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第二章 ドラゴンボートチーム結成
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レジの奥に、1枚のポスターが貼られているのがパッと目に飛び込んできた。『ISA DRAGON CUP』と赤字で大きく書かれている、ドラゴンボート大会の開催をお知らせするものだった。
ドラゴンボートレースは、『古代中国で生まれた、世界最古の手漕ぎ舟の競漕』と言われていて、現在では多くの国や地域で大会が開かれておりアジア大会や世界大会も毎年開催されている競技だ。
「へぇ……ドラゴンボート大会、やるんだ」
呟いた私を、郁美が覗き込んだ。
「そう! 今年は伊佐市市政10周年の年だから、特に気合い入ってるのよ。毎年4月に開催しててあたしもチーム組んで出場する予定やったけど……急に8月に変更になって、メンバーの都合が悪くなっちゃって出場出来んくなったがよ。あぁー、出場したかったぁ!!」
「そうなんだ。私もトロントのドラゴンボート大会に出場したよ。トロントインターナショナルドラゴンボートフェスティバルって言って、毎年6月に開催される大きなイベントで、去年と今年……ちょうど、こっちに来る前に大会があったの。去年は漕手やったんだけど、今年は去年の鼓手が抜けて、私が一番体重が軽いからって理由で鼓手をやったんだけどね」
ドラゴンボートの船頭に座り、レース中、乗員の漕ぐタイミングや早さをコントロールして太鼓を鳴らしながら掛け声を掛けるのが鼓手の役割だ。
郁美は目を輝かせて、手を打った。
「それ、わっぜいいアイデア!! でさ、みんなでチーム作ってドラゴンボート大会出場するが!! あーっ、明日が締め切りだから、はよクラス戻って人数集めんと!!」
「ちょ、ちょっと待って!!」
いきなりの郁美の提案に、動揺する。ドラゴンボートは少人数で出来るスポーツじゃないし、器具や練習場所だって必要になる。
「大丈夫!! 高校にボート部あるから、そこでぜーんぶ必要なもんは借りれるし、うちのクラスにボート部メンバーも数人居るが。あたしもボート部やし、勇気はラグビー部やけどドラゴンボートの経験あるし! 今年は人数足らんと諦めとったけ、みんなきばるよー!」
もう郁美は既にチーム設立に向けて、着々と計画を練っている。
殆どのクラスメートが『西郷どん』と呼ぶ中、郁美は勇気くんのことを『勇気』と呼ぶ。二人は幼馴染なのだそうだ。
「じゃ……俺は、舵取りする」
『えっ!!』
突然の海くんの申し出に、郁美と二人して驚いて顔を向ける。舵取りは舵手とも呼ばれ、船尾でドラゴンボートの針路をコントロールする。舵取りは常に艇のリーダーであり、レース中も鼓手より権限があり、安全に関しても責任がある。ドラゴンボートの経験がある私と郁美でさえ、リーダーである舵取りになれと言われたら躊躇するのに、海くんにはそれだけの自信があるんだろうか。
海くんは私たちにじっと見つめられ、顔を赤くして口元を隠しながら答えた。
「実は俺の父さん、ドラゴンボートの国際大会に出場するぐらいの選手だったんだ……俺も、小さい頃から大会に出場してた」
「わっぜかー!!」
「マジでー!?」
私と郁美はこれ以上ないってぐらいに興奮して、コンビニのレジで叫んでいた。レジのお兄さんが苦笑いしたけど、そんなこと構ってられない。
こんなことって……あるんだ。すごい偶然。
私たちは帰り道、有力なチームメイトについて話し合った。
いさドラゴンカップでは、8名の漕手、1名の鼓手、1名の舵手と2名の補欠が必要になる。私が鼓手、海くんが舵手、郁美と勇気くんが漕手になったとたしても、まだあと6名の漕手と2名の補欠を集わなくてはならない。重いコンビニ袋でさえ気にならないほど、私たちは夢中になって喋り続けた。
ドラゴンボートレースは、『古代中国で生まれた、世界最古の手漕ぎ舟の競漕』と言われていて、現在では多くの国や地域で大会が開かれておりアジア大会や世界大会も毎年開催されている競技だ。
「へぇ……ドラゴンボート大会、やるんだ」
呟いた私を、郁美が覗き込んだ。
「そう! 今年は伊佐市市政10周年の年だから、特に気合い入ってるのよ。毎年4月に開催しててあたしもチーム組んで出場する予定やったけど……急に8月に変更になって、メンバーの都合が悪くなっちゃって出場出来んくなったがよ。あぁー、出場したかったぁ!!」
「そうなんだ。私もトロントのドラゴンボート大会に出場したよ。トロントインターナショナルドラゴンボートフェスティバルって言って、毎年6月に開催される大きなイベントで、去年と今年……ちょうど、こっちに来る前に大会があったの。去年は漕手やったんだけど、今年は去年の鼓手が抜けて、私が一番体重が軽いからって理由で鼓手をやったんだけどね」
ドラゴンボートの船頭に座り、レース中、乗員の漕ぐタイミングや早さをコントロールして太鼓を鳴らしながら掛け声を掛けるのが鼓手の役割だ。
郁美は目を輝かせて、手を打った。
「それ、わっぜいいアイデア!! でさ、みんなでチーム作ってドラゴンボート大会出場するが!! あーっ、明日が締め切りだから、はよクラス戻って人数集めんと!!」
「ちょ、ちょっと待って!!」
いきなりの郁美の提案に、動揺する。ドラゴンボートは少人数で出来るスポーツじゃないし、器具や練習場所だって必要になる。
「大丈夫!! 高校にボート部あるから、そこでぜーんぶ必要なもんは借りれるし、うちのクラスにボート部メンバーも数人居るが。あたしもボート部やし、勇気はラグビー部やけどドラゴンボートの経験あるし! 今年は人数足らんと諦めとったけ、みんなきばるよー!」
もう郁美は既にチーム設立に向けて、着々と計画を練っている。
殆どのクラスメートが『西郷どん』と呼ぶ中、郁美は勇気くんのことを『勇気』と呼ぶ。二人は幼馴染なのだそうだ。
「じゃ……俺は、舵取りする」
『えっ!!』
突然の海くんの申し出に、郁美と二人して驚いて顔を向ける。舵取りは舵手とも呼ばれ、船尾でドラゴンボートの針路をコントロールする。舵取りは常に艇のリーダーであり、レース中も鼓手より権限があり、安全に関しても責任がある。ドラゴンボートの経験がある私と郁美でさえ、リーダーである舵取りになれと言われたら躊躇するのに、海くんにはそれだけの自信があるんだろうか。
海くんは私たちにじっと見つめられ、顔を赤くして口元を隠しながら答えた。
「実は俺の父さん、ドラゴンボートの国際大会に出場するぐらいの選手だったんだ……俺も、小さい頃から大会に出場してた」
「わっぜかー!!」
「マジでー!?」
私と郁美はこれ以上ないってぐらいに興奮して、コンビニのレジで叫んでいた。レジのお兄さんが苦笑いしたけど、そんなこと構ってられない。
こんなことって……あるんだ。すごい偶然。
私たちは帰り道、有力なチームメイトについて話し合った。
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