あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

けいこ

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可愛い子どもを守る母の思い

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それから数日経っても、私の心の中は揺れていた。


あの人が九条さんだと、わかってはいる。


だけど、それを素直に受け入れられない自分がいて。


気持ちがフラフラして宙に浮いたような不思議な感覚の数日間。


だけど、しっかりしなきゃいけない。


だって私は…


幼子を抱える1人の母親なんだから。


九条さんとのあの一夜から、私の人生は大きく変わった。


愛する人に抱かれ、それでもあの人の未来を思い、家族を裏切った自分を罰するために、私はとても悲しい選択をした。


まもなくして自分の体調の変化に気づき、まさかと思ったけど、病院で九条さんの子どもを身ごもったことを告げられた。


とても驚いたし、信じられない気持ちでいっぱいだった。


嬉しい気持ちと不安が入り交じる毎日、決断出来ない情けない自分。


もちろん海外にいる九条さんには絶対に言えないし、私はどんどん焦燥感に苛まれていった。


それでも、何度も何度も考えた。


一生懸命どうすればいいのか想像した。


この子は父親の存在を知らず、父親に頼りたくても頼れないんだよ。


そんな可哀想な思いをさせていいの?


母親と2人だけの未来を思い描くけど、それが子どもにとって幸せなのかどうか、今の私にはわからなかった。


まだ膨らんでいないお腹を何度もさすりながら、産もうかどうしようか…悶々と悩み続けた。


でも…


未来だけじゃなく今の現実を思えば、私が愛した人の子どもをこの手に抱きしめたい、会いたい、そんな思いが日に日に強くなってきた。


そして、いつしかその思いが自分の弱い心をつき動かし、


「この子は私が絶対に立派に育てる。私が父親の分まで頑張ればいい」


そう決心することが出来た。


それからは、驚くほど気持ちも前向きになり、すぐに両親にも話した。
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