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第3章 新たな糟糠の妻
第2話 クレア姫 サイド
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私の新たな寵愛する愛人の妻が死んだ。嗚呼・・なんと世の中は無情なのか・・。
あの方は凡庸で、いつも夫の影のような女であった。でもかすかに意志と言う光があった。それはあまりにも淡いもので私にはわからなかった。
大成した愛人メリスの元で妻は見違えるように変容した。
枯れ果てた老婆の様な貧相な女が、人並みの貴婦人の様な姿になるのは私にとっても少し驚くほどの変わりようであった。
まあ・・メリスはてっきり用済みの妻を処分すると思っていたけど、意外と情愛があったのね。
私は思わぬ愛人メリスの情愛に驚愕した。あのメリスが・・?
てっきり冷め果てた夫婦だと思っていたけど・・?
それはまるで枯れ果てた花が神の慈雨によって、息を吹き返したように見るみる生気を取り戻し、若い時以上に美しく華やかに見えた。嗚呼でも彼女はなんと白い色が似あう事よ・・。
それが私には不可解であった。散々汚泥をすすった夫と共に辛酸を舐めたこともある女であるのに、何故穢れなき純白が似合うのか?汚泥に浸かった身であるのに・・。
私にはわからないことばかりであった。
しかし運命の神は無情なもので、皮肉にも彼女の命は僅かであった。てっきりメリスの元で療養するのだろうと思っていたら、長年離れていた両親の故郷へ戻るというのだ。
何故?そんなに親が好きだったのかしら? 夫メリスより? 私には夫婦の関係は分からなかった。
クレア姫は生まれながらに持てる者だった。
多くの愛も憎悪も金も名誉も地位もおよそ数多の人々が渇望するほどの物に溢れて育った。しかし姫はそれを当然のように享受するだけだった。
クレア姫はクレア姫として生を受けたからこの環境は当然であった。
そしてメリスは平民だが才能が溢れる男としても、魂の強さとしても十分に愛人として迎える価値があった。
メリスといると刺激を受ける。贅沢と怠惰に浸かった魂でさえも、若者の未知への冒険心や、開拓者の新しい風に触れたくなるのだ。
クレア姫は老いた魂と傲慢な貴族特有の幼稚な精神があった。
残忍で粗野で野蛮なメリス・・。でもまだまだ粗削りだが、彼はまぎれもなく宝石の原石だ。才能あふれ、精気に溢れる獰猛な雄々しい男・・。クレア姫は一目見てメリスを愛人にしたいと思った。
ひっそりとした妻という女は路傍の石にしか見えなかったが・・あの変容した姿と、メリスの奇妙な温情と情愛。
頑なな処女の様な白い花の様な女・・。
この奇妙な夫婦にクレア姫は興味を抱いた。 何故このような男と女が夫婦となったのだろう?世の中とは不可思議なものだ。まるでちくはぐでそのくせどこか共通するものを持っている雰囲気だった。
メリスに惹かれる女は少なくなかった。その中で人形のように美しいマリーという女がメリスの新たな女となり、夫婦となった。
私はつい思わず、最初の妻とメリスの関係について問いかけた。
彼女はメリスの何だったのかしら?
マリーはしばらく沈思して、あの夫婦関係は愛はありません。
彼女はメリスを導く天使であり、卑しい奴隷であり苛烈な敵対者でもありました・・。いいえメリスは確かに彼女を愛していたのかもしれないけど・・彼女がメリスを愛せなくしたのはメリスのせいですから・・。
あまりにも複雑で奇妙な夫婦でしたよ。
彼女が最後の別れに何を言ったか教えてあげましょうか?
マリーは皮肉気に笑って呟いた。
「愛だけは与えなくてもいいではないか」
嗚呼その通りです。彼女は己の死と愛さえも夫には与えなかったのです。
マリーは頬に白い手を当てて深い溜息をついて呟いた。
「あれこそが真の夫婦関係なのかもしれないですね・・。」
クレア姫は、何故かその言葉が脳裏に離れなかった・・。
男女関係は十分に知っていると思ったが、夫婦の奇妙な摩訶不思議な関係はクレア姫にとって理解不能であった。
あの方は凡庸で、いつも夫の影のような女であった。でもかすかに意志と言う光があった。それはあまりにも淡いもので私にはわからなかった。
大成した愛人メリスの元で妻は見違えるように変容した。
枯れ果てた老婆の様な貧相な女が、人並みの貴婦人の様な姿になるのは私にとっても少し驚くほどの変わりようであった。
まあ・・メリスはてっきり用済みの妻を処分すると思っていたけど、意外と情愛があったのね。
私は思わぬ愛人メリスの情愛に驚愕した。あのメリスが・・?
てっきり冷め果てた夫婦だと思っていたけど・・?
それはまるで枯れ果てた花が神の慈雨によって、息を吹き返したように見るみる生気を取り戻し、若い時以上に美しく華やかに見えた。嗚呼でも彼女はなんと白い色が似あう事よ・・。
それが私には不可解であった。散々汚泥をすすった夫と共に辛酸を舐めたこともある女であるのに、何故穢れなき純白が似合うのか?汚泥に浸かった身であるのに・・。
私にはわからないことばかりであった。
しかし運命の神は無情なもので、皮肉にも彼女の命は僅かであった。てっきりメリスの元で療養するのだろうと思っていたら、長年離れていた両親の故郷へ戻るというのだ。
何故?そんなに親が好きだったのかしら? 夫メリスより? 私には夫婦の関係は分からなかった。
クレア姫は生まれながらに持てる者だった。
多くの愛も憎悪も金も名誉も地位もおよそ数多の人々が渇望するほどの物に溢れて育った。しかし姫はそれを当然のように享受するだけだった。
クレア姫はクレア姫として生を受けたからこの環境は当然であった。
そしてメリスは平民だが才能が溢れる男としても、魂の強さとしても十分に愛人として迎える価値があった。
メリスといると刺激を受ける。贅沢と怠惰に浸かった魂でさえも、若者の未知への冒険心や、開拓者の新しい風に触れたくなるのだ。
クレア姫は老いた魂と傲慢な貴族特有の幼稚な精神があった。
残忍で粗野で野蛮なメリス・・。でもまだまだ粗削りだが、彼はまぎれもなく宝石の原石だ。才能あふれ、精気に溢れる獰猛な雄々しい男・・。クレア姫は一目見てメリスを愛人にしたいと思った。
ひっそりとした妻という女は路傍の石にしか見えなかったが・・あの変容した姿と、メリスの奇妙な温情と情愛。
頑なな処女の様な白い花の様な女・・。
この奇妙な夫婦にクレア姫は興味を抱いた。 何故このような男と女が夫婦となったのだろう?世の中とは不可思議なものだ。まるでちくはぐでそのくせどこか共通するものを持っている雰囲気だった。
メリスに惹かれる女は少なくなかった。その中で人形のように美しいマリーという女がメリスの新たな女となり、夫婦となった。
私はつい思わず、最初の妻とメリスの関係について問いかけた。
彼女はメリスの何だったのかしら?
マリーはしばらく沈思して、あの夫婦関係は愛はありません。
彼女はメリスを導く天使であり、卑しい奴隷であり苛烈な敵対者でもありました・・。いいえメリスは確かに彼女を愛していたのかもしれないけど・・彼女がメリスを愛せなくしたのはメリスのせいですから・・。
あまりにも複雑で奇妙な夫婦でしたよ。
彼女が最後の別れに何を言ったか教えてあげましょうか?
マリーは皮肉気に笑って呟いた。
「愛だけは与えなくてもいいではないか」
嗚呼その通りです。彼女は己の死と愛さえも夫には与えなかったのです。
マリーは頬に白い手を当てて深い溜息をついて呟いた。
「あれこそが真の夫婦関係なのかもしれないですね・・。」
クレア姫は、何故かその言葉が脳裏に離れなかった・・。
男女関係は十分に知っていると思ったが、夫婦の奇妙な摩訶不思議な関係はクレア姫にとって理解不能であった。
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