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恋文書いてとは……
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夜も遅くなった。ラズベリーたち職人を交え、そのあとも評価の話や、次作の話をしているうちに夜もふけていく。
昼も夜も食べずに眠っていた職人たちに夕飯を御馳走し、私たちはお菓子をつまんでいた。
「今日は、もう遅いから、泊っていってね!さっき使ってくれてた客間を使ってくれたらいいから」
「そういうわけには、まいりません。領主様の屋敷でなど……」
「いいのよ!屋敷といっても、共同生活の場ですもの。ここにいるみなが一緒に生活しているわ!生活といっても、それぞれの時間の使い方があるから、同じ屋根の下、眠るだけの場所を提供している……それだけね」
「堅苦しく考えないほうがいい。何もかも常識とは逸脱しているんだから、考えるだけ無駄ですよ!」
「おぉ、珍しくセバスに言われてるぜ?姫さん」
「……そうね。セバスって、そう思っていたのね。私のこと」
「セバスだけでなく、みんなが思っていますわ!アンナリーゼ様」
追い打ちばかりとナタリーにまで言われ、みなが頷いているので、そうなのだろう。常識を説けるほど、備えているとは思っていなかったが、みなにそう言われると、心外ではあった。
ここで違うと言っても話がややこしくなるだけなので、ぐっと飲み込んだ。
「それでは、お世話になります。父への連絡は出来てませんが、行先がここなら……」
「ラズのお父さんには連絡したわよ!」
「えっ?」
「ラズをすごい働かせてしまってごめんなさいって書いたら、それがラズの望みなので好きなようにさせてあげてくれってきたわ!いいお父さんね!」
「……恥ずかしい」
ふふっと笑うと、頬を赤らめているラズベリー。隣にいるコルクもグランもそれを見て微笑んでいた。
「あなたたちは、二人で家族だから、他に連絡する人っていないわよね?」
「えぇ、大丈夫です。お言葉に甘えさせていただいても、本当によろしいのですか?」
「えぇ、もちろん!明日、テクトも一緒に帰るそうだから、いいかしら?そのときに、詳細を詰めてくれると助かるけど……」
「アンナリーゼ様、その大任、私でよろしいのですか?」
「えぇ、お願いするわ!テクトになら、任せられるから!」
私は微笑みかけると、頷いてくれる。
夜も遅くなったことだしと、しばらくしてからお開きとなった。
私室に戻ると、すでにアンジェラとジョージは手を繋いで眠っていた。書いた手紙を机の上に置いておく。
「こうして見ると、本当にジョージア様とエールにソックリね?」
ベッドを覗き込んでいると、リアンが側に来る。
「可愛いですね。お二人とも」
「そうね!ネイトを含めて、三人とも将来は美男美女になりそうね!」
「そうですね!アンジェラ様には、是非とも、旦那様のように優しい雰囲気に育って……」
「……そうね。それなら、きっと、引く手あまたでしょうね!」
寝返りをうつアンジェラは、ジョージから手を離す。すると、少し震えていた。
「……ママ?ママっ!待って、ママ!」
突然涙を流しながら、私を呼ぶアンジェラ。リアンと顔を合せ驚いた。
「怖い夢でも見ているのかもしれないわね」
「起こされますか?」
「どうしよう、その方がいいのかな?」
「抱きしめてさしあげたらいかがですか?」
「わかった!」
寝ているアンジェラをそっと引き寄せ抱きしめる。すると、無意識なのだろうが、私にぎゅっとしがみつく。優しく銀髪を撫でてあげると、しばらく震えていただが、穏やかな寝息に変わっていった。
「リアン、ありがとう。もう、今日は休んでちょうだい」
「何かありましたら、呼んでください」
えぇと返事をすると、静かに隣接された部屋へと戻る。
私は、アンジェラを抱きかかえたまま、ゆっくりベッドへ横になった。
◇◆◇
「全く、恋文を書いてくれって、どういうことなんだろう?アンナが、俺に書いてくれるならまだしも、他の夫人……あぁ、これはシルキー様への手紙。一体何を考えていることやら……うちの奥さまは、本当にビックリ箱のようだな」
カーテンの隙間から入ってくる朝の光で銀の髪が輝く。トロっとした蜂蜜を連想される瞳は、眠っている私たちを見て、優しく微笑んだ。
「ただいま、アンナ」
耳元で囁かれたと思ったが、その人物は、私が抱きしめている娘の頬を撫でていた。
「少し見ない間に大きくなったかな?こうして見ると、アンナにそっくりだ。ただいま、アンジー、ジョージ」
ぐっすり眠っているジョージの頭にキスをしている。
ジョージア様?帰ってきたの?
私は、優しく微笑むジョージアに声をかけようとした。ただ、私の意識下ではないのか、眠りからさめない。
優しい朝の風景と昨日の夜中にこっそり書いた手紙の内容を少々嫉妬していたかのように言っていたことで、今起こっていることなのだと認識できているのに、おかしいなと考えた。
しばらくすると、部屋から出ていくジョージア。私は、その背中に声をかける。
「ジョージア様!」
振り向きもしないジョージアに焦りを感じたが、どうすることもできず、覚醒している頭の中でどうして?と何度も問いかけた。
そのあと、暗くなり、また眠りにつく。次に目が覚めたとき……、少し寝すぎたようで太陽の日差しが、朝より少々強く感じる。
腕の中で眠るアンジェラを起こさないようにそっとベッドから抜け出すと、昨夜書いていた手紙の元へ向かう。
私が置いたときより、ズレている?夢だったの?現実だったの?
先ほどのことを考えていると、私室の扉が開いた。入ってきたのは、銀髪の優しく微笑みかけてくる男性であった。
昼も夜も食べずに眠っていた職人たちに夕飯を御馳走し、私たちはお菓子をつまんでいた。
「今日は、もう遅いから、泊っていってね!さっき使ってくれてた客間を使ってくれたらいいから」
「そういうわけには、まいりません。領主様の屋敷でなど……」
「いいのよ!屋敷といっても、共同生活の場ですもの。ここにいるみなが一緒に生活しているわ!生活といっても、それぞれの時間の使い方があるから、同じ屋根の下、眠るだけの場所を提供している……それだけね」
「堅苦しく考えないほうがいい。何もかも常識とは逸脱しているんだから、考えるだけ無駄ですよ!」
「おぉ、珍しくセバスに言われてるぜ?姫さん」
「……そうね。セバスって、そう思っていたのね。私のこと」
「セバスだけでなく、みんなが思っていますわ!アンナリーゼ様」
追い打ちばかりとナタリーにまで言われ、みなが頷いているので、そうなのだろう。常識を説けるほど、備えているとは思っていなかったが、みなにそう言われると、心外ではあった。
ここで違うと言っても話がややこしくなるだけなので、ぐっと飲み込んだ。
「それでは、お世話になります。父への連絡は出来てませんが、行先がここなら……」
「ラズのお父さんには連絡したわよ!」
「えっ?」
「ラズをすごい働かせてしまってごめんなさいって書いたら、それがラズの望みなので好きなようにさせてあげてくれってきたわ!いいお父さんね!」
「……恥ずかしい」
ふふっと笑うと、頬を赤らめているラズベリー。隣にいるコルクもグランもそれを見て微笑んでいた。
「あなたたちは、二人で家族だから、他に連絡する人っていないわよね?」
「えぇ、大丈夫です。お言葉に甘えさせていただいても、本当によろしいのですか?」
「えぇ、もちろん!明日、テクトも一緒に帰るそうだから、いいかしら?そのときに、詳細を詰めてくれると助かるけど……」
「アンナリーゼ様、その大任、私でよろしいのですか?」
「えぇ、お願いするわ!テクトになら、任せられるから!」
私は微笑みかけると、頷いてくれる。
夜も遅くなったことだしと、しばらくしてからお開きとなった。
私室に戻ると、すでにアンジェラとジョージは手を繋いで眠っていた。書いた手紙を机の上に置いておく。
「こうして見ると、本当にジョージア様とエールにソックリね?」
ベッドを覗き込んでいると、リアンが側に来る。
「可愛いですね。お二人とも」
「そうね!ネイトを含めて、三人とも将来は美男美女になりそうね!」
「そうですね!アンジェラ様には、是非とも、旦那様のように優しい雰囲気に育って……」
「……そうね。それなら、きっと、引く手あまたでしょうね!」
寝返りをうつアンジェラは、ジョージから手を離す。すると、少し震えていた。
「……ママ?ママっ!待って、ママ!」
突然涙を流しながら、私を呼ぶアンジェラ。リアンと顔を合せ驚いた。
「怖い夢でも見ているのかもしれないわね」
「起こされますか?」
「どうしよう、その方がいいのかな?」
「抱きしめてさしあげたらいかがですか?」
「わかった!」
寝ているアンジェラをそっと引き寄せ抱きしめる。すると、無意識なのだろうが、私にぎゅっとしがみつく。優しく銀髪を撫でてあげると、しばらく震えていただが、穏やかな寝息に変わっていった。
「リアン、ありがとう。もう、今日は休んでちょうだい」
「何かありましたら、呼んでください」
えぇと返事をすると、静かに隣接された部屋へと戻る。
私は、アンジェラを抱きかかえたまま、ゆっくりベッドへ横になった。
◇◆◇
「全く、恋文を書いてくれって、どういうことなんだろう?アンナが、俺に書いてくれるならまだしも、他の夫人……あぁ、これはシルキー様への手紙。一体何を考えていることやら……うちの奥さまは、本当にビックリ箱のようだな」
カーテンの隙間から入ってくる朝の光で銀の髪が輝く。トロっとした蜂蜜を連想される瞳は、眠っている私たちを見て、優しく微笑んだ。
「ただいま、アンナ」
耳元で囁かれたと思ったが、その人物は、私が抱きしめている娘の頬を撫でていた。
「少し見ない間に大きくなったかな?こうして見ると、アンナにそっくりだ。ただいま、アンジー、ジョージ」
ぐっすり眠っているジョージの頭にキスをしている。
ジョージア様?帰ってきたの?
私は、優しく微笑むジョージアに声をかけようとした。ただ、私の意識下ではないのか、眠りからさめない。
優しい朝の風景と昨日の夜中にこっそり書いた手紙の内容を少々嫉妬していたかのように言っていたことで、今起こっていることなのだと認識できているのに、おかしいなと考えた。
しばらくすると、部屋から出ていくジョージア。私は、その背中に声をかける。
「ジョージア様!」
振り向きもしないジョージアに焦りを感じたが、どうすることもできず、覚醒している頭の中でどうして?と何度も問いかけた。
そのあと、暗くなり、また眠りにつく。次に目が覚めたとき……、少し寝すぎたようで太陽の日差しが、朝より少々強く感じる。
腕の中で眠るアンジェラを起こさないようにそっとベッドから抜け出すと、昨夜書いていた手紙の元へ向かう。
私が置いたときより、ズレている?夢だったの?現実だったの?
先ほどのことを考えていると、私室の扉が開いた。入ってきたのは、銀髪の優しく微笑みかけてくる男性であった。
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