あの夜をもう一度～不器用なイケメンの重すぎる拗らせ愛～

本編

21話・熱い抱擁（燈子）

　見つめられるだけでも心臓が飛び跳ねそうなのに、抱きしめられて口づけを交わされたらもう死にそうだった。


「んっ――はっぁ」


　熱いくちびるが押し付けられて息が出来ない。呼吸が鼻でもできることを思い出して酸素を求めたら変な声が出た。


「ふ、あんっ、んっ」
「――声もかわいい、もっと聞かせて」
　うっとりした目で見つめられてやっと息が出来ると思ったのにまた息が止まった。彼から放たれる妖艶な香りに思考がまともに働かずにいる。

「あ……ぁの、も、わたし……ほんとにその、ひゃっ！」
　手がいつのまにか胸を弄り出していて悲鳴を上げた。優しく撫でるように包みこんでいくから身体がだんだん震え始めた。躊躇いなく触れてくる大きな手が胸を背中を這いだすといちいち背中が反り上げられて身体が彼に近づいてしまう。自分の身体が彼の手によって感じ始めているのを隠し切れない、それにますます慌てて誤魔化したくなった。


「あの！手手手が！その！」
「もう脱ぎましょうか」
「えええ？！脱ぎませんよね？脱ぎません！」
「なんで？」――なんででもない、むしろなんで脱ぐのだ。


「ンあっぁ！」
　ムニッと両脇から挟むように揉まれて人差し指の爪先が先端をカリッと擦った。


「ん、やぁっ！」
「感じてるのに……」
　そのまま耳を舐められて咥えられて悲鳴を上げた。


「きゃあぁ！」
「――っ、美山さん、大きな声出すのはやめましょうか。頭に響くんで……ちょっと黙りましょうね」
「ムううんっ！」
　そう言ってまたくちびるを奪われる。


（こ、この流れるような動作はなに？あれ？なんか私もうブラウス腰まで落ちてない？ブラジャーかろうじてついてるけど、もう胸の上に乗っかってほぼ丸見えかな？なにこれ、なになに？それにしてもキスが全く終わらないんですけど！）


　頭の中でもう一人の私が冷静に実況している。


「はーーン、ちょ、ま……「ここ、気持ちいいですよね？」
　コリコリと反応を隠せずに尖った先端を爪先で弄られて腰が揺れてしまった。

「好き？弄られるの」
　色っぽい瞳で見つめられてワナワナと震えてしまう。感じる身体が恥ずかしい、何も言わなくても答えになってしまっている。そしてこれだ。

「はぁん、んっ、まっ、まっ……てぇ」
　勝手にこぼれる色香を含んだ喘ぎ声でお願いしても説得力がないと自分でも思う。もう声が意志を無視してあがる、息が乱れて身体が熱を帯びだしてきた。彼の手は相変わらず熱くて触れられるところからヒリヒリと火傷していくような感覚に襲われる。


（気分悪くなかったんですか？眠りそうじゃなかったですっけ？なんでこんなに覚醒してしまわれたのか）


　抵抗しようにも空いた左手でしっかり手首を掴まれて足で骨盤あたりをホールドされてしまい動くなんかできない。見上げる彼は息を乱しながらその大きな体をかぶせてきた。