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第八章 いさドラゴンカップ
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艇から降りると、興奮を引きずったままみんなでハイタッチした。
「きゃぁぁぁぁ、『チェストー!ズ』やったがよー」
「といはだ、立ったが!!」
加わった由美子と真紀ともハイタッチを交わす。保護者の人たちも艇を降りたすぐ側で待っていてくれて、温かい拍手と歓声で迎えてくれた。
「よぉきばったなー!」
「優勝、おめでとう!!」
「おつかれさーん」
その中から、おばあちゃんが前に出てきた。
「美和子ちゃーん」
「おばあちゃん、レース見てくれた?」
すると、おばあちゃんは眉を下げて申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「うんにゃ、どの舟が美和子ちゃんのぉか分がんねくて。みーんな教えてくれだけど、探しとるうちに終わってたがよ」
「そ、そっかぁ……松元先生がレースをビデオに撮っててくれるって言ってたから、後でそれ見よ?」
背の低いおばあちゃんを覗き込んでそう言うと、おばあちゃんは嬉しそうに目尻にたくさんシワを寄せて笑顔になった。
「まこち? うれしかー」
遠くから海くんのチーム招集の声がかかった。
「あ、行かなきゃ! じゃ、またね」
おばあちゃんに手を振って、そちらに向かう。
みんなは興奮状態でふわふわ浮き足立ってたけど、海くんは一人真面目な顔つきだった。
「今年は市制10周年ということで、特別に記念レースがあり、コミュニティミックスの部で優勝した俺たちチームも参加することになる。試合は12時40分からだ。また、20分前には集合することになるので、遅刻しないように!」
すっかり試合は終わった気でいたけど、まだレースはあるんだ。でもチームは完全にリラックスモードに包まれていた。
休憩に入ると、私たちは再び空腹を感じ、用意してくれた食べ物を摘んだ。
「ねぇ、会場にもフードブースあるけぇ、見に行くね?」
「わっぜ、気になっとったがよ」
「行きたーい!!」
女子全員で連れ立って、会場に設置されたフードブースへと向かった。早速郁美が手招きする。
「黒豚の串焼きぃぃ!! これ、一緒に食わんね!!」
「うん、美味しそう」
「あたしもこれ食べたい!」
『あたしも!!』
みんなで串焼きを食べていると、フードブースの方から声を掛けられた。
「これも一緒に食わんね」
差し出されたのは真っ白なネギで、味噌が添えられていた。
「伊佐の名産、金山ネギよ。生で食べても甘いから」
言われてネギを手に取り、味噌をつけて食べると、しゃきしゃきしてて甘みがジュワーッと口に広がる。味噌との相性も抜群だ。
「伊佐ってほんと、美味しいものいっぱいあっていいよねぇ。カナダなんて、何かイベントがあってもファーストフードとかジャンクフードが殆どだもん。羨ましいよー」
「美和子ぉ、伊佐に引っ越して来るね?」
郁美に笑顔で言われて、えっ……と、一瞬言葉に詰まる。そんなこと出来ないのは承知の上で言ってるのは分かってるけど、なぜか胸にグサッと刺さった。
どれだけ伊佐に馴染んで、伊佐を好きになっても、私はもうすぐここを離れなくちゃいけないんだ……
「引っ越しちゃおっかなー」
わだかまりを抱えたまま笑顔を繕った私に、郁美は笑顔で返してくれた。
「きゃぁぁぁぁ、『チェストー!ズ』やったがよー」
「といはだ、立ったが!!」
加わった由美子と真紀ともハイタッチを交わす。保護者の人たちも艇を降りたすぐ側で待っていてくれて、温かい拍手と歓声で迎えてくれた。
「よぉきばったなー!」
「優勝、おめでとう!!」
「おつかれさーん」
その中から、おばあちゃんが前に出てきた。
「美和子ちゃーん」
「おばあちゃん、レース見てくれた?」
すると、おばあちゃんは眉を下げて申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「うんにゃ、どの舟が美和子ちゃんのぉか分がんねくて。みーんな教えてくれだけど、探しとるうちに終わってたがよ」
「そ、そっかぁ……松元先生がレースをビデオに撮っててくれるって言ってたから、後でそれ見よ?」
背の低いおばあちゃんを覗き込んでそう言うと、おばあちゃんは嬉しそうに目尻にたくさんシワを寄せて笑顔になった。
「まこち? うれしかー」
遠くから海くんのチーム招集の声がかかった。
「あ、行かなきゃ! じゃ、またね」
おばあちゃんに手を振って、そちらに向かう。
みんなは興奮状態でふわふわ浮き足立ってたけど、海くんは一人真面目な顔つきだった。
「今年は市制10周年ということで、特別に記念レースがあり、コミュニティミックスの部で優勝した俺たちチームも参加することになる。試合は12時40分からだ。また、20分前には集合することになるので、遅刻しないように!」
すっかり試合は終わった気でいたけど、まだレースはあるんだ。でもチームは完全にリラックスモードに包まれていた。
休憩に入ると、私たちは再び空腹を感じ、用意してくれた食べ物を摘んだ。
「ねぇ、会場にもフードブースあるけぇ、見に行くね?」
「わっぜ、気になっとったがよ」
「行きたーい!!」
女子全員で連れ立って、会場に設置されたフードブースへと向かった。早速郁美が手招きする。
「黒豚の串焼きぃぃ!! これ、一緒に食わんね!!」
「うん、美味しそう」
「あたしもこれ食べたい!」
『あたしも!!』
みんなで串焼きを食べていると、フードブースの方から声を掛けられた。
「これも一緒に食わんね」
差し出されたのは真っ白なネギで、味噌が添えられていた。
「伊佐の名産、金山ネギよ。生で食べても甘いから」
言われてネギを手に取り、味噌をつけて食べると、しゃきしゃきしてて甘みがジュワーッと口に広がる。味噌との相性も抜群だ。
「伊佐ってほんと、美味しいものいっぱいあっていいよねぇ。カナダなんて、何かイベントがあってもファーストフードとかジャンクフードが殆どだもん。羨ましいよー」
「美和子ぉ、伊佐に引っ越して来るね?」
郁美に笑顔で言われて、えっ……と、一瞬言葉に詰まる。そんなこと出来ないのは承知の上で言ってるのは分かってるけど、なぜか胸にグサッと刺さった。
どれだけ伊佐に馴染んで、伊佐を好きになっても、私はもうすぐここを離れなくちゃいけないんだ……
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わだかまりを抱えたまま笑顔を繕った私に、郁美は笑顔で返してくれた。
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