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第4章
1 年齢差⑤
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「あと、私、嫌われてもいいつもりだったから、あんまりその子の気持ちを汲みすぎないように、できるだけ傍若無人に振る舞ってきたけど、普通に受け入れられた」
「おお、最高じゃん。そんなに楽につき合えるなら、年下とはいえ合ってるんじゃないのかなとは思うけどねぇ」
「うん、友人としては本当に気が合うのよ」
「いやでも、こうやって私に相談してくる時点で、もう恋愛相手として考えてるってことじゃない?」
言われてドキッとした。
「そ、そうなのか……なぁ……」
「でしょ。対象外なら相談してこないし」
「で、でも相手が何年も好きでいてくれて、その上で二人で会ってたら、この関係をどうしたものか悩むのが普通じゃないかな!?」
「そういう関係にした時点で今さらでしょ。で、結局つき合えない理由は、相手が年下イケメンで外見が釣り合わなくて恥ずかしいからってこと?」
「それだけじゃないよ、ただ、外見については、自分が恥ずかしいのもあるけど、そのうち幻滅されるんだろうなっていう不安もある。だってこれから、衰える一方なんだよ。亮弥くんが私に外見的なものも期待している以上、必ずそれに応えられなくなる時が来る」
「じゃあそれまでつき合ってあげれば?」
「え?」
「最後の恋ということで。あんたがギリ綺麗と思ってもらえる時を、そのりょうやくんと過ごしてあげればいいじゃん。それだけ好きでいてくれるんだから、お互いの思い出づくりのつもりで」
「なるほど……」
思いがけない意見だったけど、私は妙に納得してしまった。
たしかに、綺麗と思ってもらえるのは今が最後だろう。
だとしたら、その時を最後まで楽しんだほうがいいのかもしれない。
というか、待てよ。
「それって今の関係性が恋愛関係に変わるだけじゃん。結局亮弥くんが冷めるのを待つってことじゃん。それなら今のままのほうが、冷めた後も友人でいられるかも……」
「甘い。りょうやが冷めたら友人関係も終わりに決まってるじゃん。向こうはあんたが好きだから会ってるんだからね。いいじゃん、これがもう人生で最後と思ってつき合えば。あんた、人生最後につき合ったのがあのしょーもないバー男でいいの!? 熱心に想ってくれるりょうやに更新してもらったほうが絶対いいって。老後に安心できるって」
「老後って。まぁでも、たしかに……」
「ていうかあれだけ節操なしに恋愛してたくせに、今さら慎重になってるのウケる」
「そりゃ、未来ある若者が相手だと思うと慎重にもなるよ。私は人間不信だし冷めきってるし、亮弥くんの気持ちに充分応えられないかもしれない。それにもし万が一上手くいったとしたら、子供とか別の問題も出てくるし、同世代の子とつき合うほうがあの子にとって絶対良いに決まってるもん。外見よりそっちの方が問題……」
その時ふと、父の顔が頭をよぎった。
「……万一うまくいっても、お父さんになんて言われるか……」
自分の娘がいい年して十二も年下の男の子とつき合ってるなんて知ったら、父はどう思うだろう。
そう考えた途端、自分の中でかかっていたブレーキが、さらに強く踏み込まれるのを感じた。
「おお、最高じゃん。そんなに楽につき合えるなら、年下とはいえ合ってるんじゃないのかなとは思うけどねぇ」
「うん、友人としては本当に気が合うのよ」
「いやでも、こうやって私に相談してくる時点で、もう恋愛相手として考えてるってことじゃない?」
言われてドキッとした。
「そ、そうなのか……なぁ……」
「でしょ。対象外なら相談してこないし」
「で、でも相手が何年も好きでいてくれて、その上で二人で会ってたら、この関係をどうしたものか悩むのが普通じゃないかな!?」
「そういう関係にした時点で今さらでしょ。で、結局つき合えない理由は、相手が年下イケメンで外見が釣り合わなくて恥ずかしいからってこと?」
「それだけじゃないよ、ただ、外見については、自分が恥ずかしいのもあるけど、そのうち幻滅されるんだろうなっていう不安もある。だってこれから、衰える一方なんだよ。亮弥くんが私に外見的なものも期待している以上、必ずそれに応えられなくなる時が来る」
「じゃあそれまでつき合ってあげれば?」
「え?」
「最後の恋ということで。あんたがギリ綺麗と思ってもらえる時を、そのりょうやくんと過ごしてあげればいいじゃん。それだけ好きでいてくれるんだから、お互いの思い出づくりのつもりで」
「なるほど……」
思いがけない意見だったけど、私は妙に納得してしまった。
たしかに、綺麗と思ってもらえるのは今が最後だろう。
だとしたら、その時を最後まで楽しんだほうがいいのかもしれない。
というか、待てよ。
「それって今の関係性が恋愛関係に変わるだけじゃん。結局亮弥くんが冷めるのを待つってことじゃん。それなら今のままのほうが、冷めた後も友人でいられるかも……」
「甘い。りょうやが冷めたら友人関係も終わりに決まってるじゃん。向こうはあんたが好きだから会ってるんだからね。いいじゃん、これがもう人生で最後と思ってつき合えば。あんた、人生最後につき合ったのがあのしょーもないバー男でいいの!? 熱心に想ってくれるりょうやに更新してもらったほうが絶対いいって。老後に安心できるって」
「老後って。まぁでも、たしかに……」
「ていうかあれだけ節操なしに恋愛してたくせに、今さら慎重になってるのウケる」
「そりゃ、未来ある若者が相手だと思うと慎重にもなるよ。私は人間不信だし冷めきってるし、亮弥くんの気持ちに充分応えられないかもしれない。それにもし万が一上手くいったとしたら、子供とか別の問題も出てくるし、同世代の子とつき合うほうがあの子にとって絶対良いに決まってるもん。外見よりそっちの方が問題……」
その時ふと、父の顔が頭をよぎった。
「……万一うまくいっても、お父さんになんて言われるか……」
自分の娘がいい年して十二も年下の男の子とつき合ってるなんて知ったら、父はどう思うだろう。
そう考えた途端、自分の中でかかっていたブレーキが、さらに強く踏み込まれるのを感じた。
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