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校外学習その五
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はっきり言って、この世界において料理は難しくない。
何故なら、前世の俺が知ってるような素材は大体揃っているからだ。
そのことに疑問を抱かないわけじゃないが、考えたところで仕方がないと思っている。
俺はささっと料理を作り、他のグループより早く終わらせた。
そして、ノイス先生に確認してもらう。
「ほほう? 今日のメニューは……クレイジーボアと野菜たっぷりの鍋ですか……うん、美味しいですな。今日一番の大物は、貴方達で決まりですね」
「ありがとうございます。と言っても、料理って言えるものじゃないですけど。俺が作れるのは、これくらいですし」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。自分にできるものを把握して、それを失敗せずにできることは大事です。それは全てにおいて役に立ちますし、指揮官としても優秀になれるかと」
「いやいや、大袈裟ですって」
「ふふ、相変わらずですね。それでは、合格といたします」
そういい、他の班を見に行こうとするので……。
「あっ、すみません。少し聞きたいことがあるんですけど」
「なんでしょう?」
「ほら、メルル」
「えっ?」
多分、さっきの会話から思うところがあるはずだ。
どうせ、俺たちだけでは食べきれないし。
「何か言いたいことがあるんじゃないか?」
「は、はぃ……えっと、他の班の人達に分けても良いでしょうか? 獲物が取れなかった人たちに。その、最低限の食事だけじゃ物足りないかなって」
「ふむ……獲物を取ったのは貴方達なので好きにして良いですよ」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、それでは……分け与える精神、嫌いじゃないですな」
そう言い、今度こそ去っていく。
「セレナさん、トール君、勝手に決めてごめんなさい」
「良いわよ、別に。それも上に立つ者の役目でもあるわ」
「そうっすね。ここらで、恩でも売っておくといいぜ」
「んじゃ、とりあえず俺たちで先に食べるか」
全員で頷き、すぐに食事を開始する。
夜空の星の下、鍋を四人で囲む。
そして、それぞれ皿に盛った鍋を食す。
「よし、まあまあかな……香草で臭みも取れてる。余分な物を入れずに、肉の出汁と野菜の水分で作ったから濃厚且つあっさりして美味い」
「す、凄いわ……アレクにこんな才能が」
「おいおい、俺ですら知らなかったぞ?」
「わぁ……アレク君、お料理上手です!」
「いやいや、大したことないよ。きっと、この状況が美味しさを倍増させてるんだね」
「「「それは確かに」」」
こうして親しい人達と、キャンプのような形で食べる飯は格別だ。
本当なら酒があれば良いが……一応、この国でも二十歳からだし。
だが、酒などなくても十分だな……うん、端的に言って最高だ。
◇
その後、満足に食べ終わったのは良いが……どうやら、配るまでもなかったらしい。
いつの間にか、俺たちの周りには人集りが出来ていた。
すでに自分の狩ってきた獲物を食べた者、獲物が取れなかった者、終いには兵士さんまでいるし。
それらが、羨ましそうに俺たちを見ていた……というより、土鍋に入った牡丹鍋を。
「ア、アレク、どうするの?」
「めちゃくちゃ見てるっすね」
「い、いっぱいいます」
「んじゃ……注目! 諸君! 美味い鍋が食べたいか!?」
俺のセリフに、周りの人たちがポカンとした表情を浮かべるが……すぐに顔色が変わっていく。
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
「食べたいです!」
「お願いします!」
雄叫びと共に、次々とそんな願いをされる。
「良いだろう! それでは、一列に並ぶと良い! ちなみに、喧嘩や割り込みをした者にはなしだっ! トール!」
「へいへい、俺が整理しますかね」
「メルルは、俺と一緒によそってくれ。セレナは、それを配ってくれ」
「わ、わかりました!」
「ええ、任せてちょうだい」
そうして、四人で協力して土鍋に入った牡丹鍋を生徒達に配っていく。
それを食べて、みんなが笑顔になっていく姿を見て……こちらも自然と笑顔になる。
まあ、こういうのも……たまには悪くないかもね。
何故なら、前世の俺が知ってるような素材は大体揃っているからだ。
そのことに疑問を抱かないわけじゃないが、考えたところで仕方がないと思っている。
俺はささっと料理を作り、他のグループより早く終わらせた。
そして、ノイス先生に確認してもらう。
「ほほう? 今日のメニューは……クレイジーボアと野菜たっぷりの鍋ですか……うん、美味しいですな。今日一番の大物は、貴方達で決まりですね」
「ありがとうございます。と言っても、料理って言えるものじゃないですけど。俺が作れるのは、これくらいですし」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。自分にできるものを把握して、それを失敗せずにできることは大事です。それは全てにおいて役に立ちますし、指揮官としても優秀になれるかと」
「いやいや、大袈裟ですって」
「ふふ、相変わらずですね。それでは、合格といたします」
そういい、他の班を見に行こうとするので……。
「あっ、すみません。少し聞きたいことがあるんですけど」
「なんでしょう?」
「ほら、メルル」
「えっ?」
多分、さっきの会話から思うところがあるはずだ。
どうせ、俺たちだけでは食べきれないし。
「何か言いたいことがあるんじゃないか?」
「は、はぃ……えっと、他の班の人達に分けても良いでしょうか? 獲物が取れなかった人たちに。その、最低限の食事だけじゃ物足りないかなって」
「ふむ……獲物を取ったのは貴方達なので好きにして良いですよ」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、それでは……分け与える精神、嫌いじゃないですな」
そう言い、今度こそ去っていく。
「セレナさん、トール君、勝手に決めてごめんなさい」
「良いわよ、別に。それも上に立つ者の役目でもあるわ」
「そうっすね。ここらで、恩でも売っておくといいぜ」
「んじゃ、とりあえず俺たちで先に食べるか」
全員で頷き、すぐに食事を開始する。
夜空の星の下、鍋を四人で囲む。
そして、それぞれ皿に盛った鍋を食す。
「よし、まあまあかな……香草で臭みも取れてる。余分な物を入れずに、肉の出汁と野菜の水分で作ったから濃厚且つあっさりして美味い」
「す、凄いわ……アレクにこんな才能が」
「おいおい、俺ですら知らなかったぞ?」
「わぁ……アレク君、お料理上手です!」
「いやいや、大したことないよ。きっと、この状況が美味しさを倍増させてるんだね」
「「「それは確かに」」」
こうして親しい人達と、キャンプのような形で食べる飯は格別だ。
本当なら酒があれば良いが……一応、この国でも二十歳からだし。
だが、酒などなくても十分だな……うん、端的に言って最高だ。
◇
その後、満足に食べ終わったのは良いが……どうやら、配るまでもなかったらしい。
いつの間にか、俺たちの周りには人集りが出来ていた。
すでに自分の狩ってきた獲物を食べた者、獲物が取れなかった者、終いには兵士さんまでいるし。
それらが、羨ましそうに俺たちを見ていた……というより、土鍋に入った牡丹鍋を。
「ア、アレク、どうするの?」
「めちゃくちゃ見てるっすね」
「い、いっぱいいます」
「んじゃ……注目! 諸君! 美味い鍋が食べたいか!?」
俺のセリフに、周りの人たちがポカンとした表情を浮かべるが……すぐに顔色が変わっていく。
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
「食べたいです!」
「お願いします!」
雄叫びと共に、次々とそんな願いをされる。
「良いだろう! それでは、一列に並ぶと良い! ちなみに、喧嘩や割り込みをした者にはなしだっ! トール!」
「へいへい、俺が整理しますかね」
「メルルは、俺と一緒によそってくれ。セレナは、それを配ってくれ」
「わ、わかりました!」
「ええ、任せてちょうだい」
そうして、四人で協力して土鍋に入った牡丹鍋を生徒達に配っていく。
それを食べて、みんなが笑顔になっていく姿を見て……こちらも自然と笑顔になる。
まあ、こういうのも……たまには悪くないかもね。
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