異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、稼ぐ

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前回までのあらすじ。
この世界の真実に近づいた親父たちであったが、ひとまず海の向こうの大陸に行くために船賃を稼ぐことを優先して、今日も仕事をする。

 ブドウ、教授、影の三人は身を隠して獲物が罠にかかるのを待っていた。
 獲物の名は金持ちの猫またの名を迷い猫。
 迷い猫を飼い主の元に届ける依頼の最中だった。
「こんな古典的な罠でひっかかるのか?」
「うむ、心配いらないよ。私が錬金術を応用して作った罠だ!見た目はスズメを罠にかけるような形をしているが、猫を捕らえることができるよ」
「心配いらないでござる。さっき試した時に罠にかかったでござるから」
「影がかかったの!」
「ブドウくん!静かに」
 ブドウのツッコミを容赦なく突っ込む教授。
 なぜ隠密行動に適さないメンバーで構成されいるのか、その理由は今現在、村正と軍曹が受けている依頼に適さなかったからである。
 今、村正と軍曹は超高層ビルの窓ふきをしている。
 教授は体力的に無理で、ブドウは高所恐怖症の為に、この捕獲メンバーになった。
 この後、数時間。
 迷い猫は罠にかからず、仕方なく力技で捕獲を試み、その場にいた人もしくは住民達に多大な迷惑をかけて、やっと迷い猫を捕獲。
 無事(?)飼い主の元に届けたのだったが、飼い主によって別の猫であることが判明し、ブドウ、教授、影がその場で倒れたのは言うまでもなかった。
 そして、もう一方の村正アンド軍曹ペアの方は、どうなっているのかと言うと。 
「寝るなであります!寝たら死ぬであります!」
「…………うぅぅぅ…………」
 超高層ビルの窓ふきをしていたのだが、ゴンドラが高い位置で動かなくなってしまったせいで、凍死寸前になっていた。

 その日の夜のとある酒場。
 教授を除く親父たちはテーブルでぐったりしていた。
「し、死ぬかと思った!」
「肯定であります!」
「文字通り、骨折り損のくたびれ儲けだったな!」
「あ、そういえば教授はどこでござるか?」
「教授なら、さっき声をかけてきた連中とカードゲームをしている」
「それはトランプのことでありますか?」
「わしが見た限り絵柄は違っていたぞ」
「カモにされていると思うでござる」
「「「はーーー」」」
 重い溜息を吐く親父たちとはよそに教授はニコニコ顔で戻ってきた。
「諸君どうしたのかね?まるで呪いでもかけられたかのように顔が悪いよ!」
「「「「それを言うなら顔色だ(でござる)!!!!」」」」
「しかし心配するな諸君!私がいい薬を持っている!」
 親父たちのツッコミを教授は華麗にスルーして、懐から紙を取り出した。
「船のチケットを手に入れたよ!」
 親父たちの目がテーブルの上に置かれた五枚のチケットに注目する。
「見たところ本物のようでありますが?」
「偽物じゃないのか?」
「鑑定したところ本物でござる!」
「教授!コレどうやって手に入れたんだ?」
 半分パニック状態になっている親父たちの質問をよそに教授はパイプに火を点けた。
「先ほどカードゲームの勝利者としてもらった物だよ!」
「カモにされたんじゃないのか?」
「カモにしたよ!」
「イカサマはされなかったんでありますか?」
「イカサマはされたよ!」
「すごい強運でござる!」
「運じゃないよ!」
「どう言う意味だ?教授!」
「単純にイカサマ仕掛けた連中に不協和音を響かせただけさ!」
「それって、イカサマしたってことか?」
「さあ、どうだろうね?」
 教授はとぼけた口調で言ったが、親父たちは「イカサマしたな!」と心で思った。
 そんな親父たちの会話を盗み聞きしている者たちがいたが、親父たちは気づかなかった。
 そして、この船のチケットを手に入れたことにより親父たちは、この大陸での最大のトラブルを起こすのだった。
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