異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、追われる 船券争奪編

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前回までのあらすじ
海の向こうの大陸に渡るための船のチケットを運(?)よく手に入れた親父たち。
しかし、新たな災いが親父たちを待っていた。

 親父たちは港に向かって走っていた。
 なぜか?
「予想していたとはいえ、この数多すぎだろう!」
「肯定であります!」
「しかし、教授に負けた奴らはともかく、それ以外の奴らもわしらを追ってくるんだ!」
「もてる男はつらいね!」
「教授!動かすのは口ではなく足でござる!」
 親父たちは若者集団に追われていたからだ。
「「「「「チケット返せ!」」」」」
「チケットよこせ!」
「若者にチャンスをゆずれ~!」
 昨日、教授に負けたイカサマ五人組だけではなく、酒場で盗み聞きしていた若者たちも親父たちの持つ船のチケットを奪おうとする強盗集団と化していた。
「金も無エ!」
「仕事も無エ!」
「「ゲートとは何者だ?」」
「「「俺らこんな国いやだ~俺らこんな国いやだ~!」」」
「「「「外国にいくだー!外国へ行ったなら、金貯めてビックになるだ~!」」」」
 最後の方はミュージカルのごとく暴走集団は息が合っていた。
「なんか吉幾○の歌みたいになっているぞ!」
「どんだけ不景気なんだ!この国は……」
「うむ、この国の過疎化は日本の比ではないようだね!」
「肯定であります!」
「納得してないで走るでござる!」
 親父たちは路地裏に逃げ込む。
 親父たちの足も速かったが、若者たちの足も速かった。
 このままでは親父たちは若者たちに袋叩きあい、船のチケットを奪われるのは目に見えていたが、思わぬ助っ人が現れた。
「ボーリング・ストライク!」
 路地裏の十字部分で若者集団は突然横から巨大な球体の攻撃を受けた。
 集団の中間にいた若者たちはボーリングのピンのごとくはじけ飛んだ。
「人の獲物を横取りするな!」
「そいつらはわしらの獲物だ!」
 若者たちの前方に全身黒ずくめのブラックパイソン伯爵と鷹のような鋭い眼をしたホーク将軍。
「貴様ら全員ハンキングツリー(吊るし首の木)に縛ってやる!」
「…………」
 さらに後方に元保安官のウォーギャレットとリーダーのデストロイがいた。
 親父たちを逆恨みする集団「スペクター・リベンジャーズ」の登場だった。
「あいつらは、この間の……」
「クレーマー集団だ!」
「うむ、よくわからないが、我々は彼らに助けてもらったらしいな!」
「それよりも港に向かうでござる!」
「肯定であります!」
 こうして親父たちは船というゴールに向かって走るのだった。
 だが、この事が原因でこの町で大規模な混乱に発展するということをこの時予測した者は誰もいなかった。
 後に船券紛争と呼ばれる争いの始まりであった。

※俺ら東京さ行ぐだ
歌手・吉幾三が1984年(昭和59年)11月25日に発表した楽曲。
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