転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴

文字の大きさ
293 / 324
第7巻第1章 聖剣の扱い方

聖剣本来の使い方

しおりを挟む
「来たよー」

 マヤはルースに手伝ってもらって別の空間にあるマルコスの城にやってきていた。

「よく来たな。まずはついてきてくれ」

 マルコスはそのまま城の中を進んでいく。

 マヤとシャルルはその後ろに続いた。

 ちなみにセシリオから声をかけられた時に一緒にいたウォーレンとマッシュ、それから移動を手伝ってもらったルースもマヤたちの後ろについている。

「移動しながら説明してもいいか?」

「いいよ。聖剣の使い方がわかったってことらしいけど、どういうこと?」

「セシリオから概要は聞いたみたいだな。私がかつて収集した古文書の中に、聖剣の正しい使い方について書かれているものがあった。シャルル、お前が伝え聞いている聖剣の扱い方とはどういうものだ?」

「私が知っている聖剣の使い方、ですか……そうですね、正直に言えば、ほとんど何も知りません。私の何代も前の王の時代に聖剣は失われていましたから」

「だろうな。マヤはどうだ?」

「私が知るわけ無いじゃん。そもそも、マルコスさんに過去に飛ばされるまで、オーガの王族がそんな力を持ってるなんて知らなかったし」

「そうだろうな。では、お前たちはなぜ、あの聖剣を双剣だと判断した?」

「それは……だって2本あったし、ね?」

「私もマヤと同じ理由です。それに、2本あって初めて本来の力を発揮すると言われましたから」

「あの聖剣が二振り揃って初めて本来の力を発揮するのは本当だ。しかし、それは両手に持つ、ということではない」

「どういうこと?」

「つまりだな…………いや、もう到着した、見てもらった方が早いだろう」

 マルコスは大きな扉の前で足を止める。

「ここは?」

「私の書庫だ」

 マルコスは見上げるほど大きな扉を魔法で開けると、マヤたちを中に案内する。

 巨大な本棚が整然と並んでいる空間を進んで行くと、部屋の奥の大きな机に1冊の本が広げてあった。

「あれだ」

 マルコスが指さしたそれを覗き込んだマヤは、先程のマルコスの言葉を理解する。

「これは……」

「なるほど、そういうことか……」

 その絵には、白狼を連れた少女と角が生えたオーガの王族らしき人物が、一振りずつ聖剣を携えて、化け物のようなものと戦っていた。

「わかったか? あの聖剣は、1人一振りずつ持って、連携して攻撃を仕掛けることで真の力を発揮するのだ」

「うん、そうみたいだね。そして、あの聖剣を持っているもう一人は……」

「ああ、おそらくその昔、狂気した初代剣聖カーリを討ったという聖女だろうな」

 机に跳び乗って古文書に目を落としていたマッシュがマヤを振り返る。

「ということは、マヤがもう一振りの聖剣を持つのが正解ということか?」

 マヤはウォーレンの言葉に頷いた。 

「そうみたいだね」

「なるほど。確かにもしこれが本当なら、私達の訓練は1からやり直し、ということだな」

「そうだね。今までは私と戦って鍛えてたけど、これからは私と連携する訓練をしないといけないわけだし」

 正直不安がないわけでは無いが、こちらの方がよりは強くなれるのであれば、今からでもやるしかない。

 力をつけてもつけすぎることはない、マヤたちが戦おうとしている相手はそういう存在だ。

「まあ頑張るしかないだろう。俺も当然付き合うからな」

 マヤが不安そうしていると思ったのだろうかウォーレンがマヤの頭にぽんと手を置いた。

「ウォーレンさん……」

 昨日付き合い始めた始めたばかりということで、マヤはそれだけのことで少しはばかり頬を染める。

「もちろん私も手伝おう。人魔合体していても聖剣が扱えるならそれが一番いいだろうからな」

「ありがとね。ウォーレンさん、マッシュ。マルコスさんも、教えてくれてありがとう」

「私は神に世界を滅ぼされないためにするべきことをしているだけだ。だからお前たちも、お前たち自身の役目を果たせ」

「わかった」

 マヤたちは頷きあうとマルコスの城を後にした。

「マヤ、早速訓練するか? 封印空間なら準備できているぞ?」

 ドアに変身したルースからの質問に、マヤは首を横に振った。

「いや、今日はやめておくよ。とりあえず私が聖剣を使うとどうなるか、まずは一人で確かめたいから。シャルルさん、聖剣を片方借りていっていいかな?」

「ああ、もちろんだ。というより、さっきの話だと片方はずっとマヤが使うことになる。これからはマヤがずっと持っていてくれ」

「了解。ありがとね。それじゃルース、とりあえず私は私の屋敷の前に――いや、カーサの家の前に連れて行ってくれるかな?」

「了解だ」

「俺の家の前に行くなら俺も――」

「ウォーレンさんはちょっと後で来て!」

「お、おう……わかった」

 マヤの強い口調に押し切られ、ウォーレンは引き下がる。

 マヤがドアの向こうに消えた後、ウォーレンは首を傾げた。

「何だったんだ、一体」

***

「はあはあはあ……緊張したあ…………」

 マヤはカーサとウォーレンの家の前に着くなりその場に座り込んだ。

「どう、したの、マヤ、さん?」

「ああ、カーサ、いいところに。これからちょっと出かけない? ちょっと修行に付き合って欲しくてさ」

「うん、いい、けど、マヤさん、大丈夫? なんか、息、上がってる、けど?」

「ああ、大丈夫大丈夫。恋人になったからってドキドキしなくなるわけじゃないだなあ、って実感してただけだから」

 マヤがウォーレンから逃げた理由は、言ってしまえばドキドキしすぎて辛かったからだ。

 足元がふわふわするような幸せな感覚ではあったのだが、同時に自分が何をしでかすかわからない恐怖もあった。

 みんなの前で小っ恥ずかしいことを言ってしまったりするのではないか、突拍子もない行動に出てしまうのではないか、とそんな恐怖が。

「そう、なんだ。でも、わかった。だから、お兄ちゃん、じゃ、なくて、私、なん、だね?」

「そういうこと。色々あって私が聖剣の片方を使うことになったから、私が聖剣を使うとどうなるか試しておきたいんだよね」

「うん、付き合う。でも、途中で、カーリが、出て、来ちゃっ、たら、ごめん」

「あー、まあ出てきそうだよね……私が強ければ強いほど」

「うん、だから、むしろ、カーリが、出てくる、のを、目標で、やって、みたら?」

「確かにそれならわかりやすいかな。少なくともデリックさんにくらいは強いってことだしね」

「うん。頑張って」

 マヤはカーサとともに、キサラギ亜人王国の森の奥にある訓練場へと向かった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...