもピザ作りたかったがよ」
「ねぇ」

 郁美と涼子は顔を見合わせ、溜息を吐いた。

「勇気はいつも通りじゃけど、田中くん頑張ってたね」
「田中くん、大活躍だったがよ!」
「わっぜいい人、田中くん!」
「五右衛門風呂も手伝ってくれたしね」
「田中くんの株、急上昇したがよー。見直した!」

 真紀の声を聞き、涼子が「だめぇ!」と声を上げる。いつも冷静な涼子の反応に驚き、みんなで唖然と見つめた。

「もしかして……涼子ぉ、田中くんのことぉ好いとぉ?」

 郁美の問いかけに、涼子は顔を真っ赤にした。

「っていうか……あたしたち、付きおうとうがよ」
「つっ、付き……!!」

 大声をあげかけた真紀の口を涼子が塞ぐ。

「みんなにはぁ、まだ内緒って話だったがよ。こん中でぇカップルがおると、変な空気になるかもしれんから、後で打ち明けようって二人でぇ話して……」
「だから、わざと違う班にしたんだ」
「うん……」

 涼子は小さく頷いた。由美子と真紀は涼子に顔をグイと近づけた。 

「ねぇねぇ、何がきっかけだったの? やっぱりドラゴンボートけ?」
「そいで、二人の仲が急接近!? キャーッ!!」
「そ、そんなんじゃないだがよ。ほら、あたしたち『夏トライ』参加したん覚えとるけ? あの合宿で知っとる人、田中くんだけだったがよ。そいで志望校聞いたら、おんなじ鹿大やって分かって……」
「うわーっ、キャンパスラブがよ!」
「わっぜ、素敵ー!!」

 由美子と真紀は前のめりになりながら、涼子よりも盛り上がっていた。郁美はニヤニヤしながら、涼子に顔を向けた。

「あー、あん時ぃポロリに反応したんは、涼子の裸想像したからね」
「ッッ……!!」

 涼子はますます顔を真っ赤にした。

「あーあ、『チェストー!ズ』にカップル成立かぁー。私も彼氏、欲しいがよ」

 由美子の嘆きに、真紀が続く。

「『チェストー!ズ』ん中での有力候補は海くんだけどぉ、海くんは女子とは全然喋らんし、冷たいから、近づけんがよー。まぁ、今回のキャンプで笑い上戸って知って、ギャップ萌えはあったけど」
「えっ、海くんが? そんなことないよ。結構喋るし、笑うし、からかってきたりもするし……全然冷たくないよ!」

 誤解されてる海くんのイメージを払拭しようと反論すると、今度は私に興味の矛先が向けられた。

「なーん! それは海くんが美和子のこと好いとうからでしょ!」
「あーあ、ここでもカップル成立かぁ。イケメンの海くんとられて、わっぜ悔しいが!!」
「そ、そんなんじゃないって……私たちはっっ」

 以前、郁美に話した時はもっとちゃんと否定できてたのに、今は言いながら胸が痛くなる。海くんと過ごした日々が勝手に頭の中にどんどん浮かんできて、海くんの笑顔や意地悪だったり、少し照れた顔が鮮やかに蘇って、苦しくなる。

「郁美と勇気くんは既に熟年夫婦じゃしね」

 涼子がそう言うと、今度は郁美が慌てて否定した。

「あたしたちは、そんなんじゃ仲がよ!! だーれが、勇気と!!」

 真っ赤になる郁美に、先ほどの勇気くんの手の感触が蘇ってきて、複雑な気持ちになった。
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