あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

けいこ

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可愛い子どもを守る母の思い

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その子を出来るだけ普通の環境で産み、育てたいと、私は家を出てマンションの小さな部屋を借り生活を始めた。


妊婦の間、もちろん大変なこともあったけど、どんな時も強い気持ちだけは失わなかった。


出産前は周りにもお世話になり、なんとか無事に元気な赤ちゃんを産むことが出来た。


自然分娩、陣痛のつらさ、出産の痛み、初めての経験に驚きながら、それでもようやく我が子に会えた瞬間は、感動で涙が止まらなかった。


嬉しくて嬉しくて…


幸せで幸せで。


可愛い息子をこの手に抱いた時、九条さんへの感謝がとめどなく溢れた。


こんなに小さな体で一生懸命泣いて…


私は、九条さんがくれた、この大切な宝物を絶対に守り抜くと改めて心に誓った。


「九条さん、私、ママになりました。あなたのおかげです」


心の奥でつぶやいた思いは、遠い空の向こうのパパに、ちゃんと届いたかな…


出産を無事に終え、しばらくして私は保育士として働くべく保育園を探した。


マンションの近くにある小規模保育園に事情を話すと、特別に我が子も入園させてくれることになり、今はすぐ側で見守ることが出来ている。


この状況には本当に感謝してる。


『ママ~』


『お腹空いたの?』


私に駆け寄り可愛く言ったのは、一堂 雪都(いちどう ゆきと)2歳。


今日は保育園はお休み、2人きりで過ごす公園。


広い原っぱにレジャーシートを敷いて座った。


『お弁当食べようか』


『うん』


『雪都の好きなタコさんウインナー、玉子焼きに、ママ手作りの美味しいミートボールだよ』


『わ~い!ミートボール大好き』


元気よく答える雪都は、本当にあの人によく似てる。


美しい顔立ちをそのまま可愛らしくしたような…


この子のパパは紛れもなく「北条 慶都」さんなんだ。
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