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過去~高校生編1

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「水野慶太くん」


名前を呼ぶと、あいつの表情が一気に訝しげに曇った。

「あんた、誰?」とでも言いたそうな顔。


「俺たち同じ高校なんだけど」

その言葉で、今まで纏っていた疑問と威嚇のオーラがほんのわずかにだが薄くなるのが感じ取れた。


「俺のこと知らない……みたいだな、明らかに。桐生玲人。三組だよ」

とびきりのスマイルで自己紹介。


すると数拍おいて、「……ぁ、うわさのイケ…メン?」

俺に向けてと言うよりは自分に確認するかのようにぼそりとつぶやく。



「なに?俺、噂になってんの?」

「…クラスの女子が…、『すっごくカッコよくて、頭もいいの。同じクラスになりたかったなぁ。』って」

「んで、そのうわさのイケメンを見たお前の感想は?」

「…別に。て言うか…神様はやっぱり、二物を与えるんだなぁ、って」

「……」

「………」



(や…やばい。限界なんですけど…)


「くくっ!…あはっ。…お前自分のこと分かってんの?俺、一回もお前にテストで勝ったことないんですけど!」


ぶはっ、と吐き出した俺に「???」ていうのがぴったりな表情をしている。


「いや、でも僕は……勉強だけなので、二物では…」

などとブツブツ言うあたり、こいつは自分の事を分かってはいないらしい。

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