聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!

つくも/九十九弐式

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イシスに魔力のリングを渡す

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 モンスターとの戦闘中の事であった。戦闘の目的は古代魔法を覚えたイシスの実戦テストである。言わばお試しクエストのようなものだった。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 相手は火山に存在するレッドドラゴンだった。

「絶命氷結地獄(コキュートス)」

 イシスは古代魔法である絶命氷結地獄(コキュートス)を放った。絶対零度の強力な氷魔法。あまりに危険すぎ、平和になった2000年間の間に失われてしまった古代魔法だ。

 レッドドラゴンは一瞬にして氷漬けとなった。

「す、すごいです! イシスさんの魔法でレッドドラゴンが一瞬で氷漬けに」
「あのレッドドラゴンはАランク相当のモンスターなのに」
「はぁ……はぁ……はぁ」

 しかし、イシスは肩で息をする。どうやらMPの底が尽きているようだ。

「けどダメ。古代魔法はMPの消費が高すぎる。私のMPじゃすぐに空になっちゃう」
「先生のエーテルを飲んで回復させればいいじゃないですか」
「それもそうですが、戦闘中にその隙があるとも思えません。イシスさん、指を貸してください」
「はい……」

 エルクはイシスの左手の薬指に指輪をはめた。恐らく意味を理解していないのだろう。エルクは恐ろしい程の専門知識がありながら世の中の常識に無頓着だった。
 左手の薬指に指輪をはめる事が普通は婚約の証となる事を理解していないのである。

「せ、先生、これは」

 イシスは驚いていた。

「ああああああああああああああああ! 先生がイシスさんにプロポーズしましたあああああああああああああああ! 私というものがありながらあああああああああああ! うええええええええええええええええええええええん!

 リーネは大声で泣き叫んだ。

「違います! これはプロポーズではありません」
「え? 違うんですか」

 イシスは残念がった。

「これは魔力の指輪です。MPの上限を増やせるマジックアイテムです。私が作りました」
「なんだ、そうだったんですか! 私はてっきりイシスさんの事を好きになっちゃったんじゃないかと」
「好きですよ。勿論、教え子として」
「教え子として……まあ、そうですよね」

 イシスは落ち込んだ。

「古代魔法を覚えたイシスさんに私からプレゼントです。どうか受け取ってください」
「はい! ありがとうございます! 先生!」

 イシスは笑みを浮かべた。
 四人は冒険者ギルドに戻る。

 冒険者ギルドは大慌てだった。

「知っているか? 王国アーガスから魔物が大量に出現して、他国を襲ってるんだってよ」
「なんか最近あの国やばい事になってたらしいけど、ついにそんな事が」

 冒険者達の会話だ。

「聞き捨てなりませんね」

 エルク達は受付嬢のところへ行く。

「一体、何があったのですか? 受付嬢さん」
「はい。王国アーガスから大量の魔物が出現して他国を襲っているようなんです。今、我々の迷宮都市からも複数の冒険者パーティーが迎撃に向かっています。四聖竜の方々も」
「……そうですか」
「Sランクパーティーの黄金の原石の皆さま方も、是非行っていただけないでしょうか」
「ふむ」

 エルクは考える。完全に国王の自業自得とはいえ、遠因は少なからずエルクにもあった。仮に遠因がゼロだったとしても。
 こうまで世界に悪影響を与えている存在を野放しにはできないだろう。

「わかりました。では我々もそのクエストに参加しましょう」
「ありがとうございます! 黄金の原石の皆さん! 皆さんの参加大変心強く思っております」

 受付嬢は笑みを浮かべた。そしてエルクは王国を追放されて以来、久方ぶりに王国アーガスを訪れる事が決定したのである。

「行きましょう。皆さん。かつて私が使えていた王国です」
「先生の元勤務先ですか」
「はい。今は恐らく悪い意味で見違えてしまったかと思います。ですが、我々はいかなければなりませぬ。世界に平和をもたらすその大一歩なのです」
「はい! がんばりましょう! 皆さん」
「それでは装備を整えて向かいます」

 四人は王国アーガスへと向かった。仮初の魔王の力を受けた、元国王を倒す為に。
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