そのメイドは振り向かない

藤原アオイ

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言葉

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 なにはともあれ、至急やるべきことは全部済んだ。

「エステルさん、その、祈りについて教えてくれませんか?」

「かしこまりました。祈りとは――――」

 祈りとは、自然に宿る者を鎮める行為。荒ぶり「闇の魔物」へと変貌した彼らを浄化する行為。聖女が召喚された際に後天的に身につけるものであり、文献の中の聖女もそうであったという。

「えっと……その文献って見せてもらうことって出来ますか!?」

 文献、つまり本という言葉にあずさは食いつく。きっと本がよっぽど好きなのだろう。

「ええ、可能ですよ。ですが置いてあるのが禁書庫の方ですので、閲覧出来るまでに少々時間はかかってしまいます……。今日中は難しいので、明日でもよろしいでしょうか?」

「はいっ!」

 私の答えを聞くと同時に、顔を輝かせる。本の虫というのはこういうのを指すのだろうな。

「そういえば、あずさってこっちの言葉読めるの?」

「えっと、自動的に向こうの言葉に翻訳されるみたいです」

「そうなのっ!? 聖女ってすごいんだな!」

 それにしても、エルヴィンと話している時のあずさはとても楽しそうだ。もしかしたら……いや、決めつけるにはまだ早いか。

  それから彼らは日が暮れるまで話し続け、私と向こうのメイド両方に小言を言われるのであった。……まぁ、そりゃそうだ。
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