あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

けいこ

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突然の対面に胸を熱くして

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その瞬間、はしゃぐ雪都の手からヨーヨーがスルッと滑り落ちた。


『はい、どうぞ』


『ありがとう』


大きな手から小さな手へ…


優しくそっと差し出すその手は…慶都さんのものだった。


『君、雪都君?』


数秒、微笑みを浮かべ見つめてからの問いかけに、


『うん。そうだよ』


雪都は元気に答えた。


『そっか、良い名前だ。雪都君は元気でいい子だね』


そう言われて嬉しそうにニコッと笑う雪都。


初めての2人のやり取り。


膝まづいて雪都を見る慶都さんの目は、穏やかで優しく、我が子を見守る父親の顔になっていた。


その光景を見ていたら、私…


思わず目頭が熱くなって、涙が溢れそうになるのを必死に我慢した。


一生この2人が対面することはないと思ってた…


私が父親役も頑張ろうって、慶都さんに会えるなんていう希望は持たないようにしようって、ずっと自分の中に想いを閉じ込めて鍵をかけてきたのに。


なのに、こんな風に家族がひとつの空間に揃うなんて…


どうしようもないくらい胸を揺さぶられてしまった。


『慶都おじさん、あっちでボーリングしようよ』


そう言って、真斗君が慶都さんを呼びにきた。


『ああ、真斗、ごめんな。すぐに行くから』


『うん、先に行ってるから来てね』


『わかった』


慶都さんは、真斗君の頭を撫でた。


そして、また雪都に振り返って、


『じゃあね、雪都君。ママを大切にするんだよ、また…必ず会おう』


『うん、またね』


笑顔で手を振り合う2人、とても良く似た2人。


そんな2人を見てたら「雪都、この人があなたのパパだよ」って…


思わず話してしまいたくなった。


『彩葉先生』


『え?あっ、理久先生』


『大丈夫ですか?何かありましたか?目が赤いです』


やっぱり理久先生にはすぐに気づかれてしまう。


『さっきから目がかゆくて。ホコリが目に入ったかな?』


変なごまかし方だ。
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