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本章
Episode30/煌めく
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あかりはひとつ生唾を飲み込んだ。
(そもそもさぁ……バスローブはだけたアンニュイな樹さんがダメすぎる!!)
目の前の誘っている不破が目に毒だった。色気が半端ではない、本人はそんな意識はまるでしていないようだけれども。
「ダメ?」
そこにあざとく聞いてくるのはなんなのか!あかりは自分の身体に一瞬で火が付いたように熱くなったのがわかった。
「あ、朝とか……するの、恥ずかしいんですけど!!」
「なんで?」
「だって、その……」
(こんな綺麗な部屋で、真っ白な明るい部屋で……自分のくすんだ肌を晒すのってなんていうか……)
「なに?」
「見るに忍びない、と言いますか……」
「はぁ……」
必死に言葉を選んでいるのに不破は呆れた声で応えてくる。
「朝のアラサーというのはですね……なかなか自分でも受け入れ難い現実が多くてですね。なんというか、樹さんの目が腐るかもなぁ、みたいな……」
「なにそれ」
やはりうまく伝わらない。呆れた声にますます拍車がかかってきた。なんなら壁にもたれてとてもめんどくさそうに聞かれている。「結論は?」上司モードの不破がそこにいた。
「だからぁ!新藤さんみたいなピチピチした若くて染みもシワもない張りだらけのような子ならいくらでも見せるんですけどね、私はそのぉ……」
もごもご言うと不破が呆れた顔であかりを見降ろしている。
「新藤?なんでそこであいつが出てくんの?」
普段耳にしないような雑な言い方だった、なんなら冷たい言い方であかりが今度は首を傾げてしまう。
「可愛いじゃないですか。まず若さが罪ですよね、あんな風に一度は生きてみたかった……」
「新藤みたいに?あかりが?絶対ヤなんだけど」
(え?)
「ああいう女、苦手。距離感わきまえないっていうか……がつがつした系?まったく惹かれないわ」
「……そういう割に優しい言葉かけてますよ?」
思わず愚痴みたいに拗ねた口調で言ってしまって口を手で覆った。
「優しい言葉?そんなのかけたことなくない?」
「……自覚なしですか?」
じとりと見つめてやはり拗ねた口調で聞いてしまったが不破は「うーん?」と空を仰いでいる。
「それって業務中だろ?優しい言葉ってなんだ?仕事で絡んだ内容しか新藤と話してる記憶ないけどな」
「業務中……でも、フォローの一環なのかもしれないですけど……頑張れとか、相手を思いやる言葉、好きな人から言われたらダメですからね?ますます好きになるだけだし」
「いや、そんなこと言われても知らねぇわ。だいたい新藤って平気で仕事投げやりそうじゃん、あの感覚とテンションの波が扱いにくい、フォローするにしてもやりにくいしすっげー嫌、部下としても嫌」
(……結構言う)
不破に思いを寄せている新藤の気持ちを知っている手前、容赦ない不破の言い草に同情はあったが自分の立場的に喜んでしまってあかりは内心ホッとしてしまった。そんな黒い自分を不破に悟られないように胸にしまい込んでおく。
「なぁ、そんなことよりダメなの?」
不破の手があかりの服の中に滑り込んでくる。
「もう俺と結婚するんだろ?どんなあかりも見せてよ、全部俺のモノじゃん」
「そ――、そういう言い方は……」
「あ、ごめん、嫌だった?」
モノ扱いしたことを不破が気にしたのか、あかりは首を横にフルフルと振って俯いた。
「そうじゃなくて……樹さんにそんな風にいわれると、嬉しくなる」
「――可愛いすぎるんだけど」
脱いで?そう言われて素直にトップスのブラウスを不破の手も借りて頭から脱ぎ取った。
「なんか……昨日はそれどころじゃなかったからちゃんと見てなかったけど……こんなエロいの着けてたんだ。あかりマジで誘ってない?俺のこと」
少し興奮したような不破の声、手はそのままスカートにかけられてストンと足首まで落とされた。
「これダメだわ、やばい」
やばい、と言われたこの下着も新しく買ったもの。
誰もが持っているであろう王道の黒の下着、でもキツく見えすぎたりしないかと悩んでチャコールグレーを選んだ。黒よりも優しげでたっぷりのレースがあしらわれていると大人可愛い印象に。そこにストリングデザインのショーツ。ショーツの脇が二本の紐になっていて紐と紐の間の黄金地帯が無駄に目につく。
「こういうのも……好き?」
上目遣いで問いかけると不破が目を丸くする、そのままチュッと口づけてきた。
「シンプルでエロいって最高、この隙間の肌ヤバいね、好きです」
指先でその紐を引っ張るようにしながら指を滑り込ませる。
「今の聞き方も何?もうあかりにしか欲情しないわ、あかりだけ……」
下着姿にされて不破に抱きしめられながらあかりは目を閉じて腕をその身体に巻き付けた。
「私も――樹さんだけ、樹さんのためだけにこれから生きていきたい……」
不破と生きる未来を夢見ながら、あかりは目の前の大好きな人のキスに応えていた。
ーーーーー
※本章完結になります。ここまでご愛読ありがとうごさいます!!
after storyに続きます。もう少しお付き合いくださると嬉しいです。
(そもそもさぁ……バスローブはだけたアンニュイな樹さんがダメすぎる!!)
目の前の誘っている不破が目に毒だった。色気が半端ではない、本人はそんな意識はまるでしていないようだけれども。
「ダメ?」
そこにあざとく聞いてくるのはなんなのか!あかりは自分の身体に一瞬で火が付いたように熱くなったのがわかった。
「あ、朝とか……するの、恥ずかしいんですけど!!」
「なんで?」
「だって、その……」
(こんな綺麗な部屋で、真っ白な明るい部屋で……自分のくすんだ肌を晒すのってなんていうか……)
「なに?」
「見るに忍びない、と言いますか……」
「はぁ……」
必死に言葉を選んでいるのに不破は呆れた声で応えてくる。
「朝のアラサーというのはですね……なかなか自分でも受け入れ難い現実が多くてですね。なんというか、樹さんの目が腐るかもなぁ、みたいな……」
「なにそれ」
やはりうまく伝わらない。呆れた声にますます拍車がかかってきた。なんなら壁にもたれてとてもめんどくさそうに聞かれている。「結論は?」上司モードの不破がそこにいた。
「だからぁ!新藤さんみたいなピチピチした若くて染みもシワもない張りだらけのような子ならいくらでも見せるんですけどね、私はそのぉ……」
もごもご言うと不破が呆れた顔であかりを見降ろしている。
「新藤?なんでそこであいつが出てくんの?」
普段耳にしないような雑な言い方だった、なんなら冷たい言い方であかりが今度は首を傾げてしまう。
「可愛いじゃないですか。まず若さが罪ですよね、あんな風に一度は生きてみたかった……」
「新藤みたいに?あかりが?絶対ヤなんだけど」
(え?)
「ああいう女、苦手。距離感わきまえないっていうか……がつがつした系?まったく惹かれないわ」
「……そういう割に優しい言葉かけてますよ?」
思わず愚痴みたいに拗ねた口調で言ってしまって口を手で覆った。
「優しい言葉?そんなのかけたことなくない?」
「……自覚なしですか?」
じとりと見つめてやはり拗ねた口調で聞いてしまったが不破は「うーん?」と空を仰いでいる。
「それって業務中だろ?優しい言葉ってなんだ?仕事で絡んだ内容しか新藤と話してる記憶ないけどな」
「業務中……でも、フォローの一環なのかもしれないですけど……頑張れとか、相手を思いやる言葉、好きな人から言われたらダメですからね?ますます好きになるだけだし」
「いや、そんなこと言われても知らねぇわ。だいたい新藤って平気で仕事投げやりそうじゃん、あの感覚とテンションの波が扱いにくい、フォローするにしてもやりにくいしすっげー嫌、部下としても嫌」
(……結構言う)
不破に思いを寄せている新藤の気持ちを知っている手前、容赦ない不破の言い草に同情はあったが自分の立場的に喜んでしまってあかりは内心ホッとしてしまった。そんな黒い自分を不破に悟られないように胸にしまい込んでおく。
「なぁ、そんなことよりダメなの?」
不破の手があかりの服の中に滑り込んでくる。
「もう俺と結婚するんだろ?どんなあかりも見せてよ、全部俺のモノじゃん」
「そ――、そういう言い方は……」
「あ、ごめん、嫌だった?」
モノ扱いしたことを不破が気にしたのか、あかりは首を横にフルフルと振って俯いた。
「そうじゃなくて……樹さんにそんな風にいわれると、嬉しくなる」
「――可愛いすぎるんだけど」
脱いで?そう言われて素直にトップスのブラウスを不破の手も借りて頭から脱ぎ取った。
「なんか……昨日はそれどころじゃなかったからちゃんと見てなかったけど……こんなエロいの着けてたんだ。あかりマジで誘ってない?俺のこと」
少し興奮したような不破の声、手はそのままスカートにかけられてストンと足首まで落とされた。
「これダメだわ、やばい」
やばい、と言われたこの下着も新しく買ったもの。
誰もが持っているであろう王道の黒の下着、でもキツく見えすぎたりしないかと悩んでチャコールグレーを選んだ。黒よりも優しげでたっぷりのレースがあしらわれていると大人可愛い印象に。そこにストリングデザインのショーツ。ショーツの脇が二本の紐になっていて紐と紐の間の黄金地帯が無駄に目につく。
「こういうのも……好き?」
上目遣いで問いかけると不破が目を丸くする、そのままチュッと口づけてきた。
「シンプルでエロいって最高、この隙間の肌ヤバいね、好きです」
指先でその紐を引っ張るようにしながら指を滑り込ませる。
「今の聞き方も何?もうあかりにしか欲情しないわ、あかりだけ……」
下着姿にされて不破に抱きしめられながらあかりは目を閉じて腕をその身体に巻き付けた。
「私も――樹さんだけ、樹さんのためだけにこれから生きていきたい……」
不破と生きる未来を夢見ながら、あかりは目の前の大好きな人のキスに応えていた。
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※本章完結になります。ここまでご愛読ありがとうごさいます!!
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