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第二章
第一皇子との密会②
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「なるほど……厄介だね。神殿まで絡んでくるとなると、下手に動けない」
『参ったな』と肩を落とし、エレン殿下は額に手を当てる。
でも、決してマーティン殿下の失脚を諦めようとはしなかった。
「これからはきっちり連携して、動く必要があるね。マーティン単体ならともかく、神殿も同時に相手取ることになれば、今のままじゃ太刀打ち出来ない」
『民心の掌握』という点では皇室より絶大な力を持っている神殿に、エレン殿下は警戒心を露わにする。
どことなく険しい表情になる彼の前で、ヴィンセントはおもむろに手を組んだ。
「仰っていることは尤もですが、私達はあくまでライバル同士……協力関係を結んでいるとはいえ、互いの背中を預け合うほどの連携は無理でしょう。どんなに『これは必要なことだ』と、割り切っていても」
『固まって動くのは、不可能』と説き、ヴィンセントはスルリと自身の顎を撫でる。
────と、ここでエレン殿下が困ったような素振りを見せた。
「君の言いたいことは、分かる。でも、神殿側がマーティンを本気で守り、支え、トップに押し上げるつもりなら私達も相応の対処をして行かないと」
「ええ、分かっています」
『事の重大さを理解していない訳じゃない』と示し、ヴィンセントは人差し指を立てる。
「そこで一つ提案なのですが────役割分担をしませんか」
「役割分担?」
思わずといった様子で聞き返すエレン殿下に、ヴィンセントは首を縦に振る。
「ええ。我々第三皇子派が神殿の対処に当たりますので、エレン殿下率いる第一皇子派は第二皇子を処断してください」
「!?」
ハッとしたように息を呑むエレン殿下は、大きく瞳を揺らした。
エメラルドの瞳に困惑を滲ませる彼の前で、私とアイリスも衝撃を受ける。
この役割分担は初耳だったもので。
正直、厄介なのはマーティン殿下よりも神殿の方……。
ヴィンセントはどうして、わざわざ苦労を背負い込むような真似を……まさか────私達エーデル公爵家を気遣って?
合同で調査するとなれば、自然とお継母様の正体や過去もエレン殿下に知られることになるから。
それは今後のことを考えると、避けたい。
『もし、事実を公表なんてされたら……』と懸念を抱き、私は少しばかり表情を硬くする。
ただでさえ急降下しているエーデル公爵家の名声が更に酷くなる、と確信して。
『最悪、没落なんてことも……』と内心青ざめる中、エレン殿下が自身の前髪を軽く掻き上げた。
「こちらとしては非常に有り難い提案だけど……君達はそれでいいのかい?」
『参ったな』と肩を落とし、エレン殿下は額に手を当てる。
でも、決してマーティン殿下の失脚を諦めようとはしなかった。
「これからはきっちり連携して、動く必要があるね。マーティン単体ならともかく、神殿も同時に相手取ることになれば、今のままじゃ太刀打ち出来ない」
『民心の掌握』という点では皇室より絶大な力を持っている神殿に、エレン殿下は警戒心を露わにする。
どことなく険しい表情になる彼の前で、ヴィンセントはおもむろに手を組んだ。
「仰っていることは尤もですが、私達はあくまでライバル同士……協力関係を結んでいるとはいえ、互いの背中を預け合うほどの連携は無理でしょう。どんなに『これは必要なことだ』と、割り切っていても」
『固まって動くのは、不可能』と説き、ヴィンセントはスルリと自身の顎を撫でる。
────と、ここでエレン殿下が困ったような素振りを見せた。
「君の言いたいことは、分かる。でも、神殿側がマーティンを本気で守り、支え、トップに押し上げるつもりなら私達も相応の対処をして行かないと」
「ええ、分かっています」
『事の重大さを理解していない訳じゃない』と示し、ヴィンセントは人差し指を立てる。
「そこで一つ提案なのですが────役割分担をしませんか」
「役割分担?」
思わずといった様子で聞き返すエレン殿下に、ヴィンセントは首を縦に振る。
「ええ。我々第三皇子派が神殿の対処に当たりますので、エレン殿下率いる第一皇子派は第二皇子を処断してください」
「!?」
ハッとしたように息を呑むエレン殿下は、大きく瞳を揺らした。
エメラルドの瞳に困惑を滲ませる彼の前で、私とアイリスも衝撃を受ける。
この役割分担は初耳だったもので。
正直、厄介なのはマーティン殿下よりも神殿の方……。
ヴィンセントはどうして、わざわざ苦労を背負い込むような真似を……まさか────私達エーデル公爵家を気遣って?
合同で調査するとなれば、自然とお継母様の正体や過去もエレン殿下に知られることになるから。
それは今後のことを考えると、避けたい。
『もし、事実を公表なんてされたら……』と懸念を抱き、私は少しばかり表情を硬くする。
ただでさえ急降下しているエーデル公爵家の名声が更に酷くなる、と確信して。
『最悪、没落なんてことも……』と内心青ざめる中、エレン殿下が自身の前髪を軽く掻き上げた。
「こちらとしては非常に有り難い提案だけど……君達はそれでいいのかい?」
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