転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴

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第1巻第3章 ハーフエルフを探せ

ダークエルフvs魔物使い

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「はははははっ! ほらほら、さっきまでの威勢はどうした!」

 完全にダークエルフとなった村長が次々と繰り出す攻撃魔法に、マヤたちはオリガの防御魔法の中から動けなくなっていた。

「ちょっとやばいかもね」

「ええ、まさか村長がここまでとは思っていませんでした。私の防御魔法も持ちこたえられて後数分です」

「ははははっ、どうしたどうした!」

 マヤたちが話している間にも、村長は次々と攻撃魔法を仕掛け、オリガの防御魔法を何度も破壊していく。

 なにか策はないものかと、マヤは村長への目を向ける。

 そして、マヤはあることに気がついた。

(あの黒いもやって……)

 村長の胸の魔石から流れ出した黒いもやが村長の全身にまとわりついていたのだ。

 始めてオリガに出会った時や、ヘンダーソン家で魔物がたくさんいた倉庫の壁が壊れた時以外にも、マヤはこのもや頻繁に目にしてきた。

(今まで見てきたやつと同じだと思うけど、なんかちょっとずつ減ってるっぽい?)

 そこで、マヤの中に1つの仮説が生まれる。

 マヤはその仮説を証明するためにオリガへと目を向けた。

(やっぱりそうだ! オリガにもあのもやはまとわりついてるし、その量も減っていってる!)

 おそらく、あの黒いもやは、魔石が生み出す魔力なのだろう。

 今までそれが何かわからなかったが、それが魔力だと言うなら色々と説明がつく。

(なんで私にしか見えないのかわからないし、魔石由来の魔力しか見えないみたいだけど、この際それはどうでもいいや。それよりも―――)

 それよりも現状の解決策を考えなければならない、と思ったマヤだが、黒いもや正体が魔力だとわかったからと言って、それだけではなんの役にも立たない。

 考えるマヤの前で、再び村長の攻撃魔法がオリガの防御魔法を破り、すぐさま新しい防御魔法が展開された。

(あれ? これって……)

 防御魔法が展開された瞬間、マヤは黒いもや発生するのを目にした。

 そして、よく見てみると、防御魔法自体も黒いもやでできていることに気がついた。

(もしかして、魔石由来の魔力がもとなら、それで発動された魔法の状態でも魔力が見えるってこと?)

 もしこの仮説が本当なら、これが突破口になるかもしれない。

 一か八かだが、それをする他にない。

 マヤは覚悟を決めると、シロちゃん飛び乗った。

「マヤさん!?」

「オリガ、とにかく村長を引き付けといて!」

「何をするつもりだ?」

「まあ、確信はないんだけど、どうにかできる方法を思いついたかもしれないからやってみる。もし本当に危なくなったらマッシュ、オリガを連れて逃げるんだよ!」

 マヤはそれだけ言い残すと、半球状に展開されているオリガの防御魔法のを内側から突き破って外に出る。

「どうした魔物使い、貴様血迷ったのか?」

 自ら防御魔法の外に出たマヤに、村長は一瞬怪訝な顔をして攻撃魔法を止めるが、すぐに攻撃を再開した。

 今度はオリガたちと外に出てきたマヤへとそれぞれ狙いを定めて攻撃を仕掛けてくる。

「シロちゃん、右!」

 マヤはシロちゃんに次々と指示を出し、村長が魔法で生み出す氷柱を火球を水弾をまるでどこに飛んでくるかがわかっているかのように交わしていく。

「ど、どうしてだ! どうして当たらん!」

(やっぱりそうだ。魔力が見えれば魔法がどこに来るかわかる)

「ふふーん、ほれほれ、こっちだよー」

 マヤはひらりひらりと村長の攻撃をかわしながら、少しずつ村長との距離を詰めていく。

「くそっ! このっ! ちょこまかちょこまかと!」

 村長がやたらめったら放つ攻撃魔法をすべてかわし切り、マヤは村長に迫ると、その後ろに回り込んだ。

「そこだああああ! シロちゃん、いっけえええええ!」

「わおおおおおおおおおん!」

 魔力の濃さを見て、村長は万が一に備えて展開していた防御魔法の一番弱いところを見つけたマヤは、そこを指さし、マヤが指さしたところにシロちゃんが額の魔石の先端を助走をつけて突き込んだ。

 いかにマヤに強化された状態のシロちゃんといえど、今の村長の防御魔法を正面から破ることはできないだろう。

 しかし、最も弱いところに一点集中で攻撃すれば―――

「なっ! 私の防御魔法が魔物ごとき―――がはっ!」

 シロちゃんに防御魔法を破られた村長は、驚愕している間に勢いそのままのシロちゃんの体当たりを食らって吹き飛ばされ、気を失ってしまった。

「ふぅ、なんとかなったね。おつかれシロちゃん」

「わふっ!」

 マヤはそのままのシロちゃんの上に倒れ込むと、静かに寝息を立て始めたのだった。
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