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第13話 青き串刺しのコイズ・ミィ
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剣樹とチェリーの加勢もあってか勢いを取り戻した森林警備隊の働きにより、門を食い破ろうとしていた押し寄せる魔物の狂気と勢いは削がれていった。
しかしこれは避難民を装い内側に潜り込み外側に目を向けさせるための予期せぬ悪の策謀であった。
エリアピ・プ・ペ・ポ、聳え立つ御神木パパイヤの中央区であるいずれのエリアにも何故か突然魔物が発生。混迷混乱を極める現場は、御神木に寄ってくる魔物の駆除および王宮への脅威を取り除くために対応にあたるガードたちの鎧を揺らす音が響いている。
商人の手から邪気纏う魔物カードがばら撒かれようとしたそのとき────
「【えれましんがん】!」
白い弾丸が精密に手持つ商人のカードを射抜いて燃やした。突然燃えた手を熱がる商人はその正体を見破られて2人のガードに取り押さえられた。
「敵は商人や農家に扮していて怪しげな魔物カードを使う! 怪しい動きを見逃すな! そして絶対に敵賊どもを王宮と御神木に近付けさせるな!」
ガードの指揮官は魔物のアタマを斧でカチ割りながら部下たちに命令を下した。
「想定以上に魔物が中央区に侵入している……魔物カードをばら撒いて用意周到……。それに出てくる魔物の強度が高い、ケンキなら大丈夫だと思うけど……目の前に集中、いや王宮に向かう!」
(パパイヤ王がやられれば、シンボクカードは奪われる。やっぱり真の狙いはそれね)
チェリー教官とえれほわは、邪魔する魔物を倒しながら王宮へと向かった。
▽
▽
「ひぁぃぃぃやっ、ヤラレ」
二足の灰色獣は鋭い爪拳を、槍がへし折れ怯えるガードへと振り下ろした。
魔物が人間の身体を貫かん絶対絶命の瞬間を迎えるその寸前────
黒くて硬い鼻先の装甲が、ワーウルフのアタマを後ろからかち割った。
「ひぇ、母ちゃんっっっ──……えっ??」
目の前の恐ろしげな立つ狼の魔物がただの一枚のカードへと戻りみるみると燃え尽きていく。
「おーい、今俺があんたを助けたよな? 至急、俺を王のいる場に案内しろ(おまえの母ちゃんではない)」
倒れ尻餅つくガードの男は、ギラリと光るメガネをかけ見下す背の高い男と、黒い鼻を伸ばし生きてるようにポッケのぐしゃぐしゃになった母ちゃんのクッキーを嗅ぐ掃除機……奇怪でおそろしげな光景を目の当たりにした。
(森林警備隊を食いつかせる魔物は野良魔物を暴走させる香か何かを炊いたんだろうな、ガードには変な珍しい魔物が出てくるカードをばら撒いて撹乱させる。外に目を向けさせて内側に潜り込んで爆弾を投下する……ひじょーーにシンプルなHALのゲームの常套手段だ。それに教官の言うことが本当ならこれ以上の人助けより、高級取りのガードさんとやらに命懸けて踏ん張ってもらって俺は先を急ぐ)
「よしっ! ゲイボルグ、ガードのおじさんイク!!! ってナニやってんの!? おたくら!?」
『ぼるっぼるっむしゃるる♡』
「母ちゃん手製のもやしクッキーだ、そうかそうか美味いかー、かわいいなこいつぅー。なぁ、あんたさんこれなんてどうぶつ?♡」
「♡を生やすな、機獣ゲイボルグだ、さっさと案内してくれっ!(もやしクッキー…ちょっと気になる…)」
もやしクッキーで燃料を補給したゲイボルグを背負いなおして、助けたガードの男の案内を頼りに剣樹は王宮への近道を急いだ。
▼
▽
ぐったりと地べたに倒れたガードたちがそこらにいる……。
荒れ果てた黄金の王宮へとつづく王道を真っ直ぐにゆき、チェリー教官が今王宮の門戸へと辿り着こうとしたその時────
天から降り注いできた、ターコイズブルーの鋭き長脚の槍を──寸前のところで走っていた姿勢から後ろへ跳躍する行動を取ら回避。
「歯ごたえのない奴らばかりでちょうど退屈していたところだ。その動き人間離れだなぁーーーっはっはっは」
(今のは、青い槍? いや……武器らしい武器を携帯している様子はない…これは…何者?)
チェリー流肉体操作術の素晴らしいレスポンスで、張られていた必殺の門前の罠を回避したチェリー教官。
突如降ってきた青い槍らしきものに反応しただけで何をされたのか、未だあまり分からず、目の前の敵をそのまま押し通ろうともチェリーは思ったが慎重に構えた。
身を隠す必要がなくなったのか灰色の獣の毛のコートを脱ぎ、敵はその姿を露わにする。
光をビカビカと反射する煌びやかなターコイズブルーの甲殻鎧といかめしい兜を被った男の姿だ。
「何者って顔だな? こんなに青くシャレてても知られちゃいねぇさ。おまえらが馬鹿みたいに謳歌する浮世ってヤツは恐れた才能をドブへと投げ捨てるのが趣味なんだからなァ、俺はアイクのシードD、青き串刺しのコイズ・ミィ!!」
⬜︎
青き串刺しのコイズ・ミィ:
愛喰 シードD
潜在カード
【ターコイズライト(魔物)】【ターコイズレフト(魔物)】
wild card
??????????
⬜︎
「知らぬ存ぜぬオレ様のご挨拶が済んだところで刺し合おうか!!! ピンクへッドの女ァ!!! 【ターコイズレフトぉぉぉ】!!!」
「! くっ……そこをどきなさい青いヤツ!!」
頬を赤く掠めた青き槍を避けた。
クラウンブレイドに束ねていたピンク髪をほどき散らしながら、
超速で飛び交う青い槍を風を切り横走るチェリーは背負うえれほわのノズルホースの銃口を青いターゲットへと向けた────。
灰煙がたちのぼり、不穏にざわめく、黄金が鈍くくすみ始めた王宮の門前で、青とピンクの強者がその潜在カード、チカラを発揮し、ぶつかり合ってしまった。
しかしこれは避難民を装い内側に潜り込み外側に目を向けさせるための予期せぬ悪の策謀であった。
エリアピ・プ・ペ・ポ、聳え立つ御神木パパイヤの中央区であるいずれのエリアにも何故か突然魔物が発生。混迷混乱を極める現場は、御神木に寄ってくる魔物の駆除および王宮への脅威を取り除くために対応にあたるガードたちの鎧を揺らす音が響いている。
商人の手から邪気纏う魔物カードがばら撒かれようとしたそのとき────
「【えれましんがん】!」
白い弾丸が精密に手持つ商人のカードを射抜いて燃やした。突然燃えた手を熱がる商人はその正体を見破られて2人のガードに取り押さえられた。
「敵は商人や農家に扮していて怪しげな魔物カードを使う! 怪しい動きを見逃すな! そして絶対に敵賊どもを王宮と御神木に近付けさせるな!」
ガードの指揮官は魔物のアタマを斧でカチ割りながら部下たちに命令を下した。
「想定以上に魔物が中央区に侵入している……魔物カードをばら撒いて用意周到……。それに出てくる魔物の強度が高い、ケンキなら大丈夫だと思うけど……目の前に集中、いや王宮に向かう!」
(パパイヤ王がやられれば、シンボクカードは奪われる。やっぱり真の狙いはそれね)
チェリー教官とえれほわは、邪魔する魔物を倒しながら王宮へと向かった。
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「ひぁぃぃぃやっ、ヤラレ」
二足の灰色獣は鋭い爪拳を、槍がへし折れ怯えるガードへと振り下ろした。
魔物が人間の身体を貫かん絶対絶命の瞬間を迎えるその寸前────
黒くて硬い鼻先の装甲が、ワーウルフのアタマを後ろからかち割った。
「ひぇ、母ちゃんっっっ──……えっ??」
目の前の恐ろしげな立つ狼の魔物がただの一枚のカードへと戻りみるみると燃え尽きていく。
「おーい、今俺があんたを助けたよな? 至急、俺を王のいる場に案内しろ(おまえの母ちゃんではない)」
倒れ尻餅つくガードの男は、ギラリと光るメガネをかけ見下す背の高い男と、黒い鼻を伸ばし生きてるようにポッケのぐしゃぐしゃになった母ちゃんのクッキーを嗅ぐ掃除機……奇怪でおそろしげな光景を目の当たりにした。
(森林警備隊を食いつかせる魔物は野良魔物を暴走させる香か何かを炊いたんだろうな、ガードには変な珍しい魔物が出てくるカードをばら撒いて撹乱させる。外に目を向けさせて内側に潜り込んで爆弾を投下する……ひじょーーにシンプルなHALのゲームの常套手段だ。それに教官の言うことが本当ならこれ以上の人助けより、高級取りのガードさんとやらに命懸けて踏ん張ってもらって俺は先を急ぐ)
「よしっ! ゲイボルグ、ガードのおじさんイク!!! ってナニやってんの!? おたくら!?」
『ぼるっぼるっむしゃるる♡』
「母ちゃん手製のもやしクッキーだ、そうかそうか美味いかー、かわいいなこいつぅー。なぁ、あんたさんこれなんてどうぶつ?♡」
「♡を生やすな、機獣ゲイボルグだ、さっさと案内してくれっ!(もやしクッキー…ちょっと気になる…)」
もやしクッキーで燃料を補給したゲイボルグを背負いなおして、助けたガードの男の案内を頼りに剣樹は王宮への近道を急いだ。
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ぐったりと地べたに倒れたガードたちがそこらにいる……。
荒れ果てた黄金の王宮へとつづく王道を真っ直ぐにゆき、チェリー教官が今王宮の門戸へと辿り着こうとしたその時────
天から降り注いできた、ターコイズブルーの鋭き長脚の槍を──寸前のところで走っていた姿勢から後ろへ跳躍する行動を取ら回避。
「歯ごたえのない奴らばかりでちょうど退屈していたところだ。その動き人間離れだなぁーーーっはっはっは」
(今のは、青い槍? いや……武器らしい武器を携帯している様子はない…これは…何者?)
チェリー流肉体操作術の素晴らしいレスポンスで、張られていた必殺の門前の罠を回避したチェリー教官。
突如降ってきた青い槍らしきものに反応しただけで何をされたのか、未だあまり分からず、目の前の敵をそのまま押し通ろうともチェリーは思ったが慎重に構えた。
身を隠す必要がなくなったのか灰色の獣の毛のコートを脱ぎ、敵はその姿を露わにする。
光をビカビカと反射する煌びやかなターコイズブルーの甲殻鎧といかめしい兜を被った男の姿だ。
「何者って顔だな? こんなに青くシャレてても知られちゃいねぇさ。おまえらが馬鹿みたいに謳歌する浮世ってヤツは恐れた才能をドブへと投げ捨てるのが趣味なんだからなァ、俺はアイクのシードD、青き串刺しのコイズ・ミィ!!」
⬜︎
青き串刺しのコイズ・ミィ:
愛喰 シードD
潜在カード
【ターコイズライト(魔物)】【ターコイズレフト(魔物)】
wild card
??????????
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「知らぬ存ぜぬオレ様のご挨拶が済んだところで刺し合おうか!!! ピンクへッドの女ァ!!! 【ターコイズレフトぉぉぉ】!!!」
「! くっ……そこをどきなさい青いヤツ!!」
頬を赤く掠めた青き槍を避けた。
クラウンブレイドに束ねていたピンク髪をほどき散らしながら、
超速で飛び交う青い槍を風を切り横走るチェリーは背負うえれほわのノズルホースの銃口を青いターゲットへと向けた────。
灰煙がたちのぼり、不穏にざわめく、黄金が鈍くくすみ始めた王宮の門前で、青とピンクの強者がその潜在カード、チカラを発揮し、ぶつかり合ってしまった。
応援ありがとうございます!
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