異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第一章 運命のはじまりと新たな出会い

1-12 夜ふけての密会

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 楽しかった晩御飯の雰囲気を僅かに残しつつも後片付けは終わった。
あとは家の戸締りと家の周りに張ってある結界の確認をするのみとなった。

「よし!ワシが戸締りをしてくるからあとは頼んだぞ。」

ムキじぃーちゃんはそうドラしゃんに告げると家の戸締りにむかった。

ドラしゃんは返事を返すこともなく家の周囲に張ってある結界の補強に向かう。

戸締りも結界の補強も終わり一息ついてると何もない空間に歪みが生じる。

ドラしゃんはその歪みに目を向けながら2階の様子を確認する。
皆んな寝静まった事を確認したドラしゃんとムキじぃーちゃんの前に歪みから1人の人?が姿を表す。

『ヤァ~待ったかい?』

その人?はなにやら物を沢山持って現れたのだ。どうやら2人へのお土産のようで、2人に自慢げに見せびらかす。
現れた人?はなんとこの世界の神様。

『いやぁ~いいな。君らいいお酒飲んでたね。狡いよ!』

神様は2人纏う不穏な空気も気にする事なくおちゃらけた感じで話をする。
そんな神様にムキじぃーちゃんとドラしゃんはそれぞれ文句を言う。

「おい!この一家は何だ?!アレはやばいぞ!」

『どうするおつもりですか?このままでは、この範囲から外に出す事は難しいですよ?!今後はどのように考えているのです?!』

神様は自分に対して怒りを露わにする2人を宥めながら先程まで豪華な食事が並んでいたテーブルの方へ向かって行く。

『もう~せっかちだなぁ~。立ち話もなんだから座ろうよぉ~。お土産も持ってきたんだから。ドラしゃんコップ用意して!』

超が付くほどマイペースに過ごす神様に2人の血管は切れそうになっていたが、2階には私達が寝ているためグッと堪えた。

ドラしゃんとムキじぃーちゃんはあきらめて神様が待つ方へ行きそれぞれ椅子に腰を掛ける。

ドラしゃん達が椅子に腰をかけたのを確認すると同時に神様はお土産をテーブルの上に広げだした。
その姿を見てドラしゃんは溜息をつきながらも魔法で先程片付けたばかりの食器達を食器棚から各々の前に並べていく。

ドラしゃんが用意してくれた食器に神様はお酒やらおつまみを入れムキじぃーちゃん達に渡す。
そして3人で乾杯をしてお酒とおつまみをつまんでいく。

神様のお土産はドラしゃんも好きな宝葡酒とめったとお目にかけない一級品のおつまみ。
どれも好きな物で好みの味なのだが...ドラしゃんもムキじぃーちゃんも顔が少しだけくもる。

好きな酒で確かに美味しいのだが...コレを飲む前にお父さん達と飲んだお酒の方が甘露に感じていたのでこのお酒の味は少し味が霞んで感じたようだ。

(なんでムキじぃーちゃんも飲めるって?それはね...神様が特別に飲めるようにしてるからなんだって)

ドラしゃんとムキじぃーちゃんは少し物足りなさを感じつつもせっかく用意された物なので文句も言わずに飲んで食べていくのだが...そんな2人の様子に気付いた神様は少しずつ子供のように不貞腐れていく。

『何だよぅ~2人ともぉ~...酷いなぁ~。せっかく2人のことを思って選んで持って来たのにぃ~。』

いい大人が唇をどからせてぶつぶつ苦情を言う。そんな神様の姿にムキじぃーちゃんは苦笑いを浮かべながらお酒の入ったコップを見ながら

「不味くはねんだ。相変わらずうめぇ~よ。だけどな...さっきの酒の方がなぁー。」

と呟く。
そんなムキじぃーちゃんの言葉に同意するかのようにドラしゃんもお酒の入ったコップを傾けながら

『えぇ、私も同感です。お酒の質的にはこちらの方が上です。しかし...お酒の質の問題じゃないんですよね。先程のお酒に比べたら何か足りない気がするんです...。』

2人の呟きに神様はますます唇を尖らせていく。
その姿は可愛いとは思えず2人は呆れた視線を神様に向ける。

お父さん達と飲んだお酒は庶民向けの安酒の部類に入るものなので、お酒の価値的には神様のお土産の方が上物と呼ばれる部類になる。
しかし、あのお酒は上物のお酒に勝る味がしたので2人は物足りなさを感じていたのだった。

そんな2人の反応に神様は不貞腐れながらも嬉しそうな表情を滲ませる。

『良かったよ。君らがあの一家と仲良くなってくれて。あの家族は私にとってもこの世界にとっても特別な存在だからね。』

その神様の言葉にドラしゃんとムキじぃーちゃんは自分達が抱えていた気持ちを思い出す。

「あっ!もう少しで、 はぐらかされるとこだったぜぇー!オイ!あの一家は何なんだ?ありえねぇーだろう?!」

『そうです。親御さんはともかく子供であるお二人はこの世界でも規格外の部類に入るんじゃないですか?』

ムキじぃーちゃんとドラしゃんは神様に苦情を申し出る。
あまりにも規格外な面が多すぎるからそう言われるだろうと予測は立てていたので、神様はお酒を飲みながら私達家族について2人に語り出す。

『これから君達にはあの一家を護って尚且つ導いて貰わないといかないから正直に話すけど...今から話することはあの一家には当分内緒だからね。』

神様はドラしゃんとムキじぃーちゃんに念押しを忘れない。
2人は真剣な顔つきで頷きながら神様の次の言葉を待つ。
神様は2人の姿を確認して話の続きを話しだす。

『あの一家はね...この世界にとってこれからとても重要な役割を担ってくれる存在となっていくんだ。
今はか弱い存在だけど成長の伸びしろは底知れないよ。しかも...大事な役割をひっそりと与えてあるんだぁ~。
1番重要な役割があるのは末っ子のリンだけどね。
でも...子供が変に目立つとアレだと思ってね色々悩んだ結果...家族皆んなに与えれるだけ色々な能力をプレゼントしちゃった。
両親が規格外な存在だったらその子供達が多少規格外な存在でもあまり悪目立ちはしないだろう?私って天才なんだろう?』

最初は真剣な表情をして話をしていたのに直ぐにちゃらけた感じで話出した。
そんな神様にたいして...ピキっと静かに何かがキレる音がしたが...。
神様は気にする事なく話を進める。

『だからね、今はまだまだぴよぴよさんの存在だけど、あの両親にも規格外の能力を与えてあるから下手しら昔いた"勇者"並になるかもねぇ~。
しかしあそこまで伸びしろがあり、成長が速いとは...私も予想外だよ。アレは、"天性の才"...だね。いやぁ~楽しみだね。』

自慢する様に語る神様に対してドラしゃんとムキじぃーちゃんはふつふつと怒りを沸かしていく。

『君らに最初に話していた通り、あの一家にはこの世界で楽しく過ごしてもらうのは変わらないよ。
なに不自由なくね...。彼らには悲しい顔より笑った顔の方が似合うからね。
そして、この世界で過ごしながら彼らにこの世界に新たな刺激を与えてもらう。
ムキファーがこの世界に来る事によって冒険者の質が上がったようにね。
彼らには彼らにしかできない良さがあるからそれをこの世界に循環して頂けたらいいかなぁーと思ってるんだ。』

昔...ムキじぃーちゃんがこの世界に来た事により冒険者の質がかなり向上したし、組織としての仕組みが数段良くなったのだ。
別にムキじぃーちゃんが特別何かした訳ではないのだが...変革をもたらしているのだ。

その効果的なものはムキじぃーちゃんだけではなかった。
これまでに異世界から来た人達はなんらかの形で、この世界にいい影響を与えている。
食文化だったり、生活習慣だったり色々とね。

『一応これからの予定の話をするよ。
 ユウダイにはこの世界の建築物、農業系に新しい風を入れてもらう予定だ。
彼は前の世界で建築系の仕事をしていたみたいだからかなりいい刺激になるはずだよ。

そして、産まれが農家なんだって。しかもユウダイ自身が趣味で"家庭菜園"っていうのを家で作ってたみたいなんだ。』

そう言って神様は日本での私達の生活姿を空間に映し出しドラしゃん達に見せる。
それは神様が日本で生前私達の生活姿を記録したものだった。

家の庭で土いじりをしているお父さんの姿が写し出されていた。
この世界の住人の服とは違った服装をしたお父さんが何らかの植物の苗を植えている姿が。
その姿をみて2人は目を細めながら微笑む。

『次に...ユイカには女性の衣服や小物系に新しい風を入れてもらう予定なんだ。
彼女の作り出す小物や女性向けの装飾品は素晴らしいものだよ!
この世界にも女性は多い。きっと人気者になるよ。それに、この国の新しい目玉商品を編み出したくれそうだしね。

 アキラは今後もリンの側にいてリンを守って貰わないと行けないからね。騎士か冒険者になってもらう予定だけど...こればかりは無理意地ができない。
でも...その道を選んでくれることを願うばかりだね。

 最後にリンだね。リンこの世界で唯一の癒しの存在になるね。
彼女にはこのまま純粋に大きくなって貰えたらとおもっている。
彼女の力は滅んだモノも蘇らす事も可能だ。これは...色んな意味で目立ってしまうから大変だと思う。
そして...後々この世界の神になってもらう予定だ。
それは、あくまでも彼女が亡くなった後々話だから安心してくれたまえ。
その為に、多めに能力も加護も与えてあるんだから。』

神様は淡々と話をするがドラしゃんもムキじぃーちゃんもまさかここまでとは思っていなかったようで驚きを隠せなかった。
そんな2人を尻目に神様はまだ言葉を続ける。

『あと最近魔物が一部凶暴化しているのは知っているよね?』

ムキじぃーちゃんは元SS冒険者の為魔物関係の事は耳に入ってくるから知ってはいたからその言葉には驚かなかった。

ドラしゃんはこの一家を護る為に日々結界を張り巡らせているからなんとなく気づいていた。
時々だがドラしゃんの張った結界に悪さをする魔物がいたからね。
そのためドラしゃんは私達家族を自分の結界を張ってある範囲からけして出さなかったのだ。

『魔物の凶暴化についてはある程度予測は付いていた。彼等がこの世界に不在のせいだ。
魔物の凶暴化が出だしたのは彼等が姿を消した頃だからね。
彼等が居なくなってからなんとか私と他の神々でどうにか均衡を保って来たが...それも限界がきつつある。』

神様の言葉に2人は眉を顰めた。

『神と言っても万能ではないだよ?
だからあの一家をこの世界に呼ぶ事にしたんだからね。それに【彼等】はきちんと応えてくれたみたいだ。
でも、まだ幼いあの2人には厳しいものがあるかもしれない。だからもう少し2人には頑張ってもらうよ。』

神様がいう【彼等】とはこの家の2階の例の扉の中に眠っているモノの事を示していた。
初日...私が何かに呼ばれた扉の中には特別なモノが眠っていたそれのことだ。

「しかしよ、俺ら2人だけでは無理がるぞ?もう2~3人協力者が居ないとなぁー。」

『そうですね。御両親だけでも私達の手が余る部分があります。
もう数名強力な後ろ盾になる様な人物が必要です。それと生活面でも色々サポートする身近な人が必要です。
そうでなくても本日お嬢様達はとんでも無い事をしでかしたんですから。』

ムキじぃーちゃんとドラしゃんは神様に今日私達がした事を伝えた。
すると神様は腹を抱えて笑い出す。

そんな神様の姿を見て2人は笑い事では無いと怒ったが...

『流石だねリンとアキラは特別な子供だからね。どうせ君達は幼いからと言って何も教えてないんだろう?』

神様の言葉は図星だったので愚の根もでなかった。
ドラしゃんは私達兄妹には何も教えていない。
それは特に私が幼いから魔力の暴走を懸念していたからだった。

『大丈夫だよ。2人は特別なんだから安心して教えてあげて。
リンは特に魔法を中心にアキラには剣を中心に頼むよ。』

神様はドラしゃんとムキじぃーちゃんに私達に魔法と剣を教える様に伝える。

 できたらもう少し私が大きくなってから教えたかったらしいが、状況が状況だけに少しでも早い方がいいと言う神様の言葉は一理あった。
その為、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは渋々分かったと返事をする。

『あと、彼がそろそろ君の家に来る頃だろ?ムキじぃーちゃん?』

神様はムキじぃーちゃんに向かって言うとムキじぃーちゃんは少し考えるとあっ!と何かを思い出す。

「そろそろあいつの来る時期か!しかしワシこっちにおるぞ?」

ムキじぃーちゃんが神様に言うと

『そんな事だと思って手は既に打ってますよ。明日ここに来る様伝えてあります。』

神様は呆れ顔でムキじぃーちゃんに告げた。
ムキじぃーちゃんは神様の言葉を聞いてすまんのうと苦笑い浮かべる。

『あと、さっきドラしゃんの言った案は採用するよ。何人か心当たりがあるから明日にでも声を掛けておくよ。
近々この辺りも賑やかになるかもね?
いっその事ここを中心に新しい国でも作ってみるかい?なーんてねぇ。ははっ。』

神様は笑顔で2人に語ったのだが...ムキじぃーちゃんとドラしゃんは既に嫌な予感しかなかった。

私達一家の事を伝え終えたので気を取り直して3人は色々話をしながら残りのお酒を楽しんでいった。

話題の中心はどうしても私達家族の話になるのだが、ドラしゃんとムキじぃーちゃんから話を聞きながら神様は今後自分が頼みに行く人を選別していく。

どれだけ時間が経ったのだろうか...。だいぶ持ってきたお酒が少なくなりおつまみも空になっていた。

もうそろそろお開きにしようかとしていたら3人は人の気配を感じた。
気配のする方を慌てて見つめるとそこにはパンダの着ぐるみパジャマを着た私と1人の女性の影が立っていたのだった。

ドラしゃんとムキじぃーちゃんは私の姿を見て悶絶しつつも女性の影に警戒をした。
神様は静かに状況を見守る。

『可愛い子が起きていたので連れてきやった。感謝しろ。大事にしておくれ。』

女性の影はそう3人に伝えると私をその場に残して静かに消えた。

残された私は眠い目を擦りながらドラしゃん達の方へ歩いていく。
私は1番近くに居た神様の元に行き服を引っ張った。

「あんね、わたしね、やくそくしたの。」

私の言葉に3人は静かに聞き耳をたてていた。

「なかま...ふやすの。でね、いろいろみんなでたのしむの。」

そう言うと神様の足にもたれかかって眠ってしまった。

神様は足にもたれかかって眠った私を抱きかかえると、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは私を抱く神様の側によって来て神様に質問する。

「今の影の女はなんだ?」

『もしかして、アレは...。』

神様は自分の腕の中で寝る私を見つめながら答えた。

『本当に好かれるね。アレは【彼等】の1人だよ。敵意はない。純粋にリンに会いに来たんだろう。』

神様は少し困った顔をしていた。
その神様の言葉と表情にドラしゃんとムキじぃーちゃんは益々嫌な予感しか感じなかった。

この家には世界最強のドラゴンであるドラしゃんの結界が張り巡らされている。
ドラしゃんの結界を抜けて来れるのはドラしゃんが許可したものか、自分と同じぐらいの位のもの又は力が同等のものかそれ以上でないと無理なのだ。

『最近...嫌な予感ばかりしか感じないですね。これは私も少し鍛え直さないといけないかも知れませんね。』

ドラしゃんはそう呟くと神様から私を奪い取り自分の腕の中に抱き抱えた。

ムキじぃーちゃんと神様はずるい!っと怒ってドラしゃんから私を取り返そうとしたのだが無駄な行動だった。
しばらく3人は、誰が私を抱っこするかでしばらく揉めていたが、私は深い眠りの中に入っていたのでまったく気にならなかった。















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