セフレ、のち、旦那

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よしかに乱暴を働いた男かどうかはわからないけど、よしかの妊娠が発覚する前にレイプ犯は逮捕されていた。
けれどもよしかは生まれてくる子供の為に、結局被害届けを出さなかった。


「……まさか、士楼が弁護士だったなんてねぇ……」
よしかや私達家族が被った心の傷を、犯人に償わせたいと思っていたこともあった。いや、今でもその気持ちは少なからずある。
けれども、本当に大事なのは、それを騙し騙し、何とか乗り越えた今、これからどう人生を謳歌するかだろう。

「あー……俺の昔話、聞きたい？」
「士楼が話しても良いなら、聞きたい」
「俺さぁ、初体験が中二の時だったんだけど」



士楼の話は、こうだった。
中二の時、当時家庭教師だった女性に性的に乗っかられた。
若かりし士楼は、当然その誘惑に負け、初体験を済ませた。
セックスに夢中になった士楼は、その女性が家庭教師を止めるまで関係を持ったが、転機になったのはその最後の日。


初体験以来、普段は士楼がゴムを用意していたのだが、その日はその女性が買ってきた、と言ったらしい。
不思議に思ったが、士楼はそのままそのゴムを使い、その女性と繋がった。
彼女が何も言わなければ、士楼はそのまま彼女の膣ナカで果てていただろう。けれども、ゴムをしているにも関わらず、「ナカで出して」と何度も言う彼女に違和感が膨らみ、士楼は達する時に抜いて射精をした。

結論から言うと、士楼の着けたゴムには、穴が開けられていた。


「その時、俺まだ中三でさぁ。マジで女ってコエーって思ったんだよね。養える訳でもない、未成年の俺に孕ませさせて何がしたかったのか、今でも理解出来ない。犯罪者になるだけじゃん」
その女性とはそれっきりだったらしいが、それ以来どうしても女性に対する苦手意識は拭えなかったという。

とはいえ、セックスを覚えた若者に、それをしない生活を送るのは無理があった。しかし、いざできた彼女とセックスをしようとしても、膣に挿入すると達することが出来なくなったという。

大抵の彼女がその事実に傷付き、士楼との別れを選んだ。
そして彼女達の選択に傷付いた士楼も、誰かと付き合うことをやめるようになった。


士楼がそのまま誰とも付き合うことなく社会人になったある日、「膣が駄目ならお尻で試してみれば？」と酔った勢いで同僚が笑って言ったのが、士楼にとっての転機だった。

試してみれば、お尻でなら達することが出来た。以来、士楼は特定の彼女は作らずに、アナルセックスだけを楽しむようになったらしい。