チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

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第九章 異空間へのトリップ

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 郁美に先導されるまま歩いて行くと、錆び付いた朱塗りの鳥居が現れた。鳥居の真ん中の碑には黒地に金色で『清水神社』と彫られている。

「きよみず神社?」
「しみず神社、言うんよ。恋の叶う神社として人気なんよ」
「へぇ、そうなんだ……」

 神社の案内板には、縁結び、安産だけでなく、文筆の神とあった。

 ここでお祈りすれば、文章力が上がるかも!

 昔から神社は出合いの場と謂れ、殊に祭りの日は、夜更けまで神楽が有り、境内は多くの人々で賑わったそうだ。そこには、『天正十五年五月豊臣秀吉公が境内から曽木の滝を見物された』とも記されていて、由緒正しき神社だったんだと知り、背筋を伸ばした。小さな祠にお賽銭を投げるとみんなで柏手を打ち、参拝する。

 文筆が上がりますように……

 そうお祈りする私の頭の片隅で、郁美の『恋の叶う神社として人気なんよ』という言葉が響いた。

 恋の叶うって……私には、好きな人いないのに。

 そう思った途端、隣に立ってる海くんを感じて身体が硬くなる。

 な、なんでっっ……違う!!

 さっき目が合ってしまったせいか、変に意識してしまってる。

 勇気が真剣にお祈りするお母さんに向かって、ジロリと視線を投げた。

「なぁんで母ちゃんまで参拝しとんね! 必要ないが!」
「バーカ、あたしのためじゃなかね。あんたぁが、可愛いお嫁さん捕まえられるように必死に祈っとったが」
「んな心配いらんけ」
「あんたぁ、どの顔が言う?」
「俺は母ちゃんの子やど!」
「だから、心配ね」

 お母さんの言葉に、勇気くんが黙り込む。

「ハッハ……勇気の負けね!」
「あー、郁ちゃんがぁ、勇気ぃんとこ嫁に来てくれたらぁ一番ええけどねぇ」

 郁美は唖然としてから、顔を真っ赤にした。

「おばちゃん、なん言っとるん! あたしの理想の旦那はイケメンスパダリって、前に説明したがよー!」
「ほぉけー。勇気ぃじゃダメね」
「どぉいう意味が! 郁美なんてぇ、こっちから願い下げが!」
「こらっ! なん言うが!」

 勇気くんのお母さんが思いっきり勇気くんの後頭部を叩き、「ってぇ……」と、勇気くんが頭を抱えた。

 神社に奉納された絵馬を見て、思わず声を上げた。

「可愛い! ハートの形してる!!」

 角型の絵馬と一緒に、ハートの形の絵馬があり、その裏には『○○くんと両思いになれますように』とか『○○くんと、ずーっと一緒にいられますように』というような恋のお祈りが書かれていた。

 好きな人を思って、わざわざここまで足を運んだ人たちがたくさんいるんだな……

 絵馬を覗きながら、それを書いた人達に思いを馳せていると、郁美が背後から声を掛けた。

「美和子も、願い事書く?」
「えっ……いい、いいっ!! 私はいいっ!!」

 ブンブンと首を振ると、郁美がニヤニヤ笑った。

「そぉ? なんか気になるみたいがよ」
「そんなことない! 次行こ、次!」
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