セフレ、のち、旦那

イセヤ レキ

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「こういう話って、誰にも話せないで悩んでいる人って、結構いると思うんだよね。話聞くだけなら心療内科とかの方が良いかと思ったんだけど、どうせなら他人ひとの人生変えるようなことしといて、自覚なかったりする奴らからせめて金だけでもふんだくる手伝いがしたいなーと思ってさ」
「言い方」
「ははは」

そこまで聞いて、ふと気付いた。

「……あれ?待って、士楼」
「ん?」
「今の話なんだけどさ。士楼って、膣じゃ出せないんだよね?」
「ああ」
「えーと、私相手でも、恐らく無理だよね?」
「多分、無理じゃないかな。やってみないとわからないけど」
「そっか、じゃあこれからも、二人でアナルセックス楽しみましょうか」
「……やっぱり俺、ありかのこと好きだわ」
「え?今??」
「普通さ、将来の……子供のこととか考えたりするもんじゃん?」

確かに、結婚する前から考えている女性はいるだろう。
けれども私は、そもそも子供が欲しくて士楼と結婚する訳じゃない。

「私もちょっと、普通のセックス出来るかわからないし。……今は良い時代だよねぇ。自然妊娠じゃなくても、医療が発達してるから体外受精という手もあるからさ」

望んでいない子供を妊娠してしまったことで悩む女性がいる一方、子供が欲しくて悩む夫婦もいる。
子供が生まれたからといって、その子供達が全員心身ともに健康な訳ではない。かと言って、健康に生まれた子供が将来警察にお世話にならないとも限らないのだ。


結局人間は、常に隣の芝は青く見えるものだし、世間一般でいう普通という形で生きるのは意外と難しいし、普通であることが幸せだと気付かない人達も数多くいる。

「ねぇ、士楼。今すっごくシタイな」
士楼とのアナルセックスは、いつも私の心を満たしてくれていた、ということに気付くのが遅かった。けれども、手遅れにならなかったのは私にとって、ラッキーなことだったと思う。
私がベッドの上から身を乗り出しつつ士楼に言えば、彼は苦笑した。
「……俺もだけど、ここでは勘弁な」
「ははは」

実家の匂いに包まれ、私はその日ぐっすり眠りについた。


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