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第九章 異空間へのトリップ
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滝見台を出てさらに歩いて行くと、黒いパイプのようなものが横たわっていた。そこには、再び説明の書かれた看板がある。
「あ! そぎーちゃん発見!」
何気に嬉しい。私、伊佐のキャラにハマってきてるかも。
これは導水路で、下流の水車・発電機まで水を導く水路なのだそうだ。至る所に発電に関するものがあって、それを発見していくのが楽しい。その近くには、自動除塵機が展示されていた。
駐車場へと戻る途中、不思議な猿の親子像が置かれているのに気づいた。『洞窟きのこ園』と書かれた看板を母猿が持っていて、その肩に子猿が乗っている。
うわっ、また新たなキャラクター登場……恐るべし、伊佐!
まさか、猿が洞窟に住んでるんじゃないよね。
その横には大きな赤い矢印の看板に『洞窟入口』とでかでかと書かれていて、横にトンネルのように光が射した洞窟とそこに置かれた菩薩像の写真と、説明がついたパネルが貼られていた。
―光と影の地底空間―
洞窟きのこ園は、旧曽木発電所導水路跡を利用した観光施設です。今も明治の面影を残している導水路―
地底環境を利用した、きのこ栽培やきのこミュージアム、曽木の滝周辺で捕れた大鯉や大鯰(なまず)が泳ぐ様は、まさに幻想的の世界です。(園内では、きのこ狩りもできます)
その横に、大人200円とあり、しかも、『きのこ園から駐車場に出られます』と書かれている。
行きたいっっ!!
そう思ったんだけど……写真パネルの上には赤い太文字で、『洞窟きのこ園は2016年に閉園しました』と書かれてあった。すごく、残念……
「郁美と勇気くんは行ったことあるの?」
「うん、あるね」
「おぉ、あるが」
2人同時に答えた。
「洞窟ん中に岩にたくさんきのこが張り付いたのがずらーっと並んでて、大きな水槽ん中に鯉とかナマズが泳いでたね。あっ、きのこ狩りもしとったがよ」
「あぁーっ、あとなんでか菩薩像みたいんもあったなぁ」
すると、後ろから勇気くんのお母さんが看板を覗き込んだ。
「こんきのこ園はね、元々はぁ発電所への導水路として建設されたものがよ。その発電所がぁ、この後行く『曽木発電所遺構』やっどね、廃止されてからは養鯉場や遊歩道として利用されたがよ」
それを聞いてますます興味がそそられたのに、その中を見ることが出来ず、がっかりした。
「なんで閉園になっちゃったんですか?」
「さぁねぇ……今でもきのこは栽培しとるらしいけど、私もなんで閉園したのか分からんがよ」
「そうですか……」
肩を落としていると、郁美が宥めるようにポンと手を触れた。
「じゃ、美和子をええとこに連れてってあげるけぇ!」
「曽木発電所遺構のこと?」
それは、次に行く目的地だった。
「うんにゃー、それはその後!」
また公園内をどんどん歩いて行く。鳥が囀り、蝉の鳴き声が響いてくる。けれど、樹々に囲まれていて緑が多いせいか、夏を彩る爽やかな歌声のように感じる。曽木の滝がメインで、公園はそれほど大きくないかと予想していたけど、結構広い。
視界の先に、石畳に苔むした石塀が片側に続く趣のある道が見えた。
「ここは、導水路跡ね」
旧発電所を利用した散策路なのだそうだ。その先には岩でできたトンネルがあって、まるでタイムスリップへの入口のようにも感じる。さらに奥へと歩いて行くと、石が綺麗に積まれた円状の穴がぽっこりと空いていた。石には小さな穴がいくつも空いていて、ここに何が埋まっているんだろうとか、何の目的で使われたんだろうとか、いろんな疑問が湧いてくる。なんだか不思議な空間だ。
タイムスリップ、本当にありえるかも……
今ここにいるという記憶を残すために、シャッターを切った。おそるおそる足を踏み出すと、説明の看板があり、ヘッドタンク跡だとあった。
「ここに連れてきてくれようとしてたの?」
郁美に尋ねると、笑顔で「うんにゃー」と答えられた。
「こぉの先がよ! 女子の目指すスポットは」
女子の、目指す……?
「あ! そぎーちゃん発見!」
何気に嬉しい。私、伊佐のキャラにハマってきてるかも。
これは導水路で、下流の水車・発電機まで水を導く水路なのだそうだ。至る所に発電に関するものがあって、それを発見していくのが楽しい。その近くには、自動除塵機が展示されていた。
駐車場へと戻る途中、不思議な猿の親子像が置かれているのに気づいた。『洞窟きのこ園』と書かれた看板を母猿が持っていて、その肩に子猿が乗っている。
うわっ、また新たなキャラクター登場……恐るべし、伊佐!
まさか、猿が洞窟に住んでるんじゃないよね。
その横には大きな赤い矢印の看板に『洞窟入口』とでかでかと書かれていて、横にトンネルのように光が射した洞窟とそこに置かれた菩薩像の写真と、説明がついたパネルが貼られていた。
―光と影の地底空間―
洞窟きのこ園は、旧曽木発電所導水路跡を利用した観光施設です。今も明治の面影を残している導水路―
地底環境を利用した、きのこ栽培やきのこミュージアム、曽木の滝周辺で捕れた大鯉や大鯰(なまず)が泳ぐ様は、まさに幻想的の世界です。(園内では、きのこ狩りもできます)
その横に、大人200円とあり、しかも、『きのこ園から駐車場に出られます』と書かれている。
行きたいっっ!!
そう思ったんだけど……写真パネルの上には赤い太文字で、『洞窟きのこ園は2016年に閉園しました』と書かれてあった。すごく、残念……
「郁美と勇気くんは行ったことあるの?」
「うん、あるね」
「おぉ、あるが」
2人同時に答えた。
「洞窟ん中に岩にたくさんきのこが張り付いたのがずらーっと並んでて、大きな水槽ん中に鯉とかナマズが泳いでたね。あっ、きのこ狩りもしとったがよ」
「あぁーっ、あとなんでか菩薩像みたいんもあったなぁ」
すると、後ろから勇気くんのお母さんが看板を覗き込んだ。
「こんきのこ園はね、元々はぁ発電所への導水路として建設されたものがよ。その発電所がぁ、この後行く『曽木発電所遺構』やっどね、廃止されてからは養鯉場や遊歩道として利用されたがよ」
それを聞いてますます興味がそそられたのに、その中を見ることが出来ず、がっかりした。
「なんで閉園になっちゃったんですか?」
「さぁねぇ……今でもきのこは栽培しとるらしいけど、私もなんで閉園したのか分からんがよ」
「そうですか……」
肩を落としていると、郁美が宥めるようにポンと手を触れた。
「じゃ、美和子をええとこに連れてってあげるけぇ!」
「曽木発電所遺構のこと?」
それは、次に行く目的地だった。
「うんにゃー、それはその後!」
また公園内をどんどん歩いて行く。鳥が囀り、蝉の鳴き声が響いてくる。けれど、樹々に囲まれていて緑が多いせいか、夏を彩る爽やかな歌声のように感じる。曽木の滝がメインで、公園はそれほど大きくないかと予想していたけど、結構広い。
視界の先に、石畳に苔むした石塀が片側に続く趣のある道が見えた。
「ここは、導水路跡ね」
旧発電所を利用した散策路なのだそうだ。その先には岩でできたトンネルがあって、まるでタイムスリップへの入口のようにも感じる。さらに奥へと歩いて行くと、石が綺麗に積まれた円状の穴がぽっこりと空いていた。石には小さな穴がいくつも空いていて、ここに何が埋まっているんだろうとか、何の目的で使われたんだろうとか、いろんな疑問が湧いてくる。なんだか不思議な空間だ。
タイムスリップ、本当にありえるかも……
今ここにいるという記憶を残すために、シャッターを切った。おそるおそる足を踏み出すと、説明の看板があり、ヘッドタンク跡だとあった。
「ここに連れてきてくれようとしてたの?」
郁美に尋ねると、笑顔で「うんにゃー」と答えられた。
「こぉの先がよ! 女子の目指すスポットは」
女子の、目指す……?
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