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第二章
第一皇子との密会①
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「今日のところは、これでお開きにしましょう」
────というヴィンセントの言葉により、私達は解散。
各々心身を休めて、いつも通りの毎日を送った。
その間、ルパート殿下がエレン殿下と連絡を取り、面会日時や場所を調整する。
もちろん、マーティン殿下に悟られぬよう細心の注意を払って。
第一皇子派と第三皇子派が協力関係にあることを知れば、どのような行動に出るか分からないからね。
せめて、反撃の準備が整うまでは隠し通したい。
などと考えているうちに、セッティングが終わり────本日、とある別荘で皆と顔を合わせることになった。
アイリスを連れてその場に現れた私は、直ぐさま頭を下げる。
というのも、私達以外もう全員揃っていたので。
「遅くなってしまい、申し訳ありません」
各自ソファや椅子に腰掛ける男性陣を前に、私は一番最後の到着となったことを詫びた。
すると、エレン殿下がヒラヒラと手を振る。
「いやいや、謝る必要はないよ。約束の時間には、間に合っているのだから」
「それに私達も先程、着いたばかりだからな」
ルパート殿下も『気にするな』と声を掛け、一先ず着席するよう促す。
と同時に、ヴィンセントがこちらへ視線を向けた。
「道中、不便はなかったかい?」
「ええ、全く。ヴィンセントのおかげよ」
私とアイリスが安全かつ秘密裏に行動出来るよう色々手配してくれたため、正直かなり助かった。
屋敷を密かに抜け出すまでは、祖父や使用人の力を借りて出来るけど、約束の場所まで第二皇子派や神殿の目を掻い潜って移動するのは無理そうだったから。
『最悪、欠席する羽目になっていた』と思案しつつ、私はアイリスと共に空いているソファへ腰掛ける。
────と、ここでエレン殿下がパンッと手を叩いた。
「さて役者も揃ったことだし、早速本題へ入ろうか」
皆あまり暇じゃないため、エレン殿下は社交辞令やら前振りやら全て省略する。
これには、全員賛同した。
密会する時間が長くなればなるほど、敵勢力に気取られやすくなるので。
「まずは、君達の手に入れた情報とやらを聞かせてくれるかな?」
『今後の方針を立てるのは、そのあと』と告げるエレン殿下に、ルパート殿下はコクリと頷く。
「もちろんです。ヴィンセント、説明を頼む」
「畏まりました」
ルパート殿下より指名を受けたヴィンセントは、胸元に手を添えて一礼した。
かと思えば、背筋を伸ばす。
事前に打ち合わせでもしていたのか、かなり冷静だった。
「まず、結論から申し上げます。第二皇子は神殿と手を組んでいる可能性が、非常に高いです。というのも────」
継母の存在は伏せつつ情報共有を行い、ヴィンセントは『以上です』と話を締め括る。
と同時に、エレン殿下が深い深い溜め息を零した。
「なるほど……厄介だね。神殿まで絡んでくるとなると、下手に動けない」
────というヴィンセントの言葉により、私達は解散。
各々心身を休めて、いつも通りの毎日を送った。
その間、ルパート殿下がエレン殿下と連絡を取り、面会日時や場所を調整する。
もちろん、マーティン殿下に悟られぬよう細心の注意を払って。
第一皇子派と第三皇子派が協力関係にあることを知れば、どのような行動に出るか分からないからね。
せめて、反撃の準備が整うまでは隠し通したい。
などと考えているうちに、セッティングが終わり────本日、とある別荘で皆と顔を合わせることになった。
アイリスを連れてその場に現れた私は、直ぐさま頭を下げる。
というのも、私達以外もう全員揃っていたので。
「遅くなってしまい、申し訳ありません」
各自ソファや椅子に腰掛ける男性陣を前に、私は一番最後の到着となったことを詫びた。
すると、エレン殿下がヒラヒラと手を振る。
「いやいや、謝る必要はないよ。約束の時間には、間に合っているのだから」
「それに私達も先程、着いたばかりだからな」
ルパート殿下も『気にするな』と声を掛け、一先ず着席するよう促す。
と同時に、ヴィンセントがこちらへ視線を向けた。
「道中、不便はなかったかい?」
「ええ、全く。ヴィンセントのおかげよ」
私とアイリスが安全かつ秘密裏に行動出来るよう色々手配してくれたため、正直かなり助かった。
屋敷を密かに抜け出すまでは、祖父や使用人の力を借りて出来るけど、約束の場所まで第二皇子派や神殿の目を掻い潜って移動するのは無理そうだったから。
『最悪、欠席する羽目になっていた』と思案しつつ、私はアイリスと共に空いているソファへ腰掛ける。
────と、ここでエレン殿下がパンッと手を叩いた。
「さて役者も揃ったことだし、早速本題へ入ろうか」
皆あまり暇じゃないため、エレン殿下は社交辞令やら前振りやら全て省略する。
これには、全員賛同した。
密会する時間が長くなればなるほど、敵勢力に気取られやすくなるので。
「まずは、君達の手に入れた情報とやらを聞かせてくれるかな?」
『今後の方針を立てるのは、そのあと』と告げるエレン殿下に、ルパート殿下はコクリと頷く。
「もちろんです。ヴィンセント、説明を頼む」
「畏まりました」
ルパート殿下より指名を受けたヴィンセントは、胸元に手を添えて一礼した。
かと思えば、背筋を伸ばす。
事前に打ち合わせでもしていたのか、かなり冷静だった。
「まず、結論から申し上げます。第二皇子は神殿と手を組んでいる可能性が、非常に高いです。というのも────」
継母の存在は伏せつつ情報共有を行い、ヴィンセントは『以上です』と話を締め括る。
と同時に、エレン殿下が深い深い溜め息を零した。
「なるほど……厄介だね。神殿まで絡んでくるとなると、下手に動けない」
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