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第3章~新たなる試練~
第186話
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直撃はしなかったが、尻尾で地面を叩かれた振動で足元が揺らいだ。危うくバランスを崩しそうになり、アクセルは飛び跳ねながら距離をとった。
「きみは何故俺を追ってきたんだ!? 目的は何なんだ!?」
言葉が通じるかはわからなかったが、聞かずにはいられなかった。
こんな神獣を一人で倒せるとは思っていない。そこまで自分の力を過信してはいない。ならばせめて、理由を聞いて丁重に山にお帰りいただくのが一番いいのではないかと思った。
「食べ物が欲しいわけじゃないだろう? 何か人間に恨みがあるのか? どうか訳を聞かせてくれ!」
「グオォォォン!」
オオカミ神が吠えた。空気を痺れさせるほどの遠吠えが、ヴァルハラ中に響き渡った。
「……?」
ビリビリした殺気が少しだけ静まった。前脚でバァンと地面に叩き、二つの頭でこちらを睨んでくる。そして剥き出しにした牙の隙間から、低い呻き声を出した。
「私の子をどこへやった」
「えっ……?」
「私の子を返せ!」
言うやいなや、アクセル目掛けて前脚を振り下ろしてくる。
アクセルは横に避けつつ、オオカミ神の訴えを自分の中で反芻した。
――『私の子』? 子供を捜してるのか……?
オオカミ神の子だから当然子供もオオカミだろう。頭がふたつあるかは謎だが、そうとわかれば話は変わってくる。
アクセルは一生懸命攻撃をかいくぐり、怒鳴るように言った。
「わかった! きみの子は一緒に捜してやる! だから暴れるのはやめてくれ!」
「黙れ人間! どうせ貴様らが狩ったんだろう! ならば代わりに貴様らを狩ってやるわ!」
「っ……!」
「きみは何故俺を追ってきたんだ!? 目的は何なんだ!?」
言葉が通じるかはわからなかったが、聞かずにはいられなかった。
こんな神獣を一人で倒せるとは思っていない。そこまで自分の力を過信してはいない。ならばせめて、理由を聞いて丁重に山にお帰りいただくのが一番いいのではないかと思った。
「食べ物が欲しいわけじゃないだろう? 何か人間に恨みがあるのか? どうか訳を聞かせてくれ!」
「グオォォォン!」
オオカミ神が吠えた。空気を痺れさせるほどの遠吠えが、ヴァルハラ中に響き渡った。
「……?」
ビリビリした殺気が少しだけ静まった。前脚でバァンと地面に叩き、二つの頭でこちらを睨んでくる。そして剥き出しにした牙の隙間から、低い呻き声を出した。
「私の子をどこへやった」
「えっ……?」
「私の子を返せ!」
言うやいなや、アクセル目掛けて前脚を振り下ろしてくる。
アクセルは横に避けつつ、オオカミ神の訴えを自分の中で反芻した。
――『私の子』? 子供を捜してるのか……?
オオカミ神の子だから当然子供もオオカミだろう。頭がふたつあるかは謎だが、そうとわかれば話は変わってくる。
アクセルは一生懸命攻撃をかいくぐり、怒鳴るように言った。
「わかった! きみの子は一緒に捜してやる! だから暴れるのはやめてくれ!」
「黙れ人間! どうせ貴様らが狩ったんだろう! ならば代わりに貴様らを狩ってやるわ!」
「っ……!」
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