僕は本当に幸せでした〜刹那の向こう 君と過ごした日々〜

エル

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過去~高校生編2

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-side 水野慶太-

あの後、少しだけあっちゃんと二人で教室にとどまった。

会話なんて何もなかった。

泣いてるあっちゃんの手を少しだけ握って。

あっちゃんは、すぐにその手を振り払って『ごめん』とだけ告げて教室を出て行った。


結局それからだって、前のようにあっちゃんがそばにいてくれることはなくて。

返せないままのコートが僕の部屋のクローゼットに眠る。


そして師走。

それももう中旬を過ぎて、冬休みが目前だ。


二学期が終了する日。

そして、その日は僕らの記念日。


一年だ。

玲人は覚えてるのだろうか。そう疑ってた。

でも、昨日。


「クリスマス、また俺がケーキ買うから、お前が料理作ってな?」

「……いいの?」

「何が?お前まさか、覚えてねぇ…とか?」

「覚えてる!…覚えてるよ。一年…経つんだね。でも…玲人が覚えて…」

「俺が覚えてると思わなかったって?」

「…うん。ごめんね」

「ばーか。俺はね、記憶力いいんだっつーの。……一年か、早ぇな」

「……そだね」

「その日はずっと一緒にいような?」

「うん!」


嬉しかった。

単純に嬉しかったんだ。


十の嫌な事も一つの嬉しい事で打ち消される。

もちろんその逆も然りなんだけど。

心が騒がずにはいられない。


(何作ろう。玲人の好きな中華はもちろんだよね?クリスマスだけど、関係ないよね。あと、チキンと……)


記念日まであとほんの少し。


僕が玲人の恋人になった日。

そして、玲人が僕の恋人になった日。


なんか去年のその日のことを思い出すと自然と笑いがこみ上げる。


(玲人すっごい緊張してたっけ。ぼくも泣いちゃったんだよなぁ…)


好きだと言われて泣いた僕を抱き寄せて背中をずっとなでてくれた。


また言ってくれるのかな。

好きだ、って。

期待が膨らむ。

もしかしたらこの記念日を機に、と。


今夜だって僕のバイトのあと迎えにきてくれるって言ってたし。

その後は僕の家でご飯食べて、きっと玲人は泊まってくんだろう。


何作ろうかな。

後で玲人に食べたいもの聞こう。

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