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2章
42話 精霊使いの研究者
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「でっか!!」
ヒアラとキュアーの前に現れた巨大樹は重厚感増し増しな感じでオーラを放っていた
「これは精霊も集まりますわ…」
巨大な木とはいえ、今見ている幹はまだ地面の中なので、地上に伸びているのはもっととてつもない大きさなのだろう
しばらく2人が見上げているとクナイがドアを開けて案内してくれた
「こっちです!中に研究者の皆さんがいますので案内します!」
入ってみると、やはり中も広かった。が、少し思ってたのと違った部分もあった。入口こそ木の幹をくり抜いていたが、中は空間を広げるために幹を貫通して奥の地面まで掘っていたのだ
「なるほど、幹だけじゃ空間も足りないよね、そりゃそうだ」
クナイに案内され研究所の奥の方へ入ると広い空間に出た
洞窟の中というより地下室という形で、壁面も金属壁になっておりしっかりとした研究所だった。様々な機械が並ぶ中、部屋の真ん中辺りに5人の獣人が立っていた
「ラッドさん!ヒアラさんとキュアーさんをお連れしましたよ!」
ラッドと呼ばれた研究員は目を合わせるなりにこやかな笑顔で握手を求めてきた
「これはこれは!お待ちしておりました。ヒアラさんとキュアーさんの事は森川さんから聞いていますよ!とてもお強くまだ未知数の力を秘めているとか…是非、私達の研究で解明させて頂きたいと思います。私はこの研究所の所長のラッドと申します。よろしくお願いします!」
狼?みたいなグレーの毛並みにピンと立った耳、それでいて人肌は綺麗なおじ様な感じだった。身長高めでガタイも結構いい。
「同じ研究員の仲間を紹介しますね。右からリード、リナ、サイミです。皆んな、天啓やこの世の事象について長く研究しているベテランなんですよ」
リードさんは少しおちゃめな感じの女性でリナさんは大人の女性的な雰囲気がある。サイミさんはなんだか怪しげな雰囲気を纏っており、どんな研究をしてる人なのか非常に気になった
「ヒアラさんとキュアーさんは基本的にリナが担当させてもらいます。彼女は獣人でありながら精霊の天啓を得ており、この世に存在するほとんどの精霊の種別を把握しているのですよ」
「よろしくお願いしますにゃ~」
にゃ~!?落ち着いた大人の雰囲気からの語尾がにゃ~!?これは…これがギャップ萌えというやつ!?
ふと横に目をやるとキュアーも驚きながら目をキラつかせていた
「それでは早速お2人はリナと共に研究室へ行ってもらいます。我々も何かあればサポートしますが、基本は別の業務を行っているためなるべくリナの方へお願いします」
「分かりました。ありがとうございます!」
ラッドさん含め皆さんとても優しそうな雰囲気ですごい清潔感のある研究所はとても居心地のいい空間だった
その後リナさんに案内されて2人は広い個室に案内された
「ここが私の研究室ですにゃ~」
中の天井は高く、色々な人を検査するようなカプセル?みたいな機械がある。それと東京の対策本部にあったシミュレーション室のような広い部屋もあった
「広い!それに機械がたくさんですごいですね!」
「ふふ、この部屋が研究所全体の中でも1番機械が多いのにゃ」
「そうなんだ~!すごいねヒアラ!…でもこんなに広いお部屋だと掃除とか管理とか大変じゃないの?」
「1人だともちろん大変だと思うにゃ~。でも私にはこの子達がいるから大丈夫にゃ」
そういうとリナは空気中にそっと手を添える。するとさっきまで何も無かった空間になにかが可視化し始めた
「…お!?」
それは小さなふわふわとした妖精?のようなものだった
「可愛いー!リナさん、この子なんですか?妖精?」
「いや、これは精霊だにゃ。結構精霊の中では一般的な形の子なんだけど…知らないのにゃ?」
「え?えぇ…すみません私はてっきりキュアーのようなのが一般的な形だと思ってたので世間にも紛れてるのかなと思ってました…」
「私もほかの精霊とか見た事ないから初めて見たよ!別種なんだろうねぇ…?」
リナはふわふわした精霊を周りに何体も出すとお部屋の至る所に飛ばしてお掃除をさせ始めた
「私は精霊の天啓を持ってるから精霊を呼び出し、精霊の声を聞き、精霊に声を届ける事が出来るのにゃ。精霊は幽霊や妖怪達と違って世の中に出回らないからこの世に私以上に詳しい人なんて居ないのにゃ。世間一派では精霊の存在なんてむしろ伝説くらいに思われてるのにゃ」
そういえばキュアーに対する日本の人たちの反応も信じてくれる人が少なかったのはそういうことだったのかな…?アニメや漫画でイメージしてるふわふわ精霊と違うからってことなのかと思ってた。
でも実際そのみんなも私自身もそのふわふわな精霊なんて見た事なかったからキュアーがリアルだと思って最終的には受け入れてたんだよね
その点森川室長はリナさんの存在を知ってたからあまり驚かずに紹介してくれたのかもしれない。確かに精霊と自称する謎のキュアーは研究したくなるよねぇ
「じゃあ2週間もある事だし2人にはゆっくり教えていくにゃ。まずは精霊について」
リナは精霊を呼び出してホワイトボードを持ってこさせるとペンで色々と解説を書き始めた
「まず精霊の種類だけど、精霊には下位、中位、上位の3種類がいるにゃ。ここが精霊使い達が使う基本的な精霊で、召喚士の魔力を使って召喚するにゃ。」
そこまで書くとリナは実際に召喚しながら教えてくれた
「さっきから沢山出してるこの子達は下位精霊にゃ。召喚の際の魔法陣とかは必要ないかわりに精霊は個人の意志を持たないにゃ。お願いしたい声を伝えることでその通りに動いてくれるんだけど何せ少ない魔力で呼び出してるからかなり簡単なお願いしか頼めないにゃ…」
リナは下位精霊をなでなでしながら少し残念そうに笑った
「さて、次に中位精霊だけど、この子も意思は持たない代わりにこの世の森羅万象により近づいたことで精霊を介して使える魔法の威力やバリエーションが増えるにゃ。召喚の方法はまだ魔法陣はいらなくて、強い意志を持って魔力を込める必要があるにゃ」
そういうとリナは両手を前に掲げて目を閉じる。しばらくするとリナの体から強い魔力が手のひらに集まるのを感じた
「はぁ!」
両手からつよい魔力が放たれるとそれは先程の下位と見た目はあまり変わらずに少し大きくなった姿で出現した
「おお~!これが中位精霊!大きくなったし、確かに精霊自身から強い魔力を感じるよ!すごいね!ヒアラ!」
「うん…すごい!」
「…ふぅ、とまぁこんな感じにゃ。結構消費魔力は多いから多くても1日に10体出せるかどうかって感じにゃね。」
10体か…なんだかんだ少ないな
「維持し続けるのにも魔力がいるんですよね…10体でも絶対大変だ」
「んー?いや、中位精霊までは出す時の魔力だけで強い攻撃とかを受けない限りは私の意思が続く限り居続けるのにゃー」
「え!そうなんですか?それは便利かも!」
「ふふ、そうなのにゃ?でも、それもこの中位まで。最後に教える上位は、やばやばだから目を離したらダメにゃよ!」
そういうとリナはシミュレーション室に入っていく。私達も後に続いて入ると、リナは地面に魔法陣を書き始めた
「本来魔法陣ってのは召喚士が自身の手で書いて何かを生み出す時に使うのにゃ。ただ、一部例外もいて…確か日本の魔術師の女の人で詠唱も無しに空間に魔法陣を生み出すデタラメな人がいた気がするにゃ…」
あ、それなんか身に覚えがあるなぁ…多分戦闘の度に豹変するあの人…
ヒアラとキュアーの脳内には笑顔のスズハが浮かんだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…くちゅん!…ふぇ?」
「大丈夫ですか?風邪?」
「いえ、大丈夫です…なんか急に誰かに噂されてる気がして…」
「あはは!なんですかそれ、よく聞きますけどそーゆーの信じてるなんて可愛いですね」
「うぅ…からかわないで下さい!」
ショッピングを楽しむノノとスズハは何も知らない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あんな人普通じゃないから、あれが皆できると思わないで欲しいのにゃ…。あの芸当は間違いなく天啓持ちの中でもあの人くらい…流石に魔導なだけはあるにゃね」
そう聞くと改めてスズハさんってすごいんだな…
そうこう話しているうちにリナは魔法陣を書き終えた
「よし、魔法陣はこんな感じにゃ。それと言ってなかったけど、これは今この線に私の魔力を注ぎながら書いたのにゃ。魔法陣が魔力を帯びてるのが分かるにゃ?」
確かに感じる。これまでの精霊とは比べ物にならないくらい強い魔力だ
「これが召喚に必要な魔力。そしたら円の中に入って目を閉じる…。すると脳内に精霊が呼びかけてくれるから出てきて欲しい精霊を見つけるのにゃ。頭の中でグッと腕を引いてあげるイメージにゃ」
そういうとリナは喋るのをやめて集中を始めた
「いたにゃ!…こい!水の精霊アクア!」
急に何かを掴んだ様子で召喚を叫ぶと魔法陣は強く輝きを放った
「うわっ!眩しい!」
少しして目を開けるとそこにはリナと宙を浮く等身大の人間のような精霊がいた
「うわぁあ!すごい!これが上位精霊!!」
「そうにゃ~、この子はアクア。上位精霊にもなると意志を持っているんだけど、アクアは最初に私が呼び出した上位精霊なのにゃ。今ではすっかり仲良しなのにゃ~?」
「うふふ、リナったらまた研究の手伝いをして欲しいのかしら?」
「いや、今日はこの2人を紹介しようと思ったのにゃ。ヒアラさんと精霊を名乗るキュアーさんにゃ。キュアーさんについてあなたの知恵を借りようと思って…」
リナは話終える前に、その異変に気づいた
「あ、あなた…何者…?」
アクアはキュアーを見てなにやらたじろいでいる様子だった
「んー?何者って言われても、自分でもよくわかってないんだよねぇ!まぁここで何か分かればと思ってるからよろしくね!アクアちゃん!」
「出てきた時直ぐに気づけなかったのは、魔力の波形が精霊とは違うから…?いや、でも確かに気づいて見れば強い魔力を感じるし…何この違和感…?」
「ねぇ~、無視しないでよ!よろしくって!」
「あっ、ごめんなさい。よろしくね、キュアーさん。」
「上位精霊は召喚している間、少しずつだけど召喚士の魔力を吸い続けるにゃ。人によっては魔力の底上げをする時の特訓としてどれだけ召喚出来るかを試す人もいるね。私もそのうちの1人にゃ~」
リナは少し疲れた様子だったがまだまだ元気そうだった
「この上位精霊は何体か出せるんですか?」
「んー、基本的には一体にゃね。でも召喚士によっては魔力量が多い人もいるから何体か出す人もいるにゃ。でも普通に魔力吸われすぎると死ぬからやめといた方がいいにゃ」
「あぁ…やっぱりそんな感じなんですね」
「じゃあ説明はこれで終わりにゃ!あとは神話級の精霊なんかも存在するみたいな話を聞いたことがあるけど、それは恐らくただの噂なので気にしなくていいにゃ」
「はい!分かりました!」
「じゃーこれから2週間!研究と、ヒアラちゃんには精霊召喚や体術なんかも修行してもらうからよろしくにゃー」
「よろしくお願いします!」
こうして私とキュアーにとって長く苦しい修行が始まった
ヒアラとキュアーの前に現れた巨大樹は重厚感増し増しな感じでオーラを放っていた
「これは精霊も集まりますわ…」
巨大な木とはいえ、今見ている幹はまだ地面の中なので、地上に伸びているのはもっととてつもない大きさなのだろう
しばらく2人が見上げているとクナイがドアを開けて案内してくれた
「こっちです!中に研究者の皆さんがいますので案内します!」
入ってみると、やはり中も広かった。が、少し思ってたのと違った部分もあった。入口こそ木の幹をくり抜いていたが、中は空間を広げるために幹を貫通して奥の地面まで掘っていたのだ
「なるほど、幹だけじゃ空間も足りないよね、そりゃそうだ」
クナイに案内され研究所の奥の方へ入ると広い空間に出た
洞窟の中というより地下室という形で、壁面も金属壁になっておりしっかりとした研究所だった。様々な機械が並ぶ中、部屋の真ん中辺りに5人の獣人が立っていた
「ラッドさん!ヒアラさんとキュアーさんをお連れしましたよ!」
ラッドと呼ばれた研究員は目を合わせるなりにこやかな笑顔で握手を求めてきた
「これはこれは!お待ちしておりました。ヒアラさんとキュアーさんの事は森川さんから聞いていますよ!とてもお強くまだ未知数の力を秘めているとか…是非、私達の研究で解明させて頂きたいと思います。私はこの研究所の所長のラッドと申します。よろしくお願いします!」
狼?みたいなグレーの毛並みにピンと立った耳、それでいて人肌は綺麗なおじ様な感じだった。身長高めでガタイも結構いい。
「同じ研究員の仲間を紹介しますね。右からリード、リナ、サイミです。皆んな、天啓やこの世の事象について長く研究しているベテランなんですよ」
リードさんは少しおちゃめな感じの女性でリナさんは大人の女性的な雰囲気がある。サイミさんはなんだか怪しげな雰囲気を纏っており、どんな研究をしてる人なのか非常に気になった
「ヒアラさんとキュアーさんは基本的にリナが担当させてもらいます。彼女は獣人でありながら精霊の天啓を得ており、この世に存在するほとんどの精霊の種別を把握しているのですよ」
「よろしくお願いしますにゃ~」
にゃ~!?落ち着いた大人の雰囲気からの語尾がにゃ~!?これは…これがギャップ萌えというやつ!?
ふと横に目をやるとキュアーも驚きながら目をキラつかせていた
「それでは早速お2人はリナと共に研究室へ行ってもらいます。我々も何かあればサポートしますが、基本は別の業務を行っているためなるべくリナの方へお願いします」
「分かりました。ありがとうございます!」
ラッドさん含め皆さんとても優しそうな雰囲気ですごい清潔感のある研究所はとても居心地のいい空間だった
その後リナさんに案内されて2人は広い個室に案内された
「ここが私の研究室ですにゃ~」
中の天井は高く、色々な人を検査するようなカプセル?みたいな機械がある。それと東京の対策本部にあったシミュレーション室のような広い部屋もあった
「広い!それに機械がたくさんですごいですね!」
「ふふ、この部屋が研究所全体の中でも1番機械が多いのにゃ」
「そうなんだ~!すごいねヒアラ!…でもこんなに広いお部屋だと掃除とか管理とか大変じゃないの?」
「1人だともちろん大変だと思うにゃ~。でも私にはこの子達がいるから大丈夫にゃ」
そういうとリナは空気中にそっと手を添える。するとさっきまで何も無かった空間になにかが可視化し始めた
「…お!?」
それは小さなふわふわとした妖精?のようなものだった
「可愛いー!リナさん、この子なんですか?妖精?」
「いや、これは精霊だにゃ。結構精霊の中では一般的な形の子なんだけど…知らないのにゃ?」
「え?えぇ…すみません私はてっきりキュアーのようなのが一般的な形だと思ってたので世間にも紛れてるのかなと思ってました…」
「私もほかの精霊とか見た事ないから初めて見たよ!別種なんだろうねぇ…?」
リナはふわふわした精霊を周りに何体も出すとお部屋の至る所に飛ばしてお掃除をさせ始めた
「私は精霊の天啓を持ってるから精霊を呼び出し、精霊の声を聞き、精霊に声を届ける事が出来るのにゃ。精霊は幽霊や妖怪達と違って世の中に出回らないからこの世に私以上に詳しい人なんて居ないのにゃ。世間一派では精霊の存在なんてむしろ伝説くらいに思われてるのにゃ」
そういえばキュアーに対する日本の人たちの反応も信じてくれる人が少なかったのはそういうことだったのかな…?アニメや漫画でイメージしてるふわふわ精霊と違うからってことなのかと思ってた。
でも実際そのみんなも私自身もそのふわふわな精霊なんて見た事なかったからキュアーがリアルだと思って最終的には受け入れてたんだよね
その点森川室長はリナさんの存在を知ってたからあまり驚かずに紹介してくれたのかもしれない。確かに精霊と自称する謎のキュアーは研究したくなるよねぇ
「じゃあ2週間もある事だし2人にはゆっくり教えていくにゃ。まずは精霊について」
リナは精霊を呼び出してホワイトボードを持ってこさせるとペンで色々と解説を書き始めた
「まず精霊の種類だけど、精霊には下位、中位、上位の3種類がいるにゃ。ここが精霊使い達が使う基本的な精霊で、召喚士の魔力を使って召喚するにゃ。」
そこまで書くとリナは実際に召喚しながら教えてくれた
「さっきから沢山出してるこの子達は下位精霊にゃ。召喚の際の魔法陣とかは必要ないかわりに精霊は個人の意志を持たないにゃ。お願いしたい声を伝えることでその通りに動いてくれるんだけど何せ少ない魔力で呼び出してるからかなり簡単なお願いしか頼めないにゃ…」
リナは下位精霊をなでなでしながら少し残念そうに笑った
「さて、次に中位精霊だけど、この子も意思は持たない代わりにこの世の森羅万象により近づいたことで精霊を介して使える魔法の威力やバリエーションが増えるにゃ。召喚の方法はまだ魔法陣はいらなくて、強い意志を持って魔力を込める必要があるにゃ」
そういうとリナは両手を前に掲げて目を閉じる。しばらくするとリナの体から強い魔力が手のひらに集まるのを感じた
「はぁ!」
両手からつよい魔力が放たれるとそれは先程の下位と見た目はあまり変わらずに少し大きくなった姿で出現した
「おお~!これが中位精霊!大きくなったし、確かに精霊自身から強い魔力を感じるよ!すごいね!ヒアラ!」
「うん…すごい!」
「…ふぅ、とまぁこんな感じにゃ。結構消費魔力は多いから多くても1日に10体出せるかどうかって感じにゃね。」
10体か…なんだかんだ少ないな
「維持し続けるのにも魔力がいるんですよね…10体でも絶対大変だ」
「んー?いや、中位精霊までは出す時の魔力だけで強い攻撃とかを受けない限りは私の意思が続く限り居続けるのにゃー」
「え!そうなんですか?それは便利かも!」
「ふふ、そうなのにゃ?でも、それもこの中位まで。最後に教える上位は、やばやばだから目を離したらダメにゃよ!」
そういうとリナはシミュレーション室に入っていく。私達も後に続いて入ると、リナは地面に魔法陣を書き始めた
「本来魔法陣ってのは召喚士が自身の手で書いて何かを生み出す時に使うのにゃ。ただ、一部例外もいて…確か日本の魔術師の女の人で詠唱も無しに空間に魔法陣を生み出すデタラメな人がいた気がするにゃ…」
あ、それなんか身に覚えがあるなぁ…多分戦闘の度に豹変するあの人…
ヒアラとキュアーの脳内には笑顔のスズハが浮かんだ
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「…くちゅん!…ふぇ?」
「大丈夫ですか?風邪?」
「いえ、大丈夫です…なんか急に誰かに噂されてる気がして…」
「あはは!なんですかそれ、よく聞きますけどそーゆーの信じてるなんて可愛いですね」
「うぅ…からかわないで下さい!」
ショッピングを楽しむノノとスズハは何も知らない
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「あんな人普通じゃないから、あれが皆できると思わないで欲しいのにゃ…。あの芸当は間違いなく天啓持ちの中でもあの人くらい…流石に魔導なだけはあるにゃね」
そう聞くと改めてスズハさんってすごいんだな…
そうこう話しているうちにリナは魔法陣を書き終えた
「よし、魔法陣はこんな感じにゃ。それと言ってなかったけど、これは今この線に私の魔力を注ぎながら書いたのにゃ。魔法陣が魔力を帯びてるのが分かるにゃ?」
確かに感じる。これまでの精霊とは比べ物にならないくらい強い魔力だ
「これが召喚に必要な魔力。そしたら円の中に入って目を閉じる…。すると脳内に精霊が呼びかけてくれるから出てきて欲しい精霊を見つけるのにゃ。頭の中でグッと腕を引いてあげるイメージにゃ」
そういうとリナは喋るのをやめて集中を始めた
「いたにゃ!…こい!水の精霊アクア!」
急に何かを掴んだ様子で召喚を叫ぶと魔法陣は強く輝きを放った
「うわっ!眩しい!」
少しして目を開けるとそこにはリナと宙を浮く等身大の人間のような精霊がいた
「うわぁあ!すごい!これが上位精霊!!」
「そうにゃ~、この子はアクア。上位精霊にもなると意志を持っているんだけど、アクアは最初に私が呼び出した上位精霊なのにゃ。今ではすっかり仲良しなのにゃ~?」
「うふふ、リナったらまた研究の手伝いをして欲しいのかしら?」
「いや、今日はこの2人を紹介しようと思ったのにゃ。ヒアラさんと精霊を名乗るキュアーさんにゃ。キュアーさんについてあなたの知恵を借りようと思って…」
リナは話終える前に、その異変に気づいた
「あ、あなた…何者…?」
アクアはキュアーを見てなにやらたじろいでいる様子だった
「んー?何者って言われても、自分でもよくわかってないんだよねぇ!まぁここで何か分かればと思ってるからよろしくね!アクアちゃん!」
「出てきた時直ぐに気づけなかったのは、魔力の波形が精霊とは違うから…?いや、でも確かに気づいて見れば強い魔力を感じるし…何この違和感…?」
「ねぇ~、無視しないでよ!よろしくって!」
「あっ、ごめんなさい。よろしくね、キュアーさん。」
「上位精霊は召喚している間、少しずつだけど召喚士の魔力を吸い続けるにゃ。人によっては魔力の底上げをする時の特訓としてどれだけ召喚出来るかを試す人もいるね。私もそのうちの1人にゃ~」
リナは少し疲れた様子だったがまだまだ元気そうだった
「この上位精霊は何体か出せるんですか?」
「んー、基本的には一体にゃね。でも召喚士によっては魔力量が多い人もいるから何体か出す人もいるにゃ。でも普通に魔力吸われすぎると死ぬからやめといた方がいいにゃ」
「あぁ…やっぱりそんな感じなんですね」
「じゃあ説明はこれで終わりにゃ!あとは神話級の精霊なんかも存在するみたいな話を聞いたことがあるけど、それは恐らくただの噂なので気にしなくていいにゃ」
「はい!分かりました!」
「じゃーこれから2週間!研究と、ヒアラちゃんには精霊召喚や体術なんかも修行してもらうからよろしくにゃー」
「よろしくお願いします!」
こうして私とキュアーにとって長く苦しい修行が始まった
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