チェストー! 伊佐高龍舟チーム!!

奏音 美都

文字の大きさ
51 / 72
第九章 異空間へのトリップ

しおりを挟む
  滝見台を出てさらに歩いて行くと、黒いパイプのようなものが横たわっていた。そこには、再び説明の書かれた看板がある。

「あ! そぎーちゃん発見!」

 何気に嬉しい。私、伊佐のキャラにハマってきてるかも。

 これは導水路で、下流の水車・発電機まで水を導く水路なのだそうだ。至る所に発電に関するものがあって、それを発見していくのが楽しい。その近くには、自動除塵機が展示されていた。

 駐車場へと戻る途中、不思議な猿の親子像が置かれているのに気づいた。『洞窟きのこ園』と書かれた看板を母猿が持っていて、その肩に子猿が乗っている。

 うわっ、また新たなキャラクター登場……恐るべし、伊佐!
 まさか、猿が洞窟に住んでるんじゃないよね。

 その横には大きな赤い矢印の看板に『洞窟入口』とでかでかと書かれていて、横にトンネルのように光が射した洞窟とそこに置かれた菩薩像の写真と、説明がついたパネルが貼られていた。

―光と影の地底空間―
洞窟きのこ園は、旧曽木発電所導水路跡を利用した観光施設です。今も明治の面影を残している導水路―
地底環境を利用した、きのこ栽培やきのこミュージアム、曽木の滝周辺で捕れた大鯉や大鯰(なまず)が泳ぐ様は、まさに幻想的の世界です。(園内では、きのこ狩りもできます)

 その横に、大人200円とあり、しかも、『きのこ園から駐車場に出られます』と書かれている。

 行きたいっっ!!

 そう思ったんだけど……写真パネルの上には赤い太文字で、『洞窟きのこ園は2016年に閉園しました』と書かれてあった。すごく、残念……

「郁美と勇気くんは行ったことあるの?」
「うん、あるね」
「おぉ、あるが」

 2人同時に答えた。

「洞窟ん中に岩にたくさんきのこが張り付いたのがずらーっと並んでて、大きな水槽ん中に鯉とかナマズが泳いでたね。あっ、きのこ狩りもしとったがよ」
「あぁーっ、あとなんでか菩薩像みたいんもあったなぁ」

 すると、後ろから勇気くんのお母さんが看板を覗き込んだ。

「こんきのこ園はね、元々はぁ発電所への導水路として建設されたものがよ。その発電所がぁ、この後行く『曽木発電所遺構』やっどね、廃止されてからは養鯉場や遊歩道として利用されたがよ」

 それを聞いてますます興味がそそられたのに、その中を見ることが出来ず、がっかりした。

「なんで閉園になっちゃったんですか?」
「さぁねぇ……今でもきのこは栽培しとるらしいけど、私もなんで閉園したのか分からんがよ」
「そうですか……」

 肩を落としていると、郁美が宥めるようにポンと手を触れた。

「じゃ、美和子をええとこに連れてってあげるけぇ!」
「曽木発電所遺構のこと?」

 それは、次に行く目的地だった。

「うんにゃー、それはその後!」

 また公園内をどんどん歩いて行く。鳥が囀り、蝉の鳴き声が響いてくる。けれど、樹々に囲まれていて緑が多いせいか、夏を彩る爽やかな歌声のように感じる。曽木の滝がメインで、公園はそれほど大きくないかと予想していたけど、結構広い。

 視界の先に、石畳に苔むした石塀が片側に続く趣のある道が見えた。

「ここは、導水路跡ね」

 旧発電所を利用した散策路なのだそうだ。その先には岩でできたトンネルがあって、まるでタイムスリップへの入口のようにも感じる。さらに奥へと歩いて行くと、石が綺麗に積まれた円状の穴がぽっこりと空いていた。石には小さな穴がいくつも空いていて、ここに何が埋まっているんだろうとか、何の目的で使われたんだろうとか、いろんな疑問が湧いてくる。なんだか不思議な空間だ。

 タイムスリップ、本当にありえるかも……

 今ここにいるという記憶を残すために、シャッターを切った。おそるおそる足を踏み出すと、説明の看板があり、ヘッドタンク跡だとあった。

「ここに連れてきてくれようとしてたの?」

 郁美に尋ねると、笑顔で「うんにゃー」と答えられた。

「こぉの先がよ! 女子の目指すスポットは」

 女子の、目指す……?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...