~~異世界帰りの最強勇者~~  なぜか理不尽だらけのクソダンジョンで実力を発揮。助けた美少女配信者や元魔王様から好意を受けバズってしまう

静内燕

文字の大きさ
58 / 99

第58話 次もひどそう……

しおりを挟む

「うるさいわ」

「これが……オチですか?」

 思わず苦笑いする璃緒。
 寒いダジャレ、岩手と何の関連もない。もう手抜きダンジョンと表現する以外ない。
 しばし呆然としていると、ネフィリムが腰に手を当てあきれた表情になる。


「やっぱり、澄人が引き寄せているのじゃ。そういう運命なのじゃ、諦めてすべてのダンジョンを攻略するのじゃ」

「わかったよ。行けばいいんだろ行けば」

 うなだれて、半場やけくそ気味に言葉を返した。まだ5分の1くらいしか終わってないがこれまでの都道府県も半分はひどいシナリオばかりだった。おそらくだけど、これからもそんなストーリーが続くだろう。敵が強いだけでなく、理不尽だったり全くヒントがなく運ゲーを押し付けられたり。
 もう、これは運命なのかな? 

「まあ、からすみさんはそういう運命なんですよ。そう思うしかなさそうです」

「そうじゃな」

 2人のノリノリの会話に、大きくため息をつく。もう周囲からもそういう認定されてるんだな。
 何件かクリアしてくると、さすがにこのダンジョンのことがわかってきた。

「なんていうか、それなりによかったところと明らかに手抜きだったところにすごい差がありますよね」


「わかるわかる。出来のいい所は、地域ながらだったりいいストーリーだったりなんだけどね」

「さっきの、わんこそばがあるこの県は特にひどかったのじゃ。逆に、あの田んぼが広がっていてお米が美味しい所はよくできていたのじゃ」

 2人の言葉はごもっともだ。
 このダンジョン、各都道府県ごとの出来にばらつきがある。確かに、沖縄、岩手、神奈川はひどかったが岐阜、新潟はそれなりによかった。

 戦うときもそんな感じだった。

 変な妖怪が出て戦いになったことは何度も会ったが、それも微妙なものが続いた。戦うだけ──とかストーリーがとてもありきたりなものだったりとか。
 内容の薄さを雑魚狩りで水増ししている感じの物もおおい。

 そして、6割ほどクリアしたところで3人で話し合う。
 大阪のダンジョンを選んで、商店街っぽいところ。たこ焼きを狩って立ち食いしながら話し合う。

「ダレてきたのじゃ。さっきはひどい手抜きだったのじゃ」

「多分ですが、47もエピソードを作るとなると大変じゃないですか。だからどうしても手抜きになってしまう所があるんじゃないでしょうか」

「ああ、見切り発車で作り始めたはいいけど、うまくいかなかったってパターンか」


 璃緒は──色々なダンジョンをAランクとして渡り歩いている大ベテラン。当然、出来の割るダンジョンも渡り歩いている。

 だから作ってる側の視点もわかるのだろう。

「はい。制作側の人と話したことがあるんですが、最初は行けると思っても作ってから意外と手間がかかったり、途中からどうしても制作意欲が落ちたりでうまくいかないことがどうしてもあるようです」

「そうなんだ」


「わらわもそれはわからなくもないぞ。できそうでも、いざやってみると想像と違うものだったり、難しいものだったりとかあるのじゃ」

「なるほどね。制作側からするとそういうこともあるのか」

 わからなくはないが──ここまでひどいと配信にも影響してくる。最初は「またクソダンジョンか」などとネタにされてきたが、退屈なストーリーが続くとさすがに視聴者は飽きてくる。コメントが減ってきて盛り上げるのが大変。

 途中で撤退するのも、投げ出したイメージが湧くし何より時間をかけてここまで来たのにエンディングが見られないのもいたい。


 とりあえず、反応を見ながら考えようか。たこ焼きを食べ終えてストーリーを進めようとしたその時だった。

 今視聴者がどうなっているか気になって、コメントを見たその時。

“次、めちゃくちゃ強いらしいぞ”
“そうなの?”
“ああ、Aランククラスの奴が、全然勝てないんだってさ”
“確か、トンネル巡りだっけ。トンネルがダンジョンになってて、そこに強い妖怪が現れるんだっけ”

 この先出てくる敵、強いのかよ。さっきまでとは違うってことか。
 心してかかろう。それを璃緒とネフィリムにも伝える。


「負けませんよ!」

「澄人と一緒なら、絶対に負けないのじゃ」

 2人も自信満々でそう言っている。自身はあるといった感じ。負けるわけにはいかない。
 そして、たこ焼きを食べ終え、ごみを捨てて道を進む。

 歩いてる途中、いきなり人に話しかけられる。

「この辺りには有名なトンネルがあってさ、出るんだよね」

「そうなんだ。興味あるから、それ教えてくれないか?」

 突然の会話。どこか不自然──彼の言うとおりにすればいいのか? それ以外に手がかりはない。男の人から場所をしえてもらい、その通りに道を進む。

 通天閣っぽい所の下町っぽい商店街を歩いてから──治安が悪そうなところへ。そして、山沿いに行くと真っ暗な場所へと続くトンネルがある。

「ここか」

「なんというか、きな臭くなってきましたね」

「いつも思っていたのじゃが、澄人が呼び寄せているのではないか? 澄人の中に、クソダンジョンを引き寄せる引力のようなものがあると思うのじゃ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...